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魔法少女ルキア ~魔法使いは時空を越えて世界を救う~  作者: Kira
第3章 夜明け(アトランティス編)
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(15) アトランティスの夜


 みんなのもとに駆け寄ったはいいが、そういえば私の摘んできたマリンベリーは……


「摘んできたの見せてー!」


 ネロが背伸びをしながら私の持っている袋を覗き込もうとしてくる。急いで見えないように上へとあげると、ネロが不思議そうな顔をする。そして一連の流れを見ていたみんなも疑問を表情に浮かべている。

 私はぎこちなく笑みを浮かべながらアンナさんのところへそっと近づいた。


「す、すみません……これ……」


 怒られるかもしれないと思いつつも、袋を渡した。

 アンナさんはちらりと受け取った袋を覗き込んだ。なにか言われるかと思ったが、小さく笑っただけだった。

 そしてアンナさんはすぐにノックスに声をかけた。


「そっちの袋もくれるかい?」

「あ、はい」

 

 ノックスがアンナさんへと袋をすばやく渡した。


「うん。2人ともたくさん収穫してきてくれたんだね。ありがとう! これだけあれば色々作れるよ!」

「「「おぉ!」」」


「じゃあこっちのマリンベリーは混ぜる用に潰してくるね。みんなはこっちのほうから使って! ソール任せたよ」

「わかったー。俺に任せてよ」


 ソールは元から食堂で働いていることもあり、みんなに的確な指示を出している。ネロやレイラはよく手伝いをしているのか、自発的に考えながら行動しているように見える。リリィやルーナも手際よく作業しているのがわかる。

 よく見ると作業しているテーブルの上には出来上がっている料理がいくつか置いてある。どれも美味しそうだ。


 あと作るものはデザートのみらしく、食材調達組の私達はもう休んでていいとのことだった。

 お言葉に甘えて、宿のほうへと足を向けた。



 どうやらダンテさんが部屋の準備をしてくれていたようで、綺麗なベッドが私を迎えてくれた。

 準備してくれていたであろうダンテさんとは途中ですれ違い挨拶したが、軽く会釈? を返されただけだった。無口な人だ。


 廊下を歩いていると下から賑やかな声が聞こえてくる。みんなで仲良く料理を作っているようだ。まぁリリィは少しソールに対して距離を取っていたが。

 ……えっと確か部屋は1番奥って言ってたっけ。


 あてがわれたらしき部屋の鍵穴へ鍵をいれると、すんなりと開いた。そっと扉を開ける。


 案内された部屋は2段ベッドが2つ置かれている部屋だった。女子は皆同じ部屋でたぶん隣がノックスの部屋だろう。

 それにしてもどこのベッドを使うか迷う。

 ……まぁどれを取ってもいいか。なんとなく下のベッドへと腰かける。


 色々あって眠気が……体がだんだんと横へ倒れていく……





「ルキア?」

「ん……。あ、リリィ」


 名前を呼ばれて目を開けるとリリィがこちらを覗き込んでいた。いつの間にか寝てしまっていたようだ。


「夕飯だよー」


 そういうリリィの後ろではルーナと妖精たちが料理を前にして座っていた。私が起きるのを待っていたのかもしれない。

 ベッドから起き上がり、リリィに軽く感謝の言葉を述べてからルーナたちのほうへと向かう。すると部屋にノックの音が響いた。


 ノックスが一緒に食事を取ろうとやってきたようだった。


「下はちょうど夕飯の時間みたい」


 ノックスのその言葉で、廊下から食堂から聞こえて来ているのであろう人の声が耳へと届いた。

 ノックスが部屋へと入ってきたことで扉が閉じられ、そのざわめきは聞こえなくなった。


「じゃあ食べよ!」


 みんなで夕飯を食べ始めた。





「うぅ……」


 うめき声が聞こえて目が覚める。窓から入る月明かりが部屋の中を照らしている。……うめき声はどこから?

 起き上がり音の正体を探ろうと部屋の中を見渡す。


 どうやら隣のベッドから声が聞こえてくる。

 そっと近づくと誰が苦しんでいるのかわかった。正体はリュンヌだったようだ。

 慌てて揺り起こす。


「うぅ……。ん……」

「あ、起きた?」

「ルキアどうしたの?」

「いやうなされてたから」

「そうなの? まぁ起こしてくれてありがと」


 うなされていたことには気づいてなかったようだ。リュンヌは不思議そうな顔をしていたが、うなされないようにかサッと寝ているルーナの腕の中へと入っていった。しばらくすると今度は穏やかな寝息をたて始めた。


 良かったと安心したところで、眠気がなくなったことに気がついた。……水でも飲もう。

 部屋にある水差しを手に取り、水を飲んだところでリリィの寝顔が目に入ってきた。それをぼんやりと見ているとふとシエルがいないことに気がついた。

 こんな夜更けにどこへ?

 みんなは寝静まっているため、1人でシエルを探しに部屋を出た。



 建物内を軽く見たがいない。眠れないことだし、外へと探しにいくことにした。

 外へと続く扉を開けると寝静まった街が広がっている。夜の冷たい空気と柔らかい月明かりが私を包む。人っ子1人いないようだ。


 特に当てもなかったため、なんとなく約束の砂浜へと足を向けた。




 波の音が心地良い。砂を踏みしめながらのんびりと歩く。

 すると淡い光によって座っている1つの人影が浮かび上がっている。……シエルかもしれない。

 人違いだったどうしようと思いつつ近寄ると、やはり人の姿をしたシエルだった。


「……シエル?」

「あ、ルキア。眠れないんですか?」


 穏やかに問いかけてくる。私はなんとなく隣に腰をおろす。


「そんなところ。シエルは?」

「私もです」


 心地よい沈黙が2人の間を流れた。


 少し空気が揺らめいて、シエルがなにかを話しだそうと口を開いたのがわかった。

 私はそれを感じとりつつも、寄せては返す波へと視線を向けたままにしていた。

 

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