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魔法少女ルキア ~魔法使いは時空を越えて世界を救う~  作者: Kira
第3章 夜明け(アトランティス編)
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(17) 月と太陽の光


「行かなきゃ」


 シエルがそう言ってゆっくりと立ち上がったかと思えば、なぜか宿であるブルーフォレストのほうではなく海の方へと歩き出した。

 その背中をしばらく眺めたあと、なんとなく私も立ち上がって追いかけた。


 少し前を歩くシエルが波打ち際についた。靴を脱いでいる。

 ……海に入るのだろうか。

 シエルはザブザブと海へ入っていく。足首が海で隠れるぐらいで立ち止まり、こちらへ振り返った。


 追いついた私は波打ち際で立ち止まる。


「すごく冷たいです」


 シエルが笑いかけてくる。ちょうどそのタイミングで月にかかっていた薄い雲が晴れていった。

 上からの明るい月の光りと、下からの海の反射で辺りが照らされる。その中でシエルはまるで何かの舞台に立っているかのようだった。


 ……私はスマホを取り出して、カメラをシエルへと向ける。画面に映るシエルはすごく綺麗で……どこか寂しそうにも見える。

 


 パシャ

「ん? 撮りました?」

「あ、バレた」

「さすがにそんな堂々とカメラ向けられたらわかりますよ」

「あはは、だよねー」

「私が撮れないのが残念です」


 写真に気がついたシエルからは、先ほどまでの神秘的で触れらないような雰囲気は消えさえっていた。それに安心しつつも、私も海へと入ると水の冷たさに悲鳴をあげる。


 月明かりの下、軽く遊んでいるとまるですべてのしがらみから解放されたような気分になる。

 シエルも同じような気分なのかもしれない。いや昔も夜に海で遊んだことがあるのかもしれない。浮かべている表情は思い出話をしていたときの笑顔に似ている。


 しばらく遊んでいるとさすがに体が冷えてきた。


「このままじゃ夜、明けちゃうよ」

「確かにそうですね。早く帰りましょうか」

「シエルから始めたんだからね!?」

「あはは! そうでしたっけ? じゃ行きましょ」

「ちょっと! 置いていかないでー!」


 シエルの見た目が私と同じくらいだからか、いつもは大人っぽく感じるシエルが同じくらいかそれ以下の年齢のように感じる。

 ……というか本当に置いてかれる!


 私は走り出したシエルのあとを追って走り出した。



「……まぶしい」


 心地よい眠りから目が覚める。窓から入る日差しが部屋を照らしている。もうずいぶん日が高いようだ。昼?

 ベッドから這い出ると他のベッドにはもう誰もいなかった。


 確か夜にシエルを探して……? あれは夢?


 あの神秘的なシエルが頭の中に残っている。どうにも夢に思えてきた。

 そういえば写真を撮っていたはずと思い、スマホを取り出す。……ちゃんとフォルダには海に入っているシエルの写真が残されていた。

 夢じゃなかった。


「そういえば妹がいるって……。ランは今なにしてるかな」


 スマホのアプリを見るが、特に通知は来ていない。アルテルの様子は見れないようだ。いまいちどんなタイミングで見れるかわからない。

 スマホを見ているとノックの音が響いた。


「はーい」


 扉を開けようと思ったが、そういえば起きたままの格好だったことに気がつき停止する。

 カメラを内側に向けると、私の金髪があちこちに跳ね回っているのがわかる。……昨日の海風やなんやらでボサボサになったままベッドに入ったからだ……!


 扉の向こうにいる相手が待っていることがわかる。

 ノックをするということはアンナさんやダンテさん、ノックスとかこの部屋の人たち以外! 見せるわけには……!




「あ、ルキア。おは……? なんで布団被ってるの?」


 扉を開けると立っていたのはノックスだった。私の格好を見ると困惑した表情を浮かべた。


「寝癖が……」

「なるほど? 別に気にしないけど……」

「私が気にするの!」

「そう?」


 妹がいるのに女心がわからないのだろうか……? いや逆に妹がいるからこそ?

 そんなことを考えつつも要件を聞く。


「私の格好はどうでもよくて、何か用事?」

「ん、買い出し行こう」

「買い出し?」

「そう。他のみんなは食堂の手伝いしてるから俺らは買い出し」


 確かに下からはたくさんの人の声がする。もうみんな仕事してたのか。

 食材調達係は買い出しということか。


「了解! ……ちょっと時間もらってもいい?」

「おっけー笑」


 私の格好に笑いながらノックスは隣の部屋へ入っていった。

 ……本当に寝癖がひどいからしょうがない。でも確かにこの格好もなかなか……? 


 とりあえず待たせるわけにはいかないと準備に走り出した。





 コンコン

「はい。開いてるよ」

「はーい」


 準備を終わらせ、ノックスの部屋を訪ねた。扉を開けるとノックスが本を読んでいるところだった。


「ごめん、このページだけ読んでもいい?」

「もちろんいいよ」


 私が待たせてしまったこともあり、私もそれぐらいは待つのは当たり前だろう。

 ノックスは真剣に本に目を落としている。確かあの本は私達の部屋にも置いてあったような。タイトルは……勇者と女神だっけ。色々あってあんまり部屋のものを見れていなかったから内容は知らないけど、なんだか私達に関係ありそうな本な気がする。


「ごめん、お待たせ」


 ノックスはそのページを読み終わったようで、本を閉じて立ち上がった。

 内容について聞こうかと思ったが、買い出しの道中で聞けばいいかと思い直した。


「じゃあ行こうか」

「うん。どこに行くの?」

「コーラルストリートだよ」



 私とノックスは部屋を出た。





 閉じられていた本がひとりでにゆっくりと開く。

 開かれたページに太陽の光が降り注いでいる。そのページに描かれているのは、女神と勇者たちが邪悪な存在を浄化している場面だった。

 


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