自己紹介のはじまり
「まずい…何も考えてなかった。」
色々と思考が交錯し、そのせいで自己紹介どころか何を返答するのかすらも考えられなかった。
「鈴屋くん?行けるかい?」
「先生。鈴屋くんはまだ考えきれていません。ですので、私から始めますね。」
「お、天海さんか。ではよろしくお願いします。」
ナイスフォローすぎた。過去にこのようなフォローをされたことが無いせいか、涙が出かけた。
「北海道から来ました。天海玲奈です。趣味は海で遊ぶことです。よろしくお願いします。」
なんとクールな回答だ。ぼくと話す時はあんなに明るいのに人前ではとてもクールなのはギャップが凄いものだった。
「ありがとうございました。では、次こそ鈴屋くんいけるかい?」
「は、はい!海央東中学校からきました。鈴屋圭です…」
まずい!!!あたまか真っ白で何も思い浮かばない!!
僕は言葉が思い浮かばず黙り込んでしまった。
「なにか…なにかないか!?…そうだ!!偽りの話をするんだ!!」
「え、えっと!趣味は宇宙観測です!!」
「…??????????」
全員同じ反応をした。なんということが自分まで同じ反応をしていた。
「え、えっとー天体観測ですよね?」
「あ、あいや、はい、それです」
笑われた。それも初日から。
僕は顔を真っ赤にしながら席に座った。
「ふふふ、鈴屋くんって面白い人なんだね」
「ま、まぁ」
僕はスクールカースト最下層部確定だ
この先のワクワクが一瞬にして不安に変わった。
こうして気づけば全員の自己紹介が終わっていた。
「これで入学初日の行事は終わりです。気をつけて帰宅してください。」
とりあえず今日のイベントは終わった。
「じゃあ、案内してね」
前言撤回する。むしろここからが本番なのかもしれない。
「わ、わかった。」