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(17) あなたは何者


 無事にアクアを家まで運べた。その途中で討伐隊のメンバーの1人に会ったので、このまま帰宅することを伝えといた。そのため皆に心配をかけることはないだろう。

 アクアの意識がないのを不思議がられるかと思ったけれど特に何も言われなかった。私も復活したばかりだし、アクアが私に抱えられているのも、まだ体調が万全ではないと思われたようだった。


「ただいまー!」

「おかえり。早かったね」

「ちょっと休みたくなっちゃって、というかランは?」

「オババのところよ。」

「えー? 1人で!? 大丈夫なの!?」

「まだ日が高いし、村の中だから大丈夫よー」

「そうかなー?」

「ふふふ、過保護ねぇ。あなたがランの頃も1人でオババのところへ行っていたじゃない」

「そうだっけ?」

「そうよー」


 ランはもう1人で出歩けるようになったのか……。まだまだ赤ちゃんだと思ってたのに。少し寂しい気持ちになりながら椅子へと座った。なんだか色々あって疲れたな……。



「あっ! ルキアやっほー!」

「……ソレイユ。」


 うたた寝をしようと思ったら地球に来ていたようだった。


「ねぇ聞いてもいい?」

「何をー?」

「どうして私は魔法少女になったの?」

「君が魔法少女になるべき人だからだよ。」

「えっ? 決まってたってこと?」

「……勝手に約束を果たそうとしてるだけさ。」

「また……約束。いったい何の?」

「僕からは話せない。」

「え!? 話してよ!」


 これ以上問い詰めても、何も答えてくれなそうだ。ソレイユは答えないアピールするように寝始めてしまった。……部屋に百合もシエルもいないようだし、外にでもいこうかな。



 冬が本格的になってきて、とても寒い。空気が澄みわたり空が高く見える。街を歩く人は恋人同士が多いようで、1人で歩いてるのは私ぐらいのように思われる。

 ふと街をぶらついていると1人の男性が目に入った。あれは……ノックス!? 思わず追いかける。


 人混みをすり抜けながら追いかける。何度か角を曲がるとノックスの姿が見えなくなってしまった。


「あれ? いない……」


 ドガーン!

「え?」


 大きな物音が聞こえてきた。まさかシャドー!?急いで音の方へと向かう。


「ギャー!」


 やはりシャドーが現れたようだ。何事か叫びながら暴れている。……ソレイユがいないから魔法少女に変身できない。そのまま戦うしかないかも。

 しかしシャドーは羽のようなものが生えていて、狭い路地の上の方で暴れている。このまま魔法を放ったら、周りに甚大な被害を与えてしまう。


「オマエノチカラヨコセ!」

「なっ!」

「クワセロ!」

「くっ!」


 なぜか執拗に私を食べようとしてくる。もしかしてシャドーも核を取り込めるのかもしれない。人間にも核があるって言ってたし……ヤバい!


 ドン!ドン!

「ニゲルナ」


 空中からシャドーが素早く降ってくる。持ち前の運動神経で避けてはいるが、もう魔法を放つしかないかも。幸い周りに人はいないようだし。

 覚悟を決めたとき、何者かに手首を掴まれた。


「えっ!?」

「ルキア、君にはやはり何かあるみたいだね。」

「ノックス!?」


 先ほど見失った彼が私の背後にいつの間にか来たようだった。……掴まれたところから私の魔力が吸われてるのが見える。


「放して!」

「放したら魔法を放つつもりだろう?いいの?魔法少女が暴れても。」

「暴れるわけじゃないわ!この世界を守るために放つの!」

「へぇー?まぁ別に僕たちにとっては邪魔だから妨害するんだけどね。」

「いったい何の目的で……」


 ヒュン!ガン!

 なんとかノックスの腕を振り払おうとしていたとき、間に現れた人物がノックスに蹴りを入れた。そしてノックスは手首を押さえながら数歩、後ろへと下がった。

 現れた人物は後ろ姿しか見えないが、ノックスと同じような黒い髪が腰ほどまである女性が立っている。彼女はいったい?彼女の手足に光が集まったと思えば、次々と攻撃をノックスへと放ち始めた。

 ノックスは話す余裕がないようでだんだんと路地の隅へと追い詰められていく。


「……くっ!今日は退くよ。またねルキア。」


 そう言い放って壁に開けた異空間へと去っていった。大量のシャドーを出現させていきながら。


「こんな量のシャドー!危ない!」

「大丈夫。」


 思わず黒髪の彼女に声をかけてしまったが、なんでもないような声で返事をされた。そして平然と大量のシャドーたちへ向かっていく。


 ドガッ!ドガッ!ドガッ!

 確実にシャドーの核を狙うように攻撃を叩き込んでいる。一瞬にして辺りは静かになった。


「あの……助けてくれてありがとう」

「いいえ。……あなた彼に狙われているようだけど心当たりは?」

「あるような、ないような……あなたはいったい?」

「私は魔法少女ルーナ。彼を追ってるの」

「え?」

「ルーナ、あまり話しすぎないほうが」

「そうねリュンヌ」


 私達の他にも魔法少女がいるのかと驚いている隙に、ルーナは四角い建物の上へと跳んでいってしまった。すごい身体能力……


「ルキアー! 無事ー!?」

「ソレイユ!」

「ごめん……」

「いいよ。たぶん事情があるんでしょ?それにほら無事だから。」

「でも変身できなかったはずじゃ? ……ステッキも送れなかったし」

「そう! それで話したいこともあるんだよ!」

「そうなの?」

「うん! だから帰ろ!」


 話すことがたくさんある。ソレイユの手を握り、百合の家へと飛ぶ。百合やシエルにも共有したいし、戻ってるといいなー。



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