キグルイ魔法使いの責任転嫁
この国にいる人間は性格が悪い。昔からそうだ、ガキの頃から向けられる視線はどこか差別的で、悪感情にまみれたものだった。
醜い姿は、俺の内面を現しているようだった。ただ才能はあった、その醜い姿など、気にもならないほど前提とする事象を無視するほどの圧倒的な魔法の才能。
蹴散らせばよいと思っていた。圧倒的力ですべての障害をすべて取り払えばいつか、心の霧が晴れるのだと信じていた。
好きだったあの子はやはりあなたは醜いのだと俺を嗤い、親友だと思ったやつは俺の力に嫉妬した鼠でそいつは力を奪っていった。
これらが起こってからか、それとも起こる前から壊れていたのかは俺にはもう分からない。
ただわかりやすく、すべて壊せばどうにでもなるかと考えてしまった。
奪われた力など、力の一端に過ぎなかった
許せなかった。許したくなかった。許そうとしなかった。
やったとか、やられたとかそういうのは過ぎている。
やり返す相手を選ぶのをやめてしまった。
決意とかそういうのはないのだ。ただ怠惰にできたからやったに過ぎないのだ。
指定したのは国
規定したのは人間
望んだのは醜悪と融合
与えたのは苦痛と不死
他人が混ざり合い生まれたのは、数多の人間の声で泣き叫ぶピンクの肉塊だった。
俺はふとこの肉塊なら友達になれるのではないかと考えた。その肉と話そうとしたときに、偶然自分の姿を見てしまったのだ。
そこに、在るべきしてあったであろう鏡に写る人間はよく知る人間では無かった、その人間は美しかった。
己がしたことは心に掛かる霧と、この身体に降り掛かっていた呪も打ち払ったのだ。
数多の困難の果てに打ち払われるであったであろうその姿は、今の俺には呪い以外の何物でも無かった。
その姿を見た瞬間己の顔を焼こうとしたが、この姿の俺は神にすら愛されてるようで、俺を害する力はすべて打ち払われた。
俺はその肉塊を前についぞ何もすることができなくなった。俺と彼らでは友人になることもできなくなってしまった。
無情に流れる時間と肉塊から感じる視線は、何も教えてくれない。
俺は逃げた。
耐えられなくなった。
嫌になった。
無理だ。
ただ涙があふれるだけだ。
だから俺は全部を忘れることにしたのだ。
神は忘れることは許してくれたようだ。
ああ、こんな結果になってしまうなんて、なんてひどい神様なんてくだらないシナリオを書いてくれるのだ。
だから、俺はこれだけは言いたいのだ
「おれはわるくない」
のだと
彼を一人目の主人公としてどんどんみっともない主人公たちを書いていきたいです