(10) 現れた人物
こちらは前の話と一緒にしてましたが、分割しました。
「……もう10日も地球にいるんだけど!」
ソファーに寝転がりながら思わずぼやいてしまう。ここで焦っても、怒ってもどうにもならないことはなんとなくわかる。
「なんだか長いね……」
「私、ちゃんと帰れるのかな……」
元の世界に帰れないまま、何度も夜を迎えた。その間にシャドーたちはたくさん倒した。これは使命だからね。
それにしてもいったい向こうの世界ではどれくらいの時間が経っているのか。前にこちらの1日が向こうの2日だったこともあり、長くとも1ヶ月ほど……? 不安だ。
「あっ! シャドーの反応あり!」
「了解!」
「「メイクアップマジック!」」
私と百合が光に包まれる。……変身完了! 魔法少女ルキアと魔法少女リリィの出来上がり。2人がそれぞれの妖精の手を取る。目の前の風景が変わった。
「ギャギャ!」
「アーソボ!」
「エサダー!」
反応があった場所へと飛ぶとシャドーの集団がいた。……なんだかすごく量が多い。軽く30体はいるのではないか。
「多くない!?」
「そうだね。集団行動もするのか……」
「って! リリィ! 分析してる場合じゃない!」
シャドーの前で考え込んでしまったリリィを抱えて飛ぶ。この数日、一緒にいて気づいたことなのだが、リリィは考え事を始めると周りが見えなくなるタイプのようだ。
「あっ! ルキアありがとう!」
「もう! ちゃんと周り見て!」
「あはは、まさかルキアに言われるなんてー」
「うっ……でも最近は私もちゃんと周り見て戦ってるよ!」
「へぇー?」
「もういいから倒そ!」
2人でシャドーへと向き合う。
魔力をためて、一歩踏み出した。
・
・
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「フレイム!」
「ルミナス!」
「ヒール!」
「フレイム!」
戦う内にわかったことだが、ヒールは傷を癒す以外に魔法の威力を向上させる能力があるようだ。そのため私にヒールがかかった状態でフレイムを放つと……。
このようにシャドー数体を消滅させることができる。他の魔法もシャドーに止めをさせるほどの威力にすることができた。
順調にシャドーたちを倒していると何者かの声がした。
「君たちか……」
「「え?」」
謎の声に反応して顔をあげると、シャドーの上に人が立っている。
その人物は男性でありながら、美形すぎて女性のようにも見える。少し長めの黒髪が風に揺れている。誰かわからないがあそこにいるってことは敵だろう。
「あなたはいったい……」
「ダークフォール」
「あの紫の光は……!」
何者かを問いかけようとしたとき、男の手から紫の魔法が放たれた。その光がシャドーたちに直撃したと同時に、シャドーたちの体が一回り大きくなった。
「なっ! ……フレイム!」
「ギャハギャハ!」
フレイムを急いで放ったが、消滅しない。
「消えない!?」
「ルキア! 私の全魔力でルキアにヒールをかけるよ」
「えっ! それじゃ!」
「きっとルキアならできるよ。任せる!」
「……わかった」
「ヒール!」
私の体が金色の光に包まれる。力がみなぎってくるのがわかる。任されたからには……倒さなきゃ!私の体中の魔力もすべて集める。
「フレイム!」
全力の魔力を解き放つ。一面が炎に包まれ、今まで感じたことのないほどの熱を感じる。
「ギャー!」
「アツイー!」
「くっ……」
シャドーたちも1体、また1体と消えていく。あの男もあまりの熱さに空中へと避難している。……気がつくとシャドーはすべて消え、あの男と私達だけがその場に残った。
「……まさかこれほどまでとは」
「いったいあなたは何者なの!?」
「名乗るほどのものじゃないよ」
「それ人助けした人が言うセリフ!」
「そうなの?」
「そっか、ルキアちゃんは知らないか。よく物語でそういうのが出てくるんだよ」
「へぇー!」
「ってそんなことより!」
百合は物凄い目つきで男を見つめている。まぁ敵であるっていうものあるが、たぶん男性ってだけで敵意マシマシなんじゃないだろうか。
男性は私達に攻撃を仕掛けるつもりがないのか、ただこちらを見ているだけだ。
「おー、こわい。……帰る前に君たちの名前を聞いておこうかな」
「あんたに名乗る名前なんて……」
「魔法少女ルキアとリリィよ」
「ルキア!」
「ふふふ。ルキアとリリィか覚えておくよ。俺はノックス。俺だけ名乗らないのは不公平かなと笑」
「リリィ! 名乗ってくれたよ!」
「ルキア!」
「ふっ……じゃあね、ルキア」
ノックスは空中に現れた穴のようなものへと消えていった。用事があったのだろうか。ノックスの力がわからない以上、魔力を使いきったまま戦いたくなかった。よかった。
それにしても……敵なはずなのにどこか気になる。彼はどうしてシャドーに力を?




