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(19) 聖の変身


「さぁ2人とも僕の手をとって!」


 ソレイユに言われ、私達はソレイユの手をそれぞれ握った。

 目の前の風景がショッピングモールから屋外へと変わっていくのがわかった。



 気がつくと森の中に立っていた。……ここは雨宮さんの研究施設がある森?いや似てるだけかな。


「ここは……?」

「森みたいだね。……見覚えがあるような気もしなくもないんだけど」

「見覚え?」

「あっ! シエルたちの気配がするよ!」


 ソレイユがシエルたちの気配を感じたってことは……やっぱり研究施設がある森なのか。


「じゃあシャドーたちのところで合流するかもね。」

「そうね! メイクアップマジック!」


 シャドーのもとへと行くために変身した。私の体全体が光に包まれる。魔法少女ルキアの完成だ。


「よし変身完了! 聖は……ついてきてもらっちゃったけどここで待機してて」

「え? ……あぁ、大丈夫」

「え?」


 いくら身体能力が高くとも、魔法少女じゃない聖がシャドーと戦うのは危ないと思って忠告したのだが……?

 聖はおもむろに首につけていたネックレスを握った。すると握られた拳の隙間から光が溢れだし、聖を包んだ。


 これは……!?


 光が収まり、立っていたのはノックスだった。……ノックスだった!? 正確にはノックスの色違いのような服装をしている聖がいた。


「それって……ノックスよね?」

「そうなんだよな。変えてほしいとは言ったけど、いいじゃんって適当に流された」

「その言い方はファタール?」

「正解。このペンダントくれたのファタールだよ」

「いつの間に? やっぱ読めない人ねー」

「ソレイユは気づいてたんじゃないか? だから俺を連れてきたんだろ?」

「え!? あ、うん! もちろんだよ!」


 ……これはソレイユも気づいてなかったな。でもソレイユって勘がいいところがあるよね。動物的本能?


 バキャッ! ドゴーン!

「「「今のは!」」」


 少し遠くで大きな物音が聞こえた。思わず顔を見合せ、会話をやめて走り出した。


 私の出るトップスピードで走っているが、聖いやノックスは、隣で同じかそれ以上のスピードで走っている。

 私の身体能力プラス魔法少女服の効果で、かなりのスピードが出てるはず。それと同じぐらいのためノックスの服にも同様の効果があるのがわかる。


「ノックスも十分に戦えそうね!」

「兄として男として、守られるだけなんてごめんだからね!」


 ノックスがニヤリと笑った。……顔がいい! それに服装も相まって危ない男のような魅力を醸し出している。色気で殴られる。

 思わず目をそらして、前へと視線を向けた。照れたのがわかったのか、軽くノックスが笑った気配がした。


「もうすぐで物音の場所だね」

「……そうだね」

「集中してね!」

「ん、わかってるよ」


 少し開けた場所へと到着すると、シャドーがいるのが確認できた。

 巨大なヒト型のシャドーだ。


「巨人……!?」

「ヒト型をとってるなんて珍しいな」

「って! 危ない!」


 ドシャッ!

 巨人シャドーがこちらへ向かって、勢いよく腕を振り下ろしてきた。ノックスと私は左右へとわかれて地面を蹴って飛んだ。

 シャドーの攻撃が振り下ろされた場所は土がえぐれ、いかに威力が強力かわかる。


「フレイム! って、あっ!」


 炎魔法を放ったはいいが、腕で防がれてしまった。というかなんで腕は燃えないの!? 疑問を晴らす前に、次々とシャドーの攻撃が降ってくる。


「……ルキアツカマエル」

「私の名前を知ってる!?」

「ルキア……キンパツ……マホウショウジョ」

「気持ち悪い!」

 

 なぜか私を捕まえようとしてくるシャドーから逃げる。

 こちらの方がまだ少しスピードは上回っているが、攻撃するには相手の隙が足りない。振り下ろされる攻撃を避けながら、シャドーの周りを素早く移動する。!? ……足がなにかにひっかかった!?


 ドサッ!

「いたっ!」


 どうにか隙を見つけ出そうとシャドーばかりを注視していたため、足元がおろそかになっていたようだ。少し出た木の根に足をとられて、転んでしまった。

 隙を見つけたシャドーは嬉しそうに笑いながら、こちらへと攻撃を仕掛けようとしてくる。振り下ろされる腕がゆっくりと視界に写る。攻撃が遅いのかな……違う、ゆっくりに見えるだけだ。


 バシーン!

「!」


 当たると思い、目をつぶったとき大きな音がした。痛くない?

 目を開くとノックスの顔が近くで見えた。


「えっ!?」

「大丈夫?」


 ノックスがギリギリで助けてくれたようだった。……お姫様抱っこ!? ……恥ずかしい。けどそれよりも今私が足手まといみたいになっているのが嫌だ。


「助けてくれてありがとう。でももう大丈夫」

「わかった」


 少しシャドーから離れた場所へとおろしてもらった。


「ねぇあのシャドーが私ばかりを狙っているのわかる?」

「うん。確かに俺が隙をみせてもこちらに見向きもしないよ」

「そう、だから私が囮になる」

「え? 大丈夫?」

「大丈夫。だって私は魔法少女で、結構強い魔法使いなのよ?」

「そっか。じゃあ……任せるよ?」

「うん、攻撃は任せたよ!」

「もちろん!」


 私達は巨人シャドーへと視線を向けた。攻撃開始だ。


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