(21) ただいま
無事に家に帰ってきた……と思えば意識が深い場所に落ちていく感覚がする。また帰るときかも。
「ごめ……もう眠い。元の世界に帰るかも。」
「あっ! ほんとだ! ルキアちゃん消えかかってる!」
「うん……。え!? 消えかかってる!?」
そのまま意識を落とそうとしたときに、気になることを言われた。一気に眠気がさめて、自分の体を見ると確かに透明になりつつあった。
「うわぁ! ほんとに透けてるじゃん!」
「あっ! 意識はっきりしたの?」
「さすがに気になるし! でも意識がちゃんとあっても消えるんだ。……ちょっと眠いけど」
「眠いの?」
「んー、自分の意識とは別に無理やり眠らされそうな感じかな。眠くないけど眠い……みたいな」
体の透明化に騒いでいると強制的に意識が落とされた。急に暗闇に突き落とされたような……。
・
・
・
「はっ!」
目を開くと元の世界の寝室の天井が視界に入ってきた。戻ってきたみたいだ。でもおかしいな。地球に行く前はリビングの椅子でうたた寝したと思ったんだけど。お母さんは体調が悪いし、ランは小さいし……誰かが家に来たのかな?まぁ村の誰かなら知り合いだしいっか。
なんだかとても喉が渇いたのでリビングへと向かった。
ガチャ
リビングへと入るとお母さんがテーブルに突っ伏しているところだった。寝てるのかな?でもあんなところで寝てたら風邪ひくし起こすか。
「お母さんー? 風邪引くよー?」
「……ん、ルキア? 夢ね……」
「もう寝ぼけてるの? 寝るならちゃんとベッド行こう?」
「……本当にルキアが言いそうなこと言うわね」
「本物だからね! ほら! 立たないなら私が運ぶよ!」
「キャッ! えっ!? 夢じゃない!?」
「夢じゃないって言ってるじゃん! もうこのまま運ぶねー」
「待って待って! 一旦おろして!」
「えー? まぁ、わかった。」
真剣な顔でおろしてと言われたので思わずそのままおろしてしまった。寝ぼけているようにも見えず、強いて言えば焦っているようにみえる。不思議に思っていると、急に肩を掴まれた。
「どうしたの?」
「ルキア! 体はなんともないの!?」
「えっ!?」
「ずっと……目が覚めなくて心配してたのよ!」
「え? ちょっと昼寝してただけでしょ?」
「昼寝!? 何日も目覚めないのが!?」
「何日も……。そんなに向こうに」
「体調は?」
「とっても元気!」
「そう。……オババが言った通りだったのね」
「オババ?」
お母さんによると、最初はただ寝てるだけだと思い放置していたらしい。しかし夜になっても、日付が変わっても起きないため何かおかしいと思ったらしい。
そのため医者を呼んだが、原因不明。魔力量も変化なく、魔力切れで倒れているわけではない。特にできることはないと言われたようだ。とは言っても2、3日で目覚めるだろうと思っていたが、私がなかなか目覚めないためおかしくなりそうだったらしい。
モンスター討伐隊の面々がバラバラにお見舞いに来てくれたらしい。そしてアクアが見舞いに来てくれたときに、オババに聞いてみるのはどうかと進言してくれたようだ。そのためお母さんはオババに話を聞きに行ったようだ。
「オババ……ルキアはどうして目が覚めないのですか?」
「あの子は使命を果たそうとしているのさ。」
「使命……? それはいったい……」
「大丈夫。あの子は強い。それに仲間たちがいる」
「あの子は夢の中で何かを成し遂げようと?」
「夢か。そうとも言えるし、この世界のことでもある」
「……きっとすごい使命なのでしょう。ですが私の娘です。そんな危ないことはしないでほしい!……モンスター退治に行かせている私が言うべきではないのかもしれませんが」
「そうよな。たとえ強くあったとしても、家族はいつも心配なんだ。……しかし私達にできることは少ない。信じて待つしかないのだよ」
「待つ?」
「あぁ。きっと成し遂げる。信じて待っているだけで大丈夫。あの子が帰ってきたときに心配するからちゃんと寝なさい」
「はい」
このように話されたため、無事に帰ってくると願いながら待っていたらしい。
「でも寝てる間にルキアがいなくなるんじゃないかと思ってよく寝れなかったんだけどね。」
「お母さん……ごめんね。」
「使命は果たせたの?」
「まだだよ。なにが使命かはよくわかってないけど……夢の世界もこの世界も守ってみせるよ。」
「そう。……無理しないでね。あなたは大切な娘なんだから」
お母さんが優しく抱き締めてくれた。病気がちで細い体を感じる。やはり私が守らないと。……きっとこの世界のモンスターもあの闇の力に関係あると思うから。
・
・
・
その後、お母さんはやっと寝れると寝室へと向かった。私はキッチンで水を飲もうと水瓶に近寄った。……空だ。しかたなく外の井戸へと向かった。
外に出ると夜のひんやりとした空気が体を包んだ。寒いし早く水を汲んで帰ろ。井戸へと水瓶を抱えたまま足早に歩く。どこからか風の音がする。
バギッ!ドシン!
「えっ!? 何の音!? モンスター!?」
寒さに震えながら歩いていると轟音が聞こえた。まさかモンスター? だけどここは村の中心近くにあり、森からはかなり離れているのに。急いで音のもとへと向かうと人影が見えた。
金髪の髪をボサボサにしながら彼女は立っていた。ランだ。……え?




