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(18) 情報過多


 百合の家に帰ってきたが、まだ百合もシエルも出かけているようだった。扉をあけると無言の空気が私達を出迎えた。


「あれ? 百合まだ帰ってきてない?」

「まだ学校なんじゃない?」

「あー! 学校! 前に教えてくれたよね! 興味あるなー!」

「じゃあ迎えに行こうよ!」

「お! いいね!」



「おぉー! 同じ服を着た人がいっぱい!」


 学校の前の校門というところまでやって来た。ちょうど帰宅する人が多いらしく、続々と建物から人が出てくる。ちなみにソレイユはキーホルダーとして私の腰にぶら下がっている。


 しばらく校門に背中を預けて立っていると人のざわめきが大きくなった。


「……?」


 なんだと思い、門から中を覗き込むと多くの人が立ち止まってある1点に視線を向けている。あの中心にいるのは……百合だ! ぼーっとした表情で歩いている。

 あれは頭の中で空想でも思い浮かべてるときの顔だな……?


 ふと現実に思考が帰ってきたらしく、まっすぐにこちらを見た。目が合ったと思ったと同時に、百合の目が輝きだした。満面の笑みだ。

 その一連の流れを見て、周りの人が一斉にこちらを見た。こわっ!


「ルキアちゃーん!」

「やっほ、百合ー」


 ご主人様を見つけた犬のように百合が駆けてくる。


「ぐふっ!」


 思いっきりハグをされた。まるで感動の再会だ。ただ百合の勢いが強すぎて、私にダメージが入った。


「どうして迎えに来てくれたのー?」

「ちょっと学校に興味があって。それに時間あったからね!」

「えー! じゃあ一緒に通う? きっとそれなら学校が楽しくなると思う!」

「そんなホイホイ入れないでしょ笑」

「必要なら出来るよ!」

「ソレイユ!? ……本当に何者よ……」


 抱きしめられたままだと苦しいので、少し離れてもらった。


 そのまま家に帰ろうかと歩き出したが、周りに百合と似た服を着た人たちが囲むように立っていて、なかなか進めない。

 周りにいる人たちは話しかけてるわけでもなく、一定の距離でこちらを見てくる。百合が気にしていないため、私もスルーする。

 

 ドン!

 百合と、それにこっそりとソレイユとシエルを交えて話していると誰かにぶつかってしまった。


「すみません!」

「いえ」

「あっ! 拾います!」


 ぶつかった相手は眼鏡をかけた黒髪の少女だった。先ほどソレイユに教えてもらった制服というものを着ていることから、百合と同じ学校の生徒なのがわかる。

 ぶつかったときに彼女のカバンの中身が出てしまったらしく、いくつかものが地面に転がっている。慌てて拾うのを手伝うと見覚えのあるものが視界に入った。


「これって……変身ステッキ?」

「!」


 思わず手にとろうとしてまったが、彼女は急いでステッキをカバンへとしまった。一瞬しか見れなかったけど、あのキラキラの装飾のついたステッキは……


「ありがとうございます」


 小さな声でお礼と会釈をして彼女は走り去った。


「あ、月影(つきかげ)さんだ。珍しい」

「百合知ってるの!?」

「え!? なになに!?」


 勢いよく反応したため、ちょっと驚かせてしまったようだ。


「今の彼女のこと!」

「え? うん。同じクラスの月影 遥(つきかげ はるか)さん。いつもすぐに帰っちゃうし、休みがちだし話したことないんだよね。見かけること自体、珍しいというか」

「そっか」

「ルキアちゃん気になるの?」

「うん、ちょっと。……でもここで話すには人目が……」

「あー、確かに」


 早く百合に月影さんのことを聞きたかったが……。今もなお、周りの人たちが私達の会話を聞こうと耳を澄ましているのがわかる。百合は人気者なんだな。


 コソコソ

「ソレイユ、シエル。早く飛ばない?」

「家に帰るだけでしょ? そんな魔力の無駄遣いはできないよ!」

「え? あ、飛ぶのも魔力使ってるんだ。」

「当たり前だよ! じゃなきゃどうやって飛んでるんだよ!」

「いやー、なんかソレイユたちはよくわかんない生物だから、私達とは違うのかと」

「失礼な!」

「あはは! まぁまぁ、なんか緊急性が高いみたいだし、こっそり飛べたりしないかなー?」

「まぁ百合がそう言うなら飛ぼう!」

「ちょっと……!?」


 結局、百合の説得? もあって人目につかないところまで行き飛ぶことになった。

 周りの人たちを振り切るために、不意をつくようにして走り出した。足の速さには自信あるんだよねー! 百合の手を引っ張るように突き進んだ。


 というかやっぱり私と百合の扱いが違うような気がするんだが!? 疑問を浮かべながらも人目につかない場所で、ソレイユたちの手を掴んだ。



「「ただいまー」」


 4人で百合の家に帰ってきた。もうずっと入り浸りすぎて第2の家のように思えてきた。


「それじゃー、お話タイム!」

「「「いえーい!」」」


 話したいことがたくさんあると百合に言ったら、たくさんのお菓子を用意してくれた。買ったものもあるが、百合のお兄さんの知り合い?が作ってくれるお菓子が定期的に送られてくるらしい。

 ちなみに百合のお兄さんは寮で暮らしているため、百合とは一緒に住んでいないとのこと。前に長期間、地球にいた間にも送られてきて私はそのお菓子の虜になってしまった。頭を使う話には甘いものだよね!


「それでどうしたの?」

「何から話そうかな……」


 とりあえずなるべく経験した順に話すことにした。


 私の世界でも核を吸収できること、そしてドラゴンの核を吸収したこと、核を吸収できるのはたぶん魔法少女だけであるということ。他の人が吸収しようとすると逆に飲み込まれること。

 飲み込まれかけた友人を救うのに、どこからか変身ステッキが現れた話。


「急にステッキが現れたんだよね……それにリリィの魔力も感じた」

「それは僕のおかげ!」

「やっぱり?」

「僕たちがそちらに行くのはできないんだけど、ステッキならありかなって!」

「本当、ギリギリですけどね」

「シエル? ギリギリっていうのは?」

「うーん、まぁルールの抜け道みたいなものですー。これ以上は特に説明できないですー」

「そっか」


 とりあえず私の世界で起きたこと。次にこちらに来てから起きたことを話した。

 ノックスを見かけ、追いかけたら魔力を奪われそうになったこと。それを助けてくれた少女がいたこと。その少女はあの月影さんなんじゃないかと思っていること。


「私達の他にも魔法少女が?」

「うん、魔法少女ルーナだって」


 まだまだ会議は続く。




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