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(6) 禍々しい卵


 複数の卵の前にルーナと2人で立ちすくむ。


「これ何の卵……?」

「さぁ……? この世界にもシャドー以外にドラゴンとかいるの?」

「いるわけないでしょ。え、ルキアの世界にはいるの?」

「伝説だと思ってたけどね。よっと……」

「えっ! ちょっと!」


 会話しながら一番大きな卵へと近づいた。ところどころ太い木の根が周りを囲っているので、乗り越えながらだんだんと歩み寄る。

 それにしてもこの卵たちの周辺だけ森の様子が変だ。地球では珍しい大きさの樹木がこの辺にだけたくさん生えている。色も紫がかった変わった色をしていて、先ほどまで見ていた森とは雰囲気が異なっている。


 植物の観察をしながら進んでいると、いつの間にか大きな卵の前に来ていた。


「ルキア! 何してるの!?」

「いや近くで観察してみようかなって。……遠目で見たときはわからなかったけどなんか湿ってる?」

「……まさか触らないでしょうね!? そんな得体のしれないもの!」

「大丈夫! 毒とかはなさそう!」

「その根拠はどこから!?」


 ルーナがギャンギャンと吠えていたが、なんとなくいけると感じそっと卵に触れた。

 やはり見た通り少し周りに粘性のなにかがあるようで、ぬるりとした感覚が手のひらに伝わった。


「やっぱりヌメヌメしてるよ! 粘液かな?」

「キャー! 気持ち悪っ! 早く手、離しなよ!」

「いやなんか……?」


 ドクンドクン

 触れている卵から鼓動のようなものを感じる。卵って鼓動するものなの?というかやはりこれは何かの生き物の卵なのか。


「なんか鼓動を感じる」

「ルキア、僕はここからシャドーの気配を感じるよ」

「え? ……じゃあシャドーの卵ってこと!?」


 私についてきていたソレイユの触覚(アンテナ)がふよふよと動いている。中からシャドーの気配を感じるらしい。

 ということは生まれる前に壊してしまえばいいんじゃないか……? そう思ったけれど、前に悪意のないシャドーを見かけたこともあって魔法を放つのを躊躇してしまう。少し離れた場所でルーナとリュンヌが早く壊しなよ! と叫んでいる。


「いや実は前に……」


 説明しようとしたところで触れていた手から大きな鼓動が伝わってきた。


 ドクン!

「えっ!?」


 手のひらからこれまでと比べ物にならないほどの紫色の魔力が流れてきた。……やばい! 浄化が間に合わない……。


 意識が黒く塗りつぶされた。



 ここは……妖精界?

 どうしてここに来てしまったのだろう?と考えていると勝手に足が動き出す。それに気がつかなかったが、隣にも人がいるようだ。


「○○? 疲れた?」

「いいえ。あなたの方こそ疲れてるんじゃない? 少しふらついてるわよ?」

「気のせいだろ。それより友人を待たせるわけには行かないからな。あいつらのせいで遅れちゃったし」

「本当に。あいつらは何なのかしら。まぁ悪いやつらってことはわかるけど」

 

 またいつか見た夢(記憶? )のようだ。隣を歩くのはノックスに似た誰か。会話から察するに彼らも何かと戦っているようだ。


 しばらく雑談をしながら2人で歩いていたかと思えば、エウロのいる場所についたようだ。


「○○、○○○よく来ました」

「そんな堅苦しい言葉じゃなくて大丈夫だよ」

「そーよ。私達は友達としてきたんだから」

「といっても○○は馴れ馴れしすぎるけどな」

「そう?」

「ふふっ。相変わらず仲が良いですね」


 エウロが楽しそうに笑っている。前に私達が会ったときは妖精王としての風格があり、人間離れした存在という印象が強かったが……。

 この夢で見るとただの女の子のように見える。それにあの大樹はエウロの後ろにあり、彼女とは別のもののように存在している。なぜあのときはエウロと一体化を……?


「それで今日○○は何を持ってきてくれたのですか?」

「ふ、ふ、ふ。じゃーん! ベアの肝!」

「……肝? それは……食べられるのですか?」


 私が意気揚々と取り出したのはベアの肝らしい。肝か、私は食べたことがないけどイリオス村の酒飲みのおじさんたちが食べてるのはよく聞くな。そのためによく回収するし。

 ただエウロはそれを見るのは初めてらしく、ひきつった笑みを浮かべている。


「ほら○○、やっぱりそれじゃ食べ方がわからないんだよ。料理してから持ってくるべきだったよ。」

「あぁ、やっぱり? ごめんね。ちょっと襲われて時間がなくなっちゃったからそのまま来たんだよね」

「え、いや料理されてても……」

「「え?」」

「いや! その今回は遠慮しとこうかなぁ……?」

「そっか……大丈夫! ちょっと調理場借りてくるね! 待ってて!」

「俺も行くよ! エウロ、ちょっと待っててな!」

「いや違っ! やめてください!」


 私とノックス似の彼はウキウキと走り出した。背後にいるエウロは絶望の表情を浮かべている。

 いや確かにエウロの気持ちはすごくわかる。そうよね、肝って聞いたらちょっと躊躇するよね。

 

 面白いやり取りにクスッとしていると目が覚める感覚がした。



 目をあけると真っ白な天井が視界に入ってきた。

 ここは……どこ?


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