(19) 魔法少女ルーナ
「魔法少女ルーナ?」
「そう! やばいって思ったときに来てくれたんだよね!」
「へぇー! それで月影さんがルーナだとどうして思ったの?」
あのとき助けてくれた彼女の姿を思い浮かべる。
「んーと、同じ綺麗な黒髪と……」
「と?」
「変身ステッキみたいなものを持ってたんだよね。彼女のカバンの中身が散らばっちゃったときに偶然見ちゃって」
「そうなんだ! あのときか。ソレイユさんとシエルは何か感じました?」
「僕は彼女からルキアたちみたいな波動を感じたな」
「私もですー」
「それなら! やっぱり彼女が魔法少女ルーナかもしれない。百合、連絡とれたりする?」
「いや、連絡先知らないんだよね。クラスの人に聞いてみるね!」
百合はスマホを取り出して、クラスの人たちに連絡を送り始めた。
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しばらく百合がスマホとにらめっこをしていたかと思えば、こちらに声をかけてきた。
「月影さんの連絡先持っている人はいなかったんだけど、あの後見かけた人がいるって!追いかける?」
「うん!」
位置情報を送ってもらい、そこへと飛ぶ。もういないかもしれないが、とりあえずすぐに行くためだ。
「さぁ2人とも僕たちに掴まって!」
ソレイユとシエルの手を掴み、目撃情報があった場所へと飛んだ。
目を開くとどこかの路地だった。見覚えはない。
「ここが?」
「あっ! ここ学校から近いよ!」
「そうなの?」
「うん! 家から近道でたまに通るよー」
百合がたまに通るという路地は、大通りから少し離れた場所であまり人気がない。よくないやつらが隠れやすそうな場所にも感じる。
こんなところ女の子が通ったら危ない!それに百合は綺麗だし、よく男の人に声をかけられているのみるしな……
「こんな人気のないところ?危ないよ!」
「明るい時間だから大丈夫だよー! それより……月影さんはいないみたいね」
「確かにいないね。さすがにもうどこか行っちゃってるよね。……そうだ! ソレイユ、魔法少女の気配?みたいなの感じないの?」
「えっ!? いや変身してるならまだしも、変身してない状態ならわからないよ」
「えー? そっかー」
「どうする? この辺まわってみる?」
「そうだね!」
とりあえず近くにまだいるかもしれないと思い、歩き始めた。といっても特に手がかりがあるわけでもないので、色々と遊びながらだが。
カフェに行ってスイーツを食べたり、ゲームセンター? でプリクラというものを撮ったり、色々と楽しんだ。これまでも地球で色々と体験してきた。だけどそれも家の中で過ごすことが多かったし、こんなにも楽しいことがあるなんて驚いた。
……もちろん月影さんを探してはいるけど。
「「あっ!」」
「ソレイユ? シエル? どうしたの?」
「「シャドーの気配!」」
「「!」」
シャドーが現れたらしい。大通りから横道へと入り、変身する。
「「メイクアップマジック!」」
私達の体が光に包まれる。そして……変身完了!
ソレイユとシエルに掴まり、シャドーのもとへと飛ぶ。
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飛んだ先はカラフルな建物や乗り物で溢れている場所だった。楽しげな音楽が響き、大きな乗り物がたくさん動いている。……あれもこれも面白そう!思わず目的も忘れて、眺めてしまう。
「わぁ! なにここ!」
「遊園地だね。遊ぶ場所だよ!」
「へぇー! 楽しそう!」
「じゃあ今度一緒にまた来よう! シャドー退治じゃなくて普通に遊びに来よう!」
「いいね!」
「2人ともあっちから気配がするよ!」
遊園地に目を奪われていると、ソレイユがシャドーの場所を示した。危ない、危ない。まずはシャドーを倒さなきゃね。
リリィと2人でシャドーの場所へと向かうと、大きなシャドーが暴れている。……今日のシャドー、変だ。いつもはどろどろの形をしているのになんとなくドラゴンの形をしている。
「あのシャドー……ドラゴン?」
「ドラゴン!?」
「いやなんか私が自分の世界で倒したドラゴンに似てるなーって」
「なるほど……。確かに本でよく見るドラゴンっぽい形してる」
「でもやることは変わらない!」
「そうだね!」
2人でシャドーへと魔法を準備し始めた。
「フレイム!」
「ルミナス!」
「ワタシノジャマヲスルナ!」
「人に危害を加えるのなら倒すだけよ!」
「コイ! シモベドモ!」
「「え?」」
確実にシャドーへとダメージを与えていると、ドラゴンシャドー? は仲間を呼ぶようなことを言った。そのことに疑問を持ったとき、ドラゴンシャドーの足元から黒い液体が広がり始めた。液体?はボコボコと膨れ始め、そこからシャドーが何体も出てきた。
「なっ! シャドーを生み出した!?」
「ドラゴンシャドーを倒せば消えるかも!」
「確かに! フレイム!」
「あっ! 生み出されたシャドーたちが邪魔で本体にダメージがいかない!」
「……片っ端から倒すしかないみたいね」
生み出されたシャドーたちがドラゴンシャドーを守るように位置している。そのためある程度蹴散らしてから本体に攻撃を仕掛けないとダメだと思われる。
……私達は魔法をシャドーたちに放ち始めた。
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何十体……いや何百体倒したのだろうか。まだまだ多くのシャドーたちがドラゴンシャドーを守っている。
前はこれほどまでのシャドーがいたら、魔力切れで倒れていたかもしれないが今は大丈夫だ。伝説の勇者が倒したドラゴンの核や、生み出されたシャドーたちの核を吸収しながら戦っているため余裕があるのだ。
……しかしこのままでは埒が明かない。
余裕だと侮っていたからだろうか、ある1体のシャドーがどこかへ猛スピードで走り出した。
「ん? あのシャドーどこへ?」
疑問に思い、視線を向けると……1人の少女が立っていた。そこへシャドーが狙いを向けたようだ。まずい!
急いでそちらへと足を向けたが、魔法少女として強化された身体能力を持ってしても間に合いそうにない。女の子は恐怖からか1歩もそこから動けないようだ。
「逃げてー!」
「イタダキマス!」
目の前に最悪な光景が広がると思われたそのとき、シャドーの体が横へと吹き飛んでいった。
「「え!」」
吹き飛んでいったシャドーに驚きつつも、急いで女の子を確保しシャドーたちから離れた場所へと連れていった。その女の子は1人でも頑張って戻れるというので、不安であったがそのまま逃げてもらった。
そして先ほどの場所まで戻ると、吹き飛んでいったシャドーに1人の少女が止めを刺しているところだった。あれは……魔法少女ルーナ!
消滅していくシャドーを背に、黒髪を揺らしながらルーナが歩いてきた。




