(25) ルーナとの情報共有
「で、どうする?」
「どうするって……いったん運ぶしかないよね。」
「リリィの家はやめとくとして、どこに運ぶ?」
「どこかの空き地とかだと一般人が来る可能性があるしな……」
「こんなときに秘密基地があれば……!」
みんなで話し合う。けれど誰も良い案が浮かばないようで険しい顔をしている。
「ソレイユ、シエル! そういうのないの!?」
「僕たちに空間を作る魔法はないんだよー!」
「えー! なんでもできると思ってたのに!」
「一応、視認性を低下させる魔法ぐらいはあるけど、ちょうどいい場所がないのが問題なんだよね」
「……それなら私の家に」
リリィの家は集合住宅であるため、もしノックスと戦闘になったときに大きな被害が出る可能性がある。そのため却下。他に人目を気にせずにいられる場所の候補に悩んでいると、ルーナが自宅を提案してくれた。
「え!? 大丈夫なの? ノックスがお兄さんだとしても、もし暴れたら……」
「私の家、戦闘しても大丈夫なようになってるから」
「そうなの!?」
「だから運んで大丈夫」
「ルーナ!」
「なに? リュンヌ? こうするのが一番でしょ。」
「いいの?」
「……友達だし」
「「ルーナ!」」
ルーナについている妖精らしきマスコットはリュンヌというらしい。まるで私達のことが見えていないようにルーナとだけ会話をしている。あまり私達のことを良く思っていないのかもしれない。理由はわからないが。
とりあえずリュンヌのことはルーナが説得してくれたので、ルーナの家へと移動することになった。
「それにしても……私達はソレイユとシエルそれにリュンヌ? に運んでもらうとして……」
「そうね、彼は……」
「それならノックスのことを皆で掴んで!」
「え? わ、わかった。」
魔法少女たちはそれぞれ片手をお供の妖精に、もう一方の片手でノックスを掴んだ。
「それじゃ、行くよー!」
目の前の風景が変化した。
気がつくと大きな部屋に移動していた。部屋といっても、全面は灰色で覆われ、家具という家具は存在しない。唯一あるのはタンス1つのみで、あとは出入口であろう扉があるだけだ。
「ここは……?」
「私の家。地下にある訓練用の部屋よ」
「えっ! すご! ……いつから魔法少女なの?」
「それより……さすがにあれを放置はまずいんじゃない?」
「「え、あ!」」
謎の灰色の空間についてルーナに聞こうと思ったが、ノックスを床に放置してしまっていた。布団もない部屋なので、ノックスは床にそのまま転がされていた。ルーナが持ってきてくれた簡易布団に3人がかりでノックスを寝せた。
ノックスが目覚めないので、とりあえず3人で会話することにした。
「それにしてもルキアちゃん丁度いいタイミングで来てくれたね」
「頑張って世界を越えてきたんだよー!」
「自分で越えれるようになったの?」
「え、待って! 世界を越えるってなに?」
ルーナが驚いたように話を遮った。そういえば説明してなかった。
「あー、私実は異世界人なの。」
「……異世界人?」
「そう。地球とは違う世界で生活しているの。最初は……ソレイユが魂を呼んだんだっけ?」
「いや正確には僕の力じゃないよ。妖精王にお願いしたんだ」
「「そうなの!?」」
「妖精王? リュンヌ、なにか知ってる?」
「そうね。私たちを管理している者ってところかしら」
「リュンヌ! そんな言い方!」
「なに? というか馴れ馴れしく話しかけないで。」
リュンヌは不機嫌さを全面に出して、部屋の端っこへと向かってしまった。
「ソレイユ、なにかしたの?」
「え、僕?」
「今の流れは完全にそうでしょうよ。」
「わかんない。昔からリュンヌはよくわからないことで怒るんだよね」
「ソレイユは色々と大雑把ですからねー。まぁサボりがちといいますか」
「えー! 大雑把はまぁいいけど、サボってはないよ!」
「あなたは昔から興味があるものにしか真剣にならないでしょう」
どうやらソレイユとシエル、それにリュンヌは昔から付き合いがあるようだ。妖精同士だから知り合いかもとは思っていたが。人間にも性格の合う合わないがあるし、妖精にも馬が合わないことがあるのかもしれない。
とりあえず今はルーナについてや、私達が持っている情報を共有することにした。まず私がなぜこの世界に来たのか、魔法少女になった経緯などをルーナに話した。ルーナは異世界というものに疑問を持ってはいたが、シャドーや魔法少女という存在があることからそういうこともあるのだろうと理解してくれた。その中で、どうやって私が地球に来たのかが解明された。
「ソレイユ、いつどうやって私が地球に来るのかはわからないって言ってなかった? 妖精王の力ならエウロなら知ってるんじゃないの?」
「実は……妖精王はあまり意識を保っている時間がないんだ。」
「え? 確かに少し力が弱まってるとは話していたけど。」
「この間はかなり頑張っていらっしゃったんですー。お2人へ力を与えてさらに意識がある時間が短くなってしまいました」
「「そんな!」」
「でもきっと闇の根源を浄化できれば……」
「うぅ……」
妖精王エウロについて詳しく聞き、より深く聞こうとしたときうめき声が聞こえた。みんなで一斉に視線を向けると(リュンヌもそっぽを向いているように見えて、こっそり心配そうに視線を向けた。)ノックスが心臓をかきむしるようにしていた。
あまりに苦しそうなので急いで近寄った。ノックスの核は心臓近くにあるようでそこへと魔力が流れているのが見えた。しかし私達と異なるのは紫色の光を帯びていることだ。
「これって、この紫色の魔力で苦しんでる!?」
「浄化すればいいってこと?」
「えっ! でも浄化なんてどうすれば……燃やす?」
「燃やす!? 兄さんを燃やすなんて! ……でもどうにもできないならば私がこの手で止めを……」
「いやルーナ早まらないで!?」
燃やすだけだと言葉足らずだった! 急いで説明する。
「前に私の世界で紫色の魔力に乗っ取られた友人を浄化したの。そのときは体を燃やさずにその魔力だけ浄化できたの。……とりあえずやってみる!」
「じゃあ私はヒールを!」
「……私は魔力を自分の体にまとませる攻撃しかないから……何もできない。」
「ルーナはお兄さんの手を握っててあげて!」
「リリィ……。わかった!」
3人でノックスの浄化に取りかかった。




