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(17) 百合の恋!?


 ソレイユの転移魔法で神社から移動する。

 移動した先は閑静な住宅街だった。夕方ということもあり、どこかの家から焼き魚の香りがしてくる。


「キャー!」


 すぐ近くで女性の悲鳴が聞こえた。

 私は急いで走りだし、曲がり角を曲がった。


 ドンッ! ドサッ!

「キャッ!」

「あっ! 大丈夫ですか!?」


 曲がり角を曲がったすぐ先に女性がいたようで、正面衝突してしまった。私の服装が魔法少女であるということもあって、女性は軽く飛んでいってしまった。

 女性が飛んでいってしまったこともあり、クッションとして風魔法も使えなかった。倒れた女性のもとへ急いで駆け寄って声をかけた。

 ……あ、この人の服、百合や遥と同じ制服だ。


 女性はひどく怯えた表情をしている。強くぶつかりすぎてしまったのかもしれない。


「すみません。お怪我は?」

「え、大丈夫です。それよりも化物が! 追いかけてきて」

「化物? ……もしかしてシャドー?」


 女性が来た方向へ視線を向けるがシャドーは見当たらない。

 化物……? 恐る恐る、奥にある角へと向かう。そっと壁から覗き込むと、シャドーがニタニタと歩いてくるのがわかった。


「あ、いた」

「!」


 私の視線に気づいたシャドーは急いで灰色の柱の後ろへと隠れた。けれど体が大きいためか、ほとんどか隠れていない。

 私の後ろからシャドーを見た女性が悲鳴をあげた。


「ひっ! あいつよ! ずっと駅からつけられてるの!」

「あぁ、やっぱりあれが化物か」


 女性をその場に残し、シャドーへと近づく。こちらを怖がっているみたいだし、もしかしたら話し合いで解決するかも……。


「ねぇ、彼女怖がっているんだけど! 大人しく帰る? ことはできない?」

「……ジャマスルナブス」

「ブス? ……フレイム!」

「ギャー!」


 せっかく穏便に解決しようとしたのに。

 とりあえずシャドーの退治は完了したので、女性の方へと向かう。


「あの化物は退治しましたよ。もう大丈夫」

「ありがとう。……それであなたは一体何者?」

「私は魔法少女ルキア。あの化物たちを秘密裏に倒してるの」

「そう……なんですね?」


 女性は不思議そうにこちらを見てくる。確かに突然魔法少女なんて言われても驚くか……


「あの……できれば私の存在について拡散しないでもらえると……」

「あ、はい。……ありがとうございました」

「ありがとうございます。では気をつけてくださいね」


 彼女はこちらに何度か軽く頭を下げて、帰っていった。


 それにしても制服を着た彼女がいたってことはもう学校は終わったかな。先ほどまで夕日に照らされていた街並みが、すっかり暗くなってしまった。

 周りに人目がないことを確認し、変身を解除する。


「じゃあソレイユ帰ろうか」

「うん! 百合がご飯作って待ってくれてるかも!」

「そうね! 夕飯なにかなー」


 夕飯を楽しみにしながら、ソレイユの手を握って移動した。



「あれ? 暗い」


 移動すると真っ暗な部屋が私達を出迎えた。まだこの時間になっても百合は帰ってきてないのか。学校でなにか用事ができたとか……?


「ルキアー! お腹空いたよー」

「あ、そうだね。」


 部屋の電気をやらなんやらをつけ、夕飯の準備にとりかかる。

 なにか食べるものあったっけなー。



 部屋ではテレビの音が大きく聞こえる。


「ねぇソレイユ」

「なーにー?」

「さすがに百合、遅すぎない?」

「今は……21時? 確かに遅いね」

「なにかに巻き込まれてるんじゃ……」


 夕飯を食べ終わり、しばらくダラダラとしていたがいっこうに百合たちが帰ってこない。

 ソファーで溶けるように寝ているソレイユに思わず問いかけた。やはりソレイユもおかしいと思ったようで、まともな姿勢になった。


「シエルもたぶん一緒なら探せる……」


 ガチャガチャ

 さっそく探しに行こうとしたとき、玄関の鍵が開く音がした。

 百合がやっと帰ってきたようだ。玄関まで迎えに行く。


「おかえり! 遅かったね。」

「うん。ちょっと用事で遅くなっちゃった」

「用事?」

「そう。あっ! ちょっと荷物置いてくる!」


 百合は申し訳なさそうな顔をしながらも、どこか嬉しそうな雰囲気をまとっている。それに……今抱えていたのは本?

 本を読みながらふわふわと浮いているシエルを捕まえる。


「ちょっとシエルいい?」

「びっくりしました! どうしましたー?」

「今の今までどこに行ってたの?」

「あ……内緒にできます?」

「できるできる!」

「雨宮さんのところです。」

「雨宮さんの? でもあそこどこにあるかわからなくない?」

「実は結構、学校から近かったみたいです」

「へぇー」

「あ、本の続き読んできてもいいですー?」

「いいよ。夕飯はちゃんと食べるんだよー」

「わかってますー」


 シエルも百合も本当に本中毒だなぁ……


 すると一緒に話を聞いていたソレイユが不思議そうに問いかけてくる。


「なんであんな嬉しそうなんだろ?」

「やっぱり貴重な本が読めたから? それとも……雨宮さんが気になってるのかも。」

「えぇ! あの男性が苦手な百合が?」

「うーん、本人も克服しようと頑張ってるみたいだし。それに聖に対しても歩みより始めたのって雨宮さんに会ってからじゃない?」

「確かに……? 警戒しなくてもいいんだなってなったのかな。」

「わからないけどね」

「へぇ! まぁいいじゃん!年頃の女の子って感じだね!」


 ソレイユがニコニコと嬉しそうに飛んでいった。……余計な質問とかしなきゃいいんだけど。


 私も友達の恋は応援したいと思った。


 ……あれ? でも前にリュンヌがあの雨宮さんの研究施設は、人里離れた場所にあるって言ってなかったっけ。

 あのときは妖精界に異常があったからセンサーとかが狂っててもおかしくはないけど……。けれど前に学校に行ったときは近くに森なんてあるように思えなかったけど。



 この恋は応援してもいいのかな……


 


 

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