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魔法少女ルキア ~魔法使いは時空を越えて世界を救う~  作者: Kira
第3章 夜明け(アトランティス編)
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(20) 訪れる不穏


 ブルーフォレストで食堂の手伝いや時々行く食料調達を行いながら数日が過ぎた。

 初日に起きたようなシャドーらしきものとの遭遇や聖メーテル教会の儀式も特に発生することもなかった。ブルーフォレストで手伝いをしているとたくさんの人の楽しそうな様子を見ることができる。平和だ。

 ……けれどこんな平和に見える世界でも怪しげな動きが起こっているのだ。




 今日も昼の食堂の営業を乗り切った。次のオープンは夜の営業だ。

 使われた食器やテーブルやイスを片付けながら雑談をする。


「みんな楽しそうに飲み食いしていくよねー」

「えぇ、平和って感じね」

「逆にソールはどうして外出するたびに問題を……?」

「あー、なんかたまに路地裏とかに治安が悪いやつらがいるんだよ。たまに絡まれたり……絡んだり?」

「「絡んだり!?」」


 ソールはなんでもないように話す。

 ……確かにこの感じだと外に出したら問題を起こすっていうのもわかる気がする。にしても……


 食堂を見渡すとみんなが仲良く話しているところが目に入ってくる。この世界に来てずいぶんと経ったからだろうか。それとも同じ仕事をしているから? どちらもか。

 リリィも男性が苦手なはずだけど、いつの間にかソールとは軽口を叩けるほどには打ち解けたようだ。


 ぼんやりと皿を洗いながら片付けているみんなを見ていると、勢いよく入口の扉が開いた。扉についているベルがけたたましく響いた。

 驚いて扉を見ると立っていたのはネロだった。


「ネロ? どうかしたのか?」

「……お兄ちゃん!」


 不思議そうにソールが問いかけると、ネロは涙を浮かべてソールに駆け寄り抱きついた。

 これはただ事ではないと思い、みんなで作業を止めて2人に近づいた。 


「お姉ちゃんがいなくなっちゃったの……」

「お姉ちゃん……レイラ?」

「でもまだこの時間なら出かけてても変じゃないんじゃない?」

 

 視線を窓の外に向ける。ランチタイムが先ほど終わったほどだし、まだまだ日は高く、外には多くの人が歩いている。


「違うの。お姉ちゃんが出かけるときはいつも一緒に連れていってくれるか、どこに行ってくるか教えてくれるの」

「今日はなかったってこと?」

「うん。……それに……出かけるときも私に何も言ってくれなかったの。お姉ちゃん私のこと嫌いになっちゃったのかな」


 そう言ってネロは大粒の涙を溢れさせた。


「いやそんなわけないだろ。お兄ちゃんに任せろ。もし姉ちゃんが怒ってたら一緒に謝ってやるから」


 ソールが兄の顔をしてネロに視線を合わせた。……兄妹だなぁ。


「よし! 俺、探してくる!」


 ソールは急に立ち上がり、外へ行こうと駆け出そうとした。だがその首根っこをつかんだのはアンナさんだ。


「ぐうぇっ!」

「待ちなさい! どこへ行くの?」

「いや姉ちゃんを探しに……」

「あんたを行かせたらまた問題を起こすでしょ!?」

「そんなこと言ってる場合じゃないって!」


 アンナさんはソールの首根っこをつかんだまま会話を続ける。

 ソールはいち早く探しに行きたそうだし、アンナさんがソールが外で問題を起こしそうだと心配しているのもよくわかる。たぶんこのまま行ったら確実にソールは問題を起こす。道行く怪しい人とかを殴りそうな勢いだ。


 アンナさんとソールを挟んでちょうど私と反対に立っているノックスと目が合った。ノックスがこちらにウインクをしてきた。


「あの俺とルキアが一緒に行きますよ」

「えっ! いいのかい!?」


 ドサッ

「いてぇ!」


 ノックスの提案にアンナさんは嬉しそうな顔をして、首根っこをつかんでいた手を離した。ソール痛そ。


「さすがにお目付け役が2人もいたらソールの暴走は止められそうだね。あんたたち強そうだしね!」

「「任せて」」

「じゃあさっそく行くぞ!」

「待って! 私も行きます!」

「「え?」」


 3人で行こうと決まりそうなところで、ルーナが手を挙げた。思わず驚きの目を向けると、ルーナは決まり悪そうにしたを見ながら話し始めた。


「……レイラやネロはこんな私にも親しく話しかけてくれたし……ピンチなら助けたい……」

「「……ルーナ」」


 確かに人見知りのルーナにしては2人と話してたところをよく見かけた気がする。ネロもなんだか1番懐いてるようだし……


「ルーナお姉ちゃん」

「……ネロ。私に任せてくれる?」

「うん。……待ってる。お兄ちゃん、ルキアお姉ちゃん、ノックスお兄ちゃん……お姉ちゃんを見つけ出して!」

「「「「任せて!」」」」


 私達はブルーフォレストを飛び出した。




「にしても……どこから探す?」

「手分けするのはどう?」

「あ、その前に話聞きに行こうぜ!」

「話? 誰に……ってもうあんな遠くまで!」


 どうやって探そうか話し合いをしようとしたところで、ソールが1人でどこかへ走り出してしまった。まだまだ人通りが多いこの通りを縫うように走っていく。一瞬目を離しただけなのにもうソールの姿がだいぶ遠い。

 私達は急いで走り出した。



 しばらくずっと真っ直ぐ走っていたソールが突然姿を消した。おそらく横の道にそれたのだろう。だいぶ通りの人も少なくなったので、スピードをあげて、ソールが消えたあたりに向かう。


「ここに入ったってこと?」

「入る?」

「いや治安悪そうだし入るのはやめた方がいいんじゃないか?」


 私達がいる通りから横に入るように小道が続いているが、こちらの道とは違い舗装されていない道のようだ。それに……ゴミや人などの様々なものが落ちている。


「でもソールいないよ」

「待つ?」

「行くしかないんじゃない?」

「まぁ俺たちなら大丈夫か。……けど一応2人とも俺から離れないように」

「えぇ、兄さんに指1本触れさせないわ」

「わかった。私が守る!」

「いやそういうことじゃないんだけど……」


 ちょっと歩く順番について揉めたが、なんとか決まり私達は小道へと足を踏み入れた。


 

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