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英雄の戦場~帆世静香が征く~  作者: 帆世静香
第一章 顔合わせから始めましょう。
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水辺の封印洞窟 其の12 冥月

( ๑❛ᴗ❛๑ )「おはこもじぽよこ!」


(´・ω・`)「おはよ」

邂逅(かいこう)が始まって5日目の夕方。私達は、拠点へと帰ってきていた。今日は朝早くから巨獣の咆哮により目覚め、精神世界というにはリアルすぎる世界で幼い巫さんと出会い、気持ち悪い邪心もどきをぶちのめし、水神様とお話して、ビルみたいに大きいクマちゃんに噛みついて、こもじを連れて帰宅したのだ。こんなに動き続けて、まだ日は明るいのだからびっくりしちゃう。


「魂が動きたくないと言ってるわ~。クマちゃんと鬼さんと会うの、明日でいいわよね~。」


(´・ω・`)「もうニートっスね。」


「ぽよ~。ご飯だけはとりに行きますぽよ。えー、武士は食わねど高楊枝と言いますが、」


(´・ω・`)「腹が減っては戦はできぬ、といいますこも。」


「あーっ、真似したー。」


こもじと二人でしゃべるのは、かなり久しぶりに感じる。だらだらとした会話が、実家にいるような安心感を醸し出す。このダンジョンに私達を害せる生物がいないことは分かっている。


丁度湖の対岸で怪獣バトルをした後だ。こっち側に動物がたくさん逃げてきていた。

あんまり大きすぎる獲物を捕まえても、二人じゃ食べきれない。私は、お米1粒でも残ってるともやもやするくらいには器の小さな人間なのだ。平気で残す人とは相いれない。


自身のスキルを色々試しながら、山中を歩く。立派な角が生えた、黄金色の鹿が斜面を駆け上っている。レアモンスター感があって興味をそそられるが、大きすぎる。


山中の小さな川に出くわす。気温もまだ高く、頭から冷たい水を浴びる。きもちいい~。しばらく、川にぷかぷかを浮いてみる。

あ、これ三つ葉だ。川辺には食べれそうな草が生えていた。大量にむしる。


かなりボロボロになってきたナース服を絞って、日向を歩いていく。前の方に、黒っぽい動物が動くのが見えた。狸?狸ならハズレだなあ、おいしくない動物筆頭なのだ。そう思って視線を外そうとした瞬間、その動物の顔がこちらを向いた。小さい顔で耳が目立たず、しゅっとしている。


アナグマか!!狸そっくりの見た目に反して、こちらは上質な肉の部類にはいる。最高のあたりだった。逃がさないわよ、とばかりに地面を蹴る。アナグマが驚いて逃げるが、私は最近足が速くなったのだ。ウサインボルトだって腰を抜かすだろう。


【ファストステップ】


ダメ押しとばかりに、スキルが背中を押す。既に、スキルをつかって散歩できる程度には慣れていた。ローラースケートみたいな感覚だよ、たぶん。

できるだけ苦しめたくはない。そして、おいしいお肉が食べたい。


数秒でアナグマに追いつくと、追い越し際に掌底で頭を弾いた。アナグマはその衝撃に、意識を失う。気絶したアナグマを持って、帰りにも香草をたっぷりと摘んで拠点に帰還する。


ドサッ——


「こもじ、帰ったわよ。その刀借りるね。」


(´・ω・`)「武士の魂が、包丁みたいに…こも…」


木のつるを使ってアナグマを吊り下げ、血抜きをする。そして、おなかにそーっと刃を入れ、内臓を破かないように慎重に取り出す。心臓、肝臓、腎臓、ハラミを洗って、火の番をしているこもじに手渡す。


こもじも、雲黄昏を使って肉を切り分けて串に刺していた。武士の魂はどうした。

足の速い内臓を食べながら、残りの部位をカットしていく。こっちは香草をつめこんで、じっくりと蒸し焼きにする予定だ。3-4時間はかかるので、じっくりとまつ。


アナグマのケバブよ!内臓には鉄分が多く含まれていて、血を消費していた私の全身に染み渡るおいしさだった。身体強化の影響か、傷の治りが格段に速くなっているのだが、栄養が無いと治らない。この肉は、私にとってのポーション…?なんだかファンタジーじゃないわね。


アナグマの体の肉は、信じられないほど真っ白な脂が付いている。背中側など、脂の層が分厚すぎて刃が通りにくいほどだ。この脂と皮がアナグマの身を守っているのだが、火を入れると途端に絶品の味へと変貌する。さらさらと水のように流れる脂は、全くくどくなく、むしろほのかに甘味を感じる。そして、ふんだんな脂が口腔内を潤滑に動かし、筋肉質な赤身が旨味を絞り出す。たっぷり詰め込んだ香草に脂と旨味が染み込み、どんな野菜よりも美味しいといえる。


——ごちそうさまでした。


眠たいが、こもじと作戦会議を続ける。お互いのスキルを中心に話し合い、どうやってクマちゃんを倒すか決める。多分、毒では死なないだろう。相当に弱っているとは思うが、手負いの獣ほど危険なのだ。

当たれば即死、受けても武器や肉体が一撃で壊される壮絶な破壊力。到底人間が真正面から戦える相手ではない。こもじであっても、回避に専念したから生きていられたのだ。


日が傾いてきている。こもじはとっくにお昼寝モードだ。


(´・ω・`)「普段から目覚まし使わない生活してるんで」


わたしもおねむだ。炭でこもじの顔にイタズラした後、苔と落ち葉のふかふかベッドに潜り込んだ。



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「おはこもじぽよこ!」


(´・ω・`)「おはよ」


朝ご飯に、昨日の残りの肉を完食する。体が軽い、明らかに昨日の戦闘によって身体が変化している。フニちゃん先生曰く、身体強化は体ではなく魂の格を引き上げる行為。魂が拡張された空スペースを、埋めていくことで身体が魂に引っ張られて強くなっているのだ。


さて、じゃあ行きますか。クマちゃん退治だ、えいえいおー!


【空間転移】


私とこもじは、ダンジョンを出て元の島に着地する。

突如響き渡る轟音と悲鳴。それは人の悲鳴ではなく——



ギャォオオオン



彼の黒銀ノ傷羆が戦っている音だった。





ぽよちゃんの武器? リアーナから奪った杖です。


リアーナがそれっぽい演技をするために生やした魔法の杖。

ただ硬いだけの木の棒とも言えます。


神速で翔け、腕に蛇を巻き、木の棒を振り回すナース服の少女。それが主人公。

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― 新着の感想 ―
1話から一気読みしちゃいました! 巫さんが無事に帰れて、ほんとに涙出ました。
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