(16) 核を取り込める……?
森の出口付近へと行くと1人で立ち止まっているアクアがいた。
「あれ? 他のみんなは?」
「みんなそれぞれモンスター討伐へ行ったよ!」
「そうなんだー! ん? アクアはなんで残ってたの?」
「ルキアが戻ってくるかなって」
「おー! 当たりー!」
「やったー! じゃなくて! なんで1人で飛び出していっちゃったの!?」
アクアは怒りの表情を浮かべながら迫ってくる。
「あはは、ごめんごめん! 実は前話した魔法少女関連のことでちょっと調べたいことがあって……」
「あの夢で見た世界の話だっけ?」
「そう! あれ実は続いてるんだよね」
「そうなんだ。それじゃあ特訓しにいってたの?」
「実は……」
核を吸収することで、魔法の強化に繋がることをアクアに話した。
そのことを信じてくれたアクアも核の吸収が村の全体的な戦力アップに繋がるのではと提案してきた。やっぱり同じこと考えるんだな……。
とりあえず何か核を吸収できるモンスターの捜索へと2人で向かい始めた。
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「あっ!」
「うん。シャドーウルフ! ……1匹だけ?」
「もしかして……シャドーウルフのレア個体じゃない?」
森を探索しているとシャドーウルフを1匹だけ発見した。
通常、シャドーウルフは集団で行動するのだが、ときどき単独行動をしている個体がいる。その理由としては1匹であっても狩りが成功するからだと言われている。
つまりは通常のシャドーウルフよりも攻撃力などの能力が高いということだ。そういった変わったモンスターを私達はレア個体と呼んでいる。
「さすがにドラゴンほどじゃないけど、あのレア個体でかなり能力上がるんじゃない?」
「うん! 倒そ!」
「ルキア燃やし尽くさないでね?」
「わかってる! アイスニードル!」
ドスドスドスドス
鋭い氷を4つ形成し、シャドーウルフの四肢へと突き刺した。
「ウゥー!」
シャドーウルフは唸り声を上げながら暴れている。そこへアクアがゆっくりと近づいた。
「ルキア、この辺?」
「うん! そこら辺に核があるはず!」
「おっけー! ウォーターカッター!」
アクアが水魔法でシャドーウルフの体を裂いた。すると中から黒く染まった核が出てきた。アクアがそっと手に乗せて魔力を込め始めた。
……おかしい。いつもなら白く染まっていくのに今、アクアが手に乗せている核は紫色の光を放つようになっている。
「アクア! なにかおかしい! 手を放して!」
「……」
「アクア!? 聞こえてる!?」
アクアに話しかけても返事が返ってこない。
パリン!
そして核は白く染まることなく、割れてしまった。……紫の光の粒子が手のひらからアクアの核らしきところへと流れている。そしてアクアを纏う光の粒子が白から紫へと変色していく。
「アクア!」
「ふふふ……やぁ、ルキアやっと見つけたよ。」
「え?」
アクアがやっと返事をしてくれたと思えば、話し方がまったく別人のものだった。
「あなた誰? アクアの中から出ていきなさい!」
「ん? まだ思い出してないのか。……あの男も邪魔をできないし、連れて帰るか」
「何ブツブツ言ってるの? 聞こえないんだけど!」
「いやこちらの話さ、さぁ帰ろうルキア」
「は? 私の帰る場所はあんたみたいのと一緒のところじゃないから!」
「……君はいつも頑固だね。まぁ無理矢理にでも来てもらうよ」
話し合いはできなそうだ。アクアを乗っ取った何者かが紫色の光を向けてくる。あれはノックスが使っていた魔法と一緒? まぁ操っている人物はノックスではなさそうだけど。
……こちらも攻撃するしかない? あいつをアクアから引き剥がさないと。
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ドンドン!
「ほらほらー! 逃げても無駄だよー?」
あれからずっと紫色の光から逃げている。アクアの体を傷つけるわけにもいかず、魔法を撃てないでいる。
あいつは攻撃を仕掛けながらずっと話しかけてくるため気が散るし腹立たしい。しかもアクアがしないような嫌らしい笑みを浮かべているのが余計腹が立つ。
ドン!
「ぐっ!」
とうとうあいつの攻撃にぶつかってしまった。……ニヤニヤと笑みを浮かべて近づいてくる。
「さぁ一緒に……」
「……誰か……」
一か八かでアクアに魔法を放つかと思ったとき、目の前に変身ステッキが現れた。
「えっ!? これって!」
「……なんだ?」
「ソレイユが送ってくれたのかも……。よし! メイクアップマジック!」
私の体が光に包まれ、服が変化していく。魔法少女ルキア、準備完了だ!
「いったいその姿は……? まぁいい服が変わったからなんだというんだ。」
力が溢れてくるのと同時に浄化の力が強まった気がする。周りを漂っている光の粒子が集まってくるのが見えるし、わずかにステッキにリリィの光魔法が纏わされている。こちらのピンチに気づいてくれたのかもしれない。
……今なら炎をあいつに当てても、中の闇だけを祓うことが可能だと感じる。
「フレイム!」
「なっ! この体がどうなっても……ギャー!」
白い炎がアクアの体を包んだ。……燃えているように見えるが、アクアの体は無事そうだ。逆に乗っ取った何者かは苦しそうにしている。そして紫色の光の粒子は消えていった。
「アクア!」
アクアが、意識を失って、地面へと倒れる直前に受け止めた。
「アクア? ……気絶してる。」
エウロが言っていた核の浄化力は魔法少女しかないのかもしれない。炎魔法の使い手の私でもいけたから皆できるのかと勘違いしていた。……アクアに悪いことしてしまったな。
もしかして魔法少女になったのは偶然じゃない? ソレイユがたまたま魔法を使える人間を選んだと思っていたけど。それに……あの敵も私のことを知っているようだったし。
とりあえず帰るか。
私はアクアを背負って歩きだした。




