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(18) お買い物


 目が覚める。……静かだ。


 布団から出ると冷たい空気とソレイユたちの寝息の音が私を包んだ。リビングへと移動すると人の気配はもうなく、百合は家を出たあとのようだった。

 結局あの日はあのあと百合とは顔を合わすことなく寝ちゃったからな……。もしかして今日も雨宮さんのところに寄ってくるのだろうか。

 最近百合と顔を合わせていない気がする。


 やっと百合の男性へと苦手意識が薄れたということに喜びを感じつつも、少し寂しさを感じる。


 しばらくソレイユも目覚めないだろうし(昼過ぎまで寝てることが多い)、どこかでかけようかな。



 特に買うものはないが、ショッピングモールへとやってきた。

 自分のお金ではないからたくさん使うわけにはいかないけど、ソレイユやファタールからもらった資金で少しは何か好きなもの買ってもいいはず!2人は好きに使っていいよーとは言ってたけどさすがにね。

 それにしても2人はどうやって地球のお金を獲得してるのだろうか。……私も自分で稼ぎたいな。ソレイユとかに帰ったら聞こう。

 

 百合が学校に行ってるように、みんなもどこか出かけているのかショッピングモールの中は前に来た時よりも人が少ない。


 スイーツのお店の前を通ると甘い香りがして癒され、動物がいるお店の前で小さな動物をガラス板ごしに眺め、歩いているだけでも楽しめる。

 服屋を軽く覗いたときには、地球での服はいまだによくわからないなと眺めていたらお店の人に声をかけられ、思わず逃げてしまった。


 また違う服のお店の前で立ち止まっていたときに声をかけられた。


「あれ? ルキア?」

「え?」


 声がした方へと振り返ると、聖が片手を軽く上げて立っていた。

 私は聖の方へと近寄った。私が聖の隣にいくと、彼はゆっくりと歩きだした。それに合わせるようにして私も歩きだした。


「あれ? どうしているの? 聖は学校ないの?」

「うん。大学が休みでね。まぁ休学してたともいうんだけど」

「大学?」

「あ、そっか。大学っていうのは……遥たちの学校の上の学校っていうのかな、そんな感じ」

「上?」


 百合たちの学校より上の場所に建てられているのだろうか……?


「年齢が上の人たちが通うところだね」

「なるほどー。地球だとそんなに細かくわかれてるんだね」

「ルキアのところは違うの?」

「そうね、私のところはいくつか学園があって、ある程度の年齢になったら入学する人もいるの。そして卒業後はそれぞれの職につく感じかな」

「へぇー! ルキアも学園に?」

「いや、私が住んでいるところは学園が遠くて行ってないよ」

「なるほどね」


 学校や学園について軽く話し、会話が一段落ついたところで聖に気になったことを聞いた。


「ショッピングモールにはどうして?」

「あぁ、色々生活用品買いにきたんだよ」

「なるほどね」

「あ、ちょうどいいや! 一緒に色々選んでくれない?」

「え? 私が?」

「うん。遥もいるし、俺の好みだけ反映させたら怒られそうだしね。お願い」


 聖はお願いという形で問いかけてくるが、断られるなんて微塵も思ってなさそうな顔をしている。まぁ断る理由もないけど。


「いいよ。私が選んだものを遥が気に入るとは限らないけどね!」

「たぶん大丈夫。ルキアが選んだものならなんでも気に入ると思うよ」

「プレッシャーすごいよ、それ笑」


 2人でショッピングモール内を見てまわる。

 最初に大きな家具を決めてから、雰囲気を合わせていくことに決まった。しばらく話しながら歩いていると、大きなクッションのようなものが置いてあるお店が見えた。


「あれは?」

「人をダメにするソファーだね。」

「人をダメするソファー!? え!? こわっ!」

「ルキア、いったん座ってみなよ」

「えぇ! ……食べられたりしない?」

「あはは! 食べられないよ! ほら大丈夫だって」


 聖に言われ、恐る恐るソファーへと座る。

 ……体が沈み込む!? 一瞬焦ったが、体を預けてみると……か、快適だ。

 まるでいつもベッドやソファーでとろけているソレイユのように、座りこんでしまった。いやもうこれはほとんど寝ているといっても過言ない。


「いつもぐうたらしてるソレイユの気持ちがちょっとわかる」

「それいいよね。……うん。買いだな」

「お! じゃあ今度、聖たちの家に行ったらこれがあるのね!」

「みんなで取り合いになりそうだな」


 みんなでこのソファーを取り合っているところが、具体的にイメージできて思わず笑いが出てしまう。聖も同じようで楽しそうに笑っている。


 その後も家具を探しに店内をまわった。家具を1つ決めるごとに、部屋のイメージが膨らんできて話がつきない。


「あっ! 見て大きなベッド!」

「ほんとだ。家にはベッドあるから買う必要性はないけど、大きいのも憧れるな」

「これ2人で寝ても余裕よ」

「キングサイズだって」


 大きなベッドの前で2人して話していると横にスッと店員さんが立った。


「ご夫婦ですかー?」

「「違います!」」

「あらー、失礼しました。こちらのベッド、お2人でもゆとりを持ってお使いできるんですよ。それでいて……」


 ……夫婦やカップルに間違えられたようだ。

 否定したのだが、そのまま営業トークが始まってしまった。


 聖と目を合わせ、苦笑を浮かべる。


「すみません。このベッドはちょっと見てただけで、購入したいものは他にあって……」

「あ、そうなんですね。ではその商品の購入手続きしましょうか?」

「お願いします」


 そう会話して歩きだした聖と店員の後ろを歩く。

 店員さんが聖へと何かを話しかけると、聖は驚いたあと少し照れたように笑った。……なにを言われたんだろうか。ここからだと聞こえなかった。


 その後会計をし、店を出た。


「ねぇ店員さんに何か言われて照れてなかった?」

「あー、なんでもないよ」

「なんでもない?」

「うん。気にしないで」


 もっと言及しようかと思ったが、変な圧を感じてそれ以上の追求はやめた。ちょっとこわいって。


 ポンッ!

 突然可愛らしい音を立てて、現れたのはソレイユだ。


「あっ! ルキア!」

「ソレイユ!?」

「聖もいるじゃん。ちょうどよかった。シャドーが出たよ」

「「シャドーが!?」」





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