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(22) 決別


「そういえばルーナは?」

「遥? それなら今日はバイトだよ。」

「バイト?」

「うん。働いてるんだ。もう働かなくても大丈夫だよって言ったけど、ずっと続けてきたことだからってさ」

「へぇー! さすがルーナね。えらい」

「まぁさすがに働く量は減らすみたいだけど」


 お昼にカルボナーラ(聖が作った)をみんなで食べながら、雑談する。ちなみに変身は帰ってきてすぐに解除した。

 聖は遥と2人暮らしをしていることもあって、料理は得意なのだそう。……私も百合と暮らすようになってからは少しは作るようになったけど……これを見るとまだまだだな。


 まだ百合はぐっすり眠っているようだし、ご飯は食べられないだろう。


「そういえば雨宮さんのところで、扉が気持ち悪いって言ってなかった?」

「うん。……あの中から強い闇魔法を感じた」

「闇魔法!?」

「そう。俺は浄化してもらったからか、闇魔法に対して拒絶反応が出てる」

「そうなの? 例えば?」

「シャドーと対峙したときには吐き気がすごかった」

「吐き気が……」


 それであの動きをしてたの? 妖精界のときも思ったけど、聖ってだいぶ動けるよね。……私も負けないようにしなきゃ。

 聖のそういうところをカッコいいとも思うし憧れるけど、でもなぜだか負けたくないって気持ちも強くある。


「ルキア?」

「あ、ごめん! それで?」


 私が闘志を燃やしていると、聖が不思議そうな顔で問いかけてきた。いけない。私も考えごとに熱中しがちになってきてる。百合と一緒に居始めてだいぶ経つからかな。 

 私が続きを諭すと、聖は記憶を思い出すように話し始めた。


「あの研究施設もなかなか気持ち悪い空気で包まれてた」

「あー、なんか気持ち悪いって言ってたね」

「そう、それで特にあの扉の中が……すごく淀んだ空気っていうのかな? そんな感じ。まぁあの森自体も変な感じしたけどね」

「あの森といえば!」

「ん?」


 聖に森にあった卵たちについて説明した。

 ソレイユも手振り身振りを交えて、一生懸命説明している。そのソレイユの後ろ姿が可愛らしい。


「なるほど……じゃあやっぱりあそこはシャドーに関係する何かを研究している施設だろうね」

「やっぱりそうなのかな」

「もしかしたら妖精王が話してた闇の根源なのかもしれない」


 みんなの目が真剣だ。


「とりあえず百合をどうやって雨宮さんと会わせなくするか……」

「どういうこと?」


 寝ているはずの百合の声がした。

 勢いよく声の方へと視線を向けると、壁に寄っ掛かってつらそうな百合が立っていた。起きてきたみたいだ。

 ただ話を聞いてしまったのか、驚いたように目を丸くしている。


 とにかく体調の悪いときにする話でもないか。またあとで百合にはちゃんと話そうと思い、近寄る。


「百合、体調は平気? お腹すいてない?」

「ねぇ話そらさないで?なんで雨宮さんに会っちゃだめなの?」

「それは……またにしない? 体調が悪いときにする話でもないし」

「……その会わせないっていうのはみんな賛成なの?」


 百合の真っ直ぐな目に、思わず聖もソレイユも目をそらした。


「そう。……ルキアちゃん! ルキアちゃんは味方だよね? ……きっと雨宮さんはいい人だよね?」


 まるですがるように百合は私を見つめてくる。

 誤魔化すこともできるけれど……これはちゃんと答えなくちゃいけないと思った。


「私は……話してみて雨宮さんはいい人だと思った」


 聖とソレイユが不安そうな目を向けてくる。

 ……大丈夫。わかってる。


「でもね、不審な点が多すぎる。だから百合には近づいてほしくない」

「……」

「百合?」


 百合はうつむいて黙ってしまった。

 そうだよね。気になる……いや好きな人のことを悪く言われたら。うん。

 そっと百合の肩へ手をのせようと、手を伸ばした。


 パシーン!

「え?」

「触らないで」


 おもいっきり百合に手をはたきおとされた。

 驚いて百合を見ると、百合の核が紫色へと変色していくのが見えた。


「百合! 核が!」

「うるさい! うるさい!」

「キャッ!」

「危ない! ルキア!」


 百合が叫び、闇の魔法のようなものが私に襲いかかってきた。これは百合から放たれたの!?

 私の体は吹き飛ばされたが、聖が受け止めてくれたことで壁との衝突は防がれた。


「あ、聖ありがとう」

「うん。それより……」


 再び百合へと視線を向けると、まるで憎いものを見るような目でこちらを見つめてくる。

 しばらく沈黙が続いたのち、百合は視線をそらした。そしてそのまま部屋を出ていってしまった。……あまりの出来事に追いかける気力も湧いてこない。


「わかってくれるって思ったけど……だめだった」

「……今のは闇の魔法のせいだろ」

「うん。僕も嫌な気配を感じたよ」

「でも百合としての意識ははっきりしてる感じだった。……嫌われちゃったのかな」

「「ルキア……」」


 部屋が暗い雰囲気に包まれたとき、リビングの真ん中に急に人が現れた。


「到着! ……え? なんか暗くない?」


 リュンヌに連れられた遥が現れた。




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