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魔法少女ルキア ~魔法使いは時空を越えて世界を救う~  作者: Kira
第3章 夜明け(アトランティス編)
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(11) たどりついた場所


 黒猫のあとに続いて下へと降りていく。

 ずいぶんと長い間降りている気もするし、少しの時間しか経っていないような気がする。


 ファタールにもらったスマホで明かりがわりや時計がわりにしようとしたが、なぜだか電源が入らない。ノックスはそもそもスマホをこの世界に持ってこれなかったようだ。


「あれ……?」


 前を歩く猫を照らす光が前方から出てきた。もちろん懐中電灯の光ではない。どちらかといえば日の光に近いような。

 ちょうど下り坂の1番下へと到着したらしく、平らな地面に足を踏み入れた。光が入ってくる方へと視線を向ける。


 ずっと暗闇の中にいてわずかな光源に目が慣れていたため、まともに直視できない。

 何度かまばたきをしてそっと前を見据える。そして飛び込んできた景色は…………外だ。


「外……? え、出れた」

「あ、猫が!」


 猫は外に繋がっていることをわかっていたような態度で、ゆったりと歩いていった。私達は慌てて追いかける。


 足に伝わる感触がずっと踏みしめていた石の固い地面から、草で覆われた柔らかい地面へと変化した。爽やかな風が肌へと当たり、どこからか鳥の声も聞こえてくる。本当に外で……ここは森?

 暖かい日差しと草木の匂いに深呼吸をする。気がつかなかったが、ずっと停滞した空気を吸っていたのかもしれない。新鮮な空気をたっぷりと吸うことでとても気分が晴れた。


 いつの間にか立ち止まっていた猫がこちらをじっと見つめている。そっと胴へと手を伸ばし、猫を抱えた。


「私達を外へと連れ出してくれたのね? ありがとう」


 猫は真っ青な目で私の目を見つめる。まるで海を閉じ込めたような目だ。……どこかで見たことがあるような。


「「ルキア!」」

「ん?」


 ノックスと元のマスコットの姿に戻ったソレイユが私の名前を呼んだ。2人の方へと視線を向けると、その目は私の後ろを見ている。

 後ろ……は私達が出てきた道がある方か。私も振り返り、今まで来た道へと目を向けた。


「えっ!?」


 そこには何の変哲もない岩が存在していた。私達が来たであろう道はどこを見渡してもなかった。


「消えた……?」

「うん。…………あれ? ルキア、猫は?」

「猫? 私の腕の中に……いない」


 道が消えたことに驚いている間に、私の腕の中いた猫も忽然と消えていた。……気がつかなかった。

 

 私が猫を探してキョロキョロとしている間に、ノックスが大きな岩へと近づいた。確かめるように撫でている。


「アイスニードル」


 ノックスは鋭い氷を出現させ、岩へと突き刺した。

 岩のすべてを破壊することはなかったが、見えている大部分にヒビが入り崩壊した。崩壊して見えてきたのは……岩だった。どうやらこの岩は崖のようになっている1部のようだ。

 

「これだけ壊しても岩しかないってことは裏に道が隠れてるってことはないか」

「……じゃあ私達はどこから来たんだろう。黒猫も消えちゃったし、もしかして幻覚でも見てた?」

「それはないと思うよ。ほら」


 ノックスが掲げた袋にはマリンベリーがたくさん入っていた。それを見て私も腰につけていた袋の中を見る。たくさんのマリンベリーが入っていた。

 ……ちょっと潰れているものもあるけど……ほんの少しね本当に。まぁジャムとかに使ってもらおう。


「ルキア?」

「ん? あ、私も入ってた!」

「そう?」


 ノックスやソレイユが袋の中を見て少し固まった私を見て不思議そうな顔をしている。ノックスのと比べたらぐちゃぐちゃだから何か言われそうだし、あとでアンナさんにこっそり渡そう……。


 それにしてもどこからが幻覚? だったのか。


「……○△○○……△△」


 鳥や風の声にまじってどこからか人の声がした。1人ではなく複数人のような。


「今の聞いた?」

「「え?」」


 ノックスとソレイユは聞いていなかったようだ。でも人の声は確かにした。2人に説明しようとすると、またどこからか人の声が聞こえてくる。


「誰かいる……」「人の声?」

「2人にも聞こえたみたいだね。ここらへんに人がいるのかも」


 はっきりとは聞き取れなくて、何を話しているかはわからないが人がいるのは確かのようだ。


「人がいるなら変身は解いたほうがいいね」

「「了解!」」


 私とノックスは変身を解いて、アトランティスに馴染む服へと戻った。ソレイユは妖精という存在が珍しいこともあって、キーホルダーのように小さくなって私についた。


 私達は人の声がする方を探しながらゆっくりと歩き始めた。



 サクサクと音を立てながらノックスと歩く。人の声はまだボソボソと小さく、何を話しているのかわからない。近くなっているのか、はたまた遠くなっているのか……。


「そういえばあの猫、綺麗な青い目をしてたよ」

「あぁ、俺も思った。……なんか見たことあるんだよな」

「あ、ノックスもそう思った?」


 ノックスもあの黒猫の目に見覚えがあるようだった。あの色を見たことがあるとかではないんだよね。どこかであの目を見たことがある。


「でも青い目の人なんて周りにいないよね」

「そうなんだよな。ルキアは綺麗な緑色だよね。宝石みたいだ」

「えっ!? 急になに!?」

「いや今見て改めて思っただけ」


 急に褒められて思わずノックスから顔を背ける。顔が熱い。


「……そう。ノックスも綺麗な赤色だよ。まるで炎を閉じこめたみたいで私すき」

「……ありがとう」


 顔を背けつつも、私もノックスの目について語る。……きっとノックスは余裕そうなんだろうな。


 しばらく沈黙が流れた。なにか話題をと思ったとき、オババの言葉を思い出した。ちょうど2人だし(ソレイユはどこに人がいるかわからないから何も話さないようだ)、聞いてみようかな。


「ねぇ……約束ってわかる?」

「約束?」

「そうその……」


 私はオババのこと、オババから言われたことを軽く話した。


「約束を思い出してか……」

「うん。前に敵対してたノックスに話したら頭が痛いって苦しみだして」

「そっか。……なら俺も関係あるんだな」

「たぶん?」


 やはりノックスも何も覚えていないようだ。私もなにもわからないし、気になる。

 ちゃんと目を見て話そうと、背けていた顔をノックスへと向けるとバチッと目が合った。すると頭の中に映像が流れてきた。


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