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(28) 地球の浄化

こちらで第2章完結です!


「うぅん……」

「あっ! 目が覚めた?」

「……ルキア?」


 ゆっくりと目を開けた女の子は、私と目が合うと名前を呼んできた。やっぱりシエルなの?

 見た目は可愛らしい若い女の子だ。どこかで見たことあるような……?


 あっ! 思い出した! 夢だ、夢で見たんだ。

 夢の中で勇者を目指していた男の子と、男性と一緒にいた女の子だ。そういえばあの男性もよく考えればファタールだったような……?


「リリィ……おかえりなさい」

「え? あ、うん。……やっぱりシエルなの?」

「どういう意味です? もしかして私のことを忘れて……?」


 シエルらしき女の子は視界にリリィを入れると、目を潤めてリリィの名前を呼んだ。


 本来ならば感動的な再会のはずだが、いかんせんシエルかどうか確信が持てないため、なんともいえない気持ちになる。リリィも同様のようで、恐る恐る確認の言葉を口にした。

 その言葉に女の子は大きな落胆を表情に出した。


「ねぇシエル、自分の手を見てみなさいよ」

「え? …………これ! 私!」


 リュンヌが手を見るように諭したことで、やっとシエル? は自分の身に起こっていることに気づいたようだった。

 ちなみにソレイユは泣きすぎて、何も言葉を発せていない。


「私の体が……帰ってきたのですね」

「体が帰ってきた?」

「えぇ……。改めましてシエルです。皆さまよろしくお願いいたします」


 ふわりとシエルは微笑んだ。そして私達が疑問に思っていることをざっくりと説明してくれた。



 もともと妖精は人間だったことが多いらしい。人間じゃない場合もあるらしいが。その中でシエル、ソレイユ、リュンヌはもともと人間だったらしい。

 遥か昔に人間として旅をしていたこと。そのときにファタールを師匠として慕うようになったこと。そんなことをざっくりと話してくれた。


 もしかしたらシエルたちが旅をしていたときの記憶を私は夢で見たのかもしれない。


 あるときある強大な敵と遭遇したときに、体を奪われてしまったらしい。

 魂だけは奪われずに逃げれたが、行き場がなく魂のままさまよっていたらしい。そのときにエウロと出会い、仮の体を用意してもらい、このマスコット姿になったということ。


 シエルは分かりやすく説明してくれた。


「じゃあソレイユたちの体はまだどこかに奪われたままってこと?」

「たぶんそうですー。ですがこの世界にある可能性は……」

「なさそうよ」

「リュンヌ! どういうこと?」

「さすがに自分の体のことぐらいはわかるわ。この世界にはないってね」


 ここまで言うってことは地球には本当にないのだろう。もしかしてアルテルに……?

 たくさんの新しい情報を聞いて、頭の整理をしているとシエルが深刻そうに話し始めた。


「詳しく話したいのは山々なんですが、早急に伝えておきたいことがありまして」

「どうしたの?」

「ここに地球を汚染し、妖精界にまで影響を及ぼした闇の根源があります」

「「「「えぇ!」」」」

「とりあえず移動しながら説明しますー」


 ソレイユとリュンヌを抱えたまま歩き出したシエルの後に続く。シエルによると、堕天使の中にいたときにはっきりとした意識はなかったが強い闇の力を感じ取ったらしい。それも妖精王の部屋で感じた以上の。


 しばらく歩いてたどりついたのは……やはりあの研究施設だった。


「ここです。この中から」

「でもどうしよう。開けられないよ」

「ここってあのレウィスの建物でしょ?無理やりにでも開けちゃえば……開いてる」

「えっ! ルキア!」


 みんなはどうしようかと悩んでいたが、無理やり開けてもいいだろうと扉に手をかけた。するとあっさりと扉が開いた。

 ラッキーと思い、中へと足を踏み入れた。これは非常時だしね、別に他の人がいたら謝ればたぶん許される!


 みんなも恐る恐ると中へと入ってきた。シエルへと案内を頼むと、ハッとしたように歩み始めた。



 シエルの案内でついたのは、いつもの部屋だった。前に来た時は歓迎されているかのようにあたたかい空気に包まれたのに、今はまるで私達を排除するかのような不快な空気が充満している。


「シエル……それでどこ?」

「こっちです」

「「これは!」」


 シエルが指し示したのは前にレウィスに隠された扉だった。私とノックスは同時に声をあげた。


「兄さん、ルキアどうしたの?」

「いや前に俺たちがリリィを探したときに、レウィスに隠された扉だったんだよ」

「確か指紋認証? だったよね、この扉。……蹴破る?」

「ちょっと待って」


 私が蹴破るかと提案すると、ノックスが止めてきた。

 疑問に思っていると、ノックスが本へと指を押しつけた。するとゆっくりと扉が開かれた。


「「「開いた!?」」」

「前に慌てて止められたのが気になっててさ。もしかして俺かルキアなら開けられるのかもしれないと思って」

「そういうことか。全然考えつかなかった! 別に私が開けても良かったのに。」

「危険かもしれないことを女の子に進んでやらせるわけないよ」

「ノックス……!」


 元の世界では女の子扱いされないから、こんな風に扱われると照れてしまう。同じモンスター討伐隊の男の子たちは、私のことを女の子だと思ってないような扱いしかしてこないし……!


 ゴホン!

 照れ笑いを浮かべながら、ノックスと見つめあっていると複数の咳払いが聞こえた。慌ててそちらへ視線を向けると皆がさまざまな表情をしていた。呆れていたり、ニヤニヤしたり、苦笑いしたり……。


「あっ、この先に闇の根源が?」

「たぶんあります」


 意識を切り替える。確かに扉の先から禍々しい空気が伝わってくる。呼吸をするだけでも体が重くなるように感じる。

 目の前に続く地下への階段へ足を踏み出した。


 しばらく階段をくだると、赤とも紫とも言える光が溢れている部屋が見えてきた。先ほど階段の上で感じたよりも強い闇の魔力の圧を感じる。

 部屋へと足を踏み入れると、視界に広がるのは紫色の木の根らしきものだ。部屋中を埋め尽くすように広がっている。


「これは核?」


 そして根っこの中心にあるのは巨大な核らしき球体だ。シエルによるとこの木の根が地上まで繋がっているとのことだ。そして妖精界にも繋がっているかもしれないとのことだ。


「じゃあこれを浄化すれば……?」

「えぇ地球を汚染する根源を浄化することに繋がるはずです」


 私達は互いに目を合わせてうなずいた。

 そっと大きな球体へと手を触れさせた。


 触れた場所から球体が真っ白に変わっていく。そして球体が完全に白くなったと同時に強く輝きだした。


「「「「「「まぶしい!」」」」」」 


 全員が目をつぶる。それは一瞬だったかもしれないし、ずいぶんと長い間だったかもしれない。

 


 気がつくと私達は真っ白な部屋に立っていた。ここはどこ? ……いやさっきと同じ場所だ。見た目や私達を包む空気が一変して、同じ場所だとはすぐに理解できなかった。


「浄化できたってことだよね」

「そうだね!」

「やったわね」

「色々あったな」


 私達は真っ白な部屋でハイタッチを交わした。



次の章では違う世界の浄化に向かう予定です。

お付き合いいただけたら幸いです(*'▽'*)


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