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(2) 家族

今回からルキア視点に戻ります。


第1章をざっくりとまとめたものを置いときます。覚えている方はここを飛ばして本編に入っていただいて大丈夫です!


魔法が使える世界の住民のルキアは、いつも同じ夢を見ていた。その夢で魔法少女になってほしいと頼まれた。

その地球という世界で友人ができる。友人の名前は白銀百合。そして百合も魔法少女リリィへと変身することになった。

2人で魔法少女として活動していると、敵らしきノックスという人物が登場した。そのノックスとルキアの間には何か繋がりがあるようで……?

そして新たに現れた魔法少女ルーナ。そのルーナはノックスの妹!?ルーナも仲間に加わり、ノックスの浄化をすることに……

第2章はノックスとの戦闘後のお話から始まります。




 激しく運動したあとには……


「とりあえず甘いもの食べたい!」

「「「え?」」」


 疲れたときには甘いものを! と考えていたら思わず声に出ていたようだ。その場にいた全員の視線が私に向けられた。


「ごめん、声に出てた?」

「思いっきり出てたよ。お腹すいたの?」

「うん。ちょっと疲れちゃったしね」


 じゃあみんなでお菓子でも食べようかと話し合っていたとき、ルーナが困った顔をしてるのが見えた。


「ルーナどうかした?」

「実はこの家……お菓子なくて……」

「あぁ全然気にしないで!」

「いやその……他にも色々なくて」

「色々?」

「本当に何もないのよ」


 ルーナが言い渋っていると、リュンヌが横から説明を始めた。

 そしてそのまま月影遥がどうして魔法少女になったのかが明かされることになった。……というのは嘘で、このまま話すと長くなるので、とにかく休憩することにした。


「なにもないって……食べ物とかの話じゃなくて?」

「とりあえず見てもらえばわかると思う」


 そう言ってルーナは地下室の扉を開け、階段へと向かった。

 その後をリリィ、私、ノックスと続く。そういえばノックスは一応ここの住民だし、確かブランケットを上から取ってきていたはずでは?

 軽くノックスに事情を聞こうと振り返り、問いかける。


「ノックスー! なにか言いづらい事情があるの?」

「あー、俺もよく知らないんだよね」

「え?」

「その……長い間家を空けてたし」

「あ、そういえばそうよね」

「うん。俺が前に住んでたときは別に食べ物ぐらい家にあったし。……あ」


 ノックスは不思議そうに考えていたが、なにか思い当たることがあったのか少し暗い顔をした。


「ノックス?」

「あ、ごめん。いや……親がさ甘いもの好きでいつも家に常備してたんだけど。……亡くなってからはさすがにね」

「そ、そっか。……だからルーナは……」

「うーん。でも家にお菓子がないくらいであそこまでは……」

「そういえばブランケット取りに行ったのってノックスよね? そのときになにか気づかなかったの?」

「少しほこりっぽいなってぐらいかな。結構広い家だし、掃除ぐらい行き届かないこともあるんだよね」

「へぇー。ルーナは部屋を見ればわかるって言ってたけど」

「ついたわ」


 先頭を行くルーナが部屋に到着したらしく、こちらを振り返ってきた。その表情にはどことなく不安な感情が表れている。

 まるで怒られる直前のランの顔みたいだ。思わず階段をかけのぼり、ルーナの手を握った。


「えっ!? なに?」

「ん、なんとなく。……私ね、まだあなたと出会って短いけど、大切な友達だと思ってるよ」

「急にどうしたの?」

「……友達だから、大好きだから、なんでも受け止めてあげたいの」

「ルキア……」

「不安とか絶望とかなにかあるのかもしれない。全てをわかることはできないけど、わかち合いたいと思うの。

 ……それにたくさんの人と心の痛みを分けあったら、楽になるよ!」


 思わず後ろのみんなを巻き込んでしまった。けれど後ろでリリィやソレイユなどがうなずいているし、ノックスは優しく微笑んでいるからおっけーだろう。

 ルーナはそれを見て目を丸くしていた。そしてゆっくりと小さな笑みを浮かべた。その笑みはノックスとそっくりなものだった。


「ルキアってほんとバカね」

「えっ!? 今の流れでそんなこと言われる!?」

「でも私の方がバカかもしれない」

「え?」


 ルーナはすぐに前を向いて、扉を開けた。

 扉を開けた先には廊下が続いていて、左右にいくつかの部屋と正面に部屋があるようだった。廊下には特に変なところはないと思った。

 すると私の少し後ろにいたノックスがすぐ近くの右の扉を開いた。


「ノックス?」

「あぁ、ここ俺の部屋。さっき開けたときほこりっぽかったし、換気しとこうかなって」

「そういうことね。え、見せて!」

「おもろいものとかないよ?」

「いいのいいの!」


 部屋に入っていくノックスを見て、私も続いて入った。他のみんなはルーナのあとに続いてついていったようで、部屋には2人だけだ。明かりがついていないため、あまりよく見えないがノックスらしい落ち着いた雰囲気の部屋である。

 ノックスは迷いなく窓に近づいていき、大きく開いた。カーテンが閉められ、ほこりが舞っていた部屋に新鮮な空気が流れ込んできた。


「んー! いい風!」

「換気するだけでもちょっと良い空気になるね。まぁ本格的に掃除はしなきゃだけど」


 ノックスの言葉で改めて部屋の中に目を向けた。やはり落ち着いた雰囲気の家具が多く、全体的に黒や白などの色が多い。そしてほこりがすべての家具に積もっているのがわかった。

 窓から入ってくる太陽光に1枚の写真が照らされている。思わず手にとると……そこにはルーナ、いや月影さんとノックス、そして2人に似た男女が写っている写真だった。


「これって……家族写真?」

「うん。……久しぶりにまともに見たな」

「そうなの?」

「俺も……遥ほどじゃないけど両親の死が堪えていて。あまり見ないようにしてたんだ」

「そっか……」

「でも……ずっと悲しんでるよりは思い出を語れるぐらいになった方がいいよな」

「そうだよ。……たくさん聞かせて。2人の親なんて素敵な人たちだろうし」

「母親はルキアに似てるよ」

「えっ!? そうなの?」

「あぁ、遥にも聞いてみるといいよ」

「わかった! じゃあ行こう! みんな待ってるかも!」


 私はルーナたちのいる部屋へと向かい始めた。



 ノックスは1人残された部屋で家族写真を手に取る。


「なんでだろうな。今まで苦しいだけだったのに。なぜか今は心が軽い。……忘れようとしてごめん」


 そうつぶやいて家族写真を置いた。

 ノックスは部屋から出ていき、扉が閉められた。

 

 日の光で満たされた部屋では家族写真の笑顔がより深まった気がした。



 


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