(4) ドラゴン退治
本日2度目の更新です!
「ウォーターフォール!」
アクアの唱えた魔法でドラゴンへ頭上へ大量の水が出現した。
……やはりアクアは一番の水魔法使いだ。燃え盛っているドラゴンの炎が消えるはず。これで近づける!
水が弾け、まるでゲリラ豪雨のようにドラゴンへと降り落ちる。落ちる水は細かく分かれているが、遠目から見るとひとかたまりの滝のようにも見える。
ドラゴンは少し当たる水が痛いのか、先程よりも動きが鈍くなっているように感じる。
水の中を突っ切る形になるが、ドラゴンへと接近する。炎は消されちゃうだろうし……氷かな。軽く呪文を唱えて手のひらに氷を出現させる。
ブン!
みんながドラゴンの体へと到着するというときに、思いっきりドラゴンが体を振った。その風圧は凄まじい。
体勢が崩れて形成していた氷魔法が消えてしまった。……あまりよく見えないけれどみんな無事だろうか。
体勢を立て直すと同時に水魔法が消えたので視界が晴れた。水魔法が消えた?
ゆっくりと立ち上がり周りを見渡すと仲間たちの姿が見えなかった。視界に入るのはドラゴンだけだ。
……あ、目が合った。
「ギャアァァ!」
「フレイム!」
こちらにドラゴンが顔を向け、大きな口を開いた。私を食べようとしているのかもしれない。このままだと……私の体なんて一口だろう。
思わず炎をぶつけると、眩しそうに目を細め、顔を背けた。表皮が炎耐性があるだけで、炎でも内側からならダメージが入るのかもしれない。
ドラゴンが腕や足、尻尾などをめちゃくちゃに振り回している。それを避けながら、隙を伺う。避けているときに視界に入ったのは倒れた仲間たち。皆意識がなさそうだ。……1人でやらなきゃ。
「ウィンドカッター!」
なんとかドラゴンの隙を作り出せないか……。炎はもっと近づかないと意味がなさそうだし……そう思い、風魔法を放ってみたが外れてしまった。木の枝を数本切り落としただけだ。
……ドラゴンが目をつぶった! 今だ! 切り落とした枝の隙間から日差しがちょうど目に当たったようだ。体に残っているすべての魔力をこめて呪文を唱える。
「フレイム!」
ドラゴンの首の辺りへと高熱の炎を放つ。耐熱性の皮膚を突き破り、何か硬い核のようなものに触れた。それを掴み、思いっきり炎を当てた。
しばらくすると核にひびが入ったのがわかった。そのまま魔力をこめ続けると、とうとう核はくだけ散った。
核がくだけ散ると同時にドラゴンの体も灰になるように、ゆっくりと散っていった。……雪みたいだ。
「た、倒せた……」
魔力を使い果たし、思わずそのまま寝転んでしまう。飛ばされた仲間たちの様子も見に行きたいけど……動けない。
目をゆっくりとつぶった。
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ここは……またあの夢の世界か。あっ! ちゃんと変わった服になってる。話、続いてるんだなー。
「あれ? ルキアー!」
「ソレイユ!」
「今日も来てくれたんだね! よしシャドーを探すぞー!」
「自主的に来てるわけではないんだけど……まぁいいか。」
「じゃあルキア僕を持って!」
「え?」
ソレイユが四角い箱のようなものに変身した。
「何?この姿?」
「これはスマホっていって……遠くの人と会話できる道具だよ!」
「へぇー! 便利だね。でもどうして変身したの?」
「シャドーが現れるまでこの世界を案内しようと思うんだけど、僕を見られるとめんどくさいことになっちゃうから。だからこの姿の僕を耳に当てて会話しよ!」
「ソレイユはこの世界でも珍しいんだ」
「うん! 不思議な生物と話してるって思われちゃうからね」
「なるほど遠くの誰かと話してるように思わせるのね。」
「そーいうこと!」
ソレイユを耳に当てて観光を始めた。
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スマホを片手に街を歩き回る。私の世界と全然違う!今はショッピングモールというところにいるらしい。動く階段、光輝く板、様々な服装の人々、見たことのない食べ物、気になるものがたくさんだ。
ぐうぅ……
「お腹減っちゃったな……」
「ルキアお腹空いたの?」
「うん。ドラゴンと戦ってそのまま来ちゃったしなー」
「ドラゴン!?」
「そう。生まれて初めて見たよ!なんとか倒せたはずなんだけど」
「倒せたの! さすがだねー!」
「本当にギリギリだけどね。核みたいなのを壊したらドラゴンの体が崩壊したんだよね」
「そっか。シャドーと一緒だね」
ソレイユによると、シャドーにも核がありそれを壊すか抜き取ることで消滅させることができるらしい。……あれ?知らないが?いつもは私が体と一緒に燃やし消しているから気づかなかったようだ。
「まぁ倒せてるから大丈夫!」
「ルキアのそういうところが良いところだと思うよ」
「ん? ちょっと呆れてる?」
「あ! お腹空いたんだったよね! ファミレスでも行こうよ!」
「ファミレス……? まぁいいよ行こ!」
ファミレスはご飯を食べるところらしい。食堂みたいなものか。そこへ入り、席へと案内された。
「わぁー! 美味しそうなイラストが描いてある。」
「これメニューだよ。イラストじゃなくて写真っていう現実の風景をそのまま写したものだよ」
「へぇ! 魔法がなくても便利なんだね! ……そういえばお金持ってないんだけど大丈夫かな?」
「大丈夫! 僕が払うから!」
「ん? どうやって……?」
「まぁまぁ! 食べるもの決めちゃいなよ!」
とりあえずお金の心配はないらしい。戸惑うところはあったが、無事に料理を注文できた。しばらくすると料理が運ばれてきた。良い匂いだ!
ドリアというのを注文した。皿からほかほかと湯気が出ている。スプーンを差し入れるとするりとすくえた。口にいれると熱かったが、しっかりと味がして美味しかった。
他にもいくつか注文してすべて平らげてしまった。
「美味しかったー!」
「良かった! じゃあ出る?」
「そうだね! お会計は……」
「店員さんにタッチでって言って、僕をかざせば大丈夫!」
「本当に?」
「ほんとほんと!」
ソレイユの言うとおりにすると無事に支払えたようだった。本当に不思議な世界だ。
腹も満たされ、またのんびりと街を見てまわる。
ドン!
「キャッ!」
「ウィンド。ごめんなさい!大丈夫?」
通りを歩いていると、ちょうど店から出てきた女の子とぶつかってしまった。思わず風魔法を使って転ぶ彼女のダメージを減らしていた。バレてはないでしょ。
それでも彼女が転んでしまったので、手を差し出した。
彼女は大量の本を持っていたようで、ぶつかった際に落としてしまったみたいだ。タワーのように積み上がっていた本は大量に地面に落ちている。
「ありがとうございます。ごめんなさい不注意で……」
「いえいえ、怪我がなさそうで良かったよ」
「すみませんあまり前が見えてなくて」
「すごい量の本持ってるからかな?好きなの?」
「はい! 本が好きで特に……! ……!」
本を一緒に拾いながら、本が好きなのかと思い問いかけると、勢いよく話し始めた。……まぁ時間あるからいっか。
「それで……! あっ! ごめんなさい……つい」
「別に大丈夫だよー! 時間あるし!」
「顔のことを言ってこない人が珍しくて……」
「顔?」
確かに彼女の顔はひどく整っている。今まで見た中で一番綺麗な人かもしれない。髪の毛もサラサラで彼女が動く度に艶のある髪がなびくのがわかる。
けれど見た目に言及する前に大量の本を持ってることが気になりすぎて質問しただけなんだが。
「それに私の話をちゃんと聞いてくれて嬉しかったです」
「人の話聞いてるの結構好きなんだ。それにあなたの話、面白かったし」
「あの……私、白銀 百合です。よかったら友達に……」
「百合ね、よろしく。私はルキア。あんまり会えないかもしれないけど友達になってくれる?」
「もちろん!」
「良かった。そうだ急いでたみたいだけど時間は大丈夫なの?」
「あ! やばい! ……せめて連絡先だけでも!」
百合がスマホを取り出した。……とりあえず私もスマホ(ソレイユ)を百合の前に出した。これで連絡先?が交換できるのだろうか。
よくわからなかったが、ソレイユがこっそりやってくれたみたいだ。スマホに百合の名前が表示されている。
「じゃあまたルキアさーん!」
「ルキアでいいよー!」
百合は走って消えていった。
「ソレイユありがとう助かったー!」
「友達できて良かったね!あのこから連絡がきたら僕が教えるよ!」
「おー! 便利!」
「サポートには自信があります!」
ソレイユとの街を探索に戻る。
するとソレイユがシャドーの気配をキャッチしたらしい。
「ルキア」
「シャドーね、どこらへん?」
「この道をまっすぐ行ったところらへん!」
シャドーの気配は百合が向かった方向にあるらしい。




