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英雄の戦場~帆世静香が征く~  作者: 帆世静香
第二章 現実の過渡期を過ごしましょう。
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贈り物 其の1

(´・ω・`)ブックマーク、☆評価、お願いしますこも。

(´・ω・`)「ぽよさん、いつまでいるんスか?」


朝ごはんを食べ終わった私に、こもじが話しかける。人を居候してるニートみたいに言うな。

ここ数日、私は多忙を極めていた。午前中は例のテトラ帯でファストステップの練習に勤しみ、午後はこもじの書斎で魔導書の解読を進めていたのだ。合間にUCMCにレポートの提出や、会議参加も行っている。

一方でこもじは、好きな時間に寝て、起きたら庭で刀を振っている毎日。自由な漢である。


「今日は、こもじに2つプレゼントがありますぽよ。」


(´・ω・`)?


こもじが疑わしそうに私を見る。特に他意はなく、純粋にプレゼントなんだけどなぁ。

物自体は邂逅後すぐに準備を始めていて、たまたま今日それが完了したのだ。


「こもじ、回避技があんまり無いでしょ?スキル生やしてあげよっか。」


(´・ω・`)「スキルって生やせるもんなんスか?」


「そんなにいっぱい自力習得してる方がおかしいのよ。」


【スキル操作】


スキルとは、その人間の魂に根をはっている識別タグや入館証のような物だと理解している。

世界に認められ、通常の法則を逸脱する資格がある者だと、そう認識された証として顕在化するのだ。


修練の果てに、極地に至った人間に生えてくる物である。また、超常の存在に認められた証として植え付けられる場合もある。


今回は、私がこもじに植え付けるのだ。スキル操作とは魂の形の改変だ。

こもじの胸に手を置き……今回はセクハラ目的ではない。……その奥底で存在感を放つ魂に触れる。深く潜っている私の意識の外側で、こもじが声を上げている。


(´・ω・`)うわわわわはわわわわ


うるさい。おじさんの嬌声など……私に需要があるが、ご近所さんに勘違いされてしまう。


こもじの魂に、私が試行錯誤の果てに形成したスキルをねじ込む。巫さんに《共有》してもらった経験と、スキル操作の権能により可能となった、他者への干渉。


植え付けるスキルは、【瞬歩】。

私の空間転移を魔改造したスキルであり、その調整によって数人であれば他者に譲渡できるようになっている。


無事植え付けが終了した。もうひとつのプレゼントはお昼になる予定だ。

まずは【瞬歩】の練習に向かうことにする。


「終わったわよ。」


(´・ω・`)「もうお婿さんにいけないこも……」


練習場は、もちろんテトラ帯だ。毎日お世話になっている修行の地であり、私の中では“聖地”そのものである。

テトラ様、今日もよろしくお願いいたします。


「まずは組手よ。()()()()()()。」


(´・ω・`)ほりゃ!


こもじがわきを締め、体幹から最短最速の突きを放つ。左の空いたスペースに身体を滑り込ませるように回避するが、既にそこには下段前蹴りが合わせられていた。

私の回避が足元を軸にしていると、看破されている故だろう。武術は良く知っている相手に対して、非常に効果的なコンボをたたき出すものだ。私に残された唯一の逃げ場である空中へ飛ぶ。


(´・ω・`)「詰み、こもね。」


当然負けるわけない、こもじの目が語っている。そりゃそうだ、生活のほぼ全てを武に捧げ、私と比較にならぬほどゴツイ体格を保持している男に勝てる道理は欠片もない。現実は甘くない。


だが、私は勝てない勝負を仕掛けることはない。

際立って武力があるわけでもなく、人を死地に駆り立てるような激情を表に出したいとは思っていない。


[称号:統べる者]


これが何なのかはイマイチわかっていない。たしかに4人で組んだ時、リーダー的な役割をした。

それだけである。真人に譲ってあげたい称号だ。

それでも、人を率いよと言うのなら、私は事前に勝ちを確定させるほどの準備で臨みたいと思う。その準備の一端を、お見せしよう。


宙へ浮く私に対し、確実に仕留めるための掴み手が迫っていた。ここで服を掴まれたら、無数の投げ技に繋げられて死が確定する。もちろん、本気で投げることは無いだろうけど、あの目は海に投げ飛ばしてやろうと悪だくみしている目だ。そうはいくもんか。


【瞬歩】


私の体が、世界から消える。0.5秒の時を刻み、音もなくこもじの背後から現世に帰還を果たす。

間髪入れず両手の千蛇螺がこもじの手首と首に巻き付いた。


「詰み、よ。動脈に毒を喰らえば、確実に死に至る。」


(´・ω・`)「あれー。」


しゅるしゅると蛇ちゃんが腕に戻り、私は意気揚々と種明かしを始める。

【瞬歩】とは、空間転移を魔改造した産物である。異世界へ渡れるほどの破格の性能を秘めたスキルの、転移距離を1歩に制限することで莫大な改変余地を得ることができた。転移が発動し、目的地へ到達するまでの時間も0.5秒間つくることで、さらに改変余地を増加させる。


改変を行うのは、そのスキル発動までの予備動作の完全消去と、リキャスト時間の完全省略である。

“いつでも” “何度でも” 1歩分の転移を行うことができるのだ。0.5秒間のタイムラグも狙ったもので、その時間世界から存在が消失することを意味する。つまりは、攻撃のすり抜けすら可能である。


理論値ではあるが、一切のずれなく【瞬歩】を連続して使うことができれば、どんな攻撃だろうと凌ぐことが可能ということだ。


そして、なんといっても、このスキルは特定の条件を満たした人間であればコピーして植え付けることが出来るのが最大の特徴なのだ。私は、PTメンバーに最低限の回避スキルを与えたいと思い、試行錯誤の果てに成功することができた。


このスキル、先に実演から見せたのは、スキルのイメージに先入観を入れさせないためである。

目の前で使ったことで、こもじにはスキルのイメージができたはずだ。


(´・ω・`)瞬歩!


(´・ω・`)パッ………(´・ω・`)しゅたっ


早速瞬歩を繰り出すこもじが、反復横跳びをしている。


「そこのテトラが練習場よ。とりあえず、瞬歩で全部のテトラを歩くまで使いなさい。」


(´・ω・`)パッ パッ パッ パッ


牛みたいに太く大きい体で、器用にテトラを移動するこもじ。

体幹が全くブレないのが理由だろうか、早いとは言えないが安定した動きで瞬歩を繰り返す。

この瞬歩、移動距離を明確に設定せず1歩としたため、使用者のイメージや手足の動かし方によって距離が異なるのだ。不規則に設置されているテトラの森を歩くことで距離感が急速に調整されていく。


今日もありがとうございました。テトラ師匠。


太陽が高くなってきた。そろそろ家に帰らないと、約束に遅れてしまう。

真人率いるUCMCに協力する対価として要求したものが、今日のお昼に届くはずなのだ。


刀は武士の魂。

磨き上げるに越したことはない。


(´・ω・`)プラトンの饗宴を読んでますこも。

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― 新着の感想 ―
平和なほのぼの回…と思いきや修行! と見せかけてのスキル付与はチートだろ…
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