入学式のはじまり
「今から入学式の会場に向かうぞー!2列に並べ〜」
そうだ。今からは入学式が始まるのだ。そもそも今日はこの行事がメインだったのだ。
そう言われると僕らは廊下に並んだ。並び方は流石に出席番号であり天海さんは苗字的にも前の方だった。
こうして並ぶと僕の前後左右は男だった。
「初めまして!!!俺は網谷 力 (あみや りき) 君、中学はどこだったん?」
とても暑ぐるしい男が僕に話しかけてきた。
「は、初めまして…僕は鈴屋圭って言います。 海央東から来ました。」
「ふむ…鈴屋圭というのか!!!いい名前だな!これからよろしくな!!」
「よ、よろしくお願いします…」
この人のようなコミュ力が欲しい。一瞬そう思った。
こうしているうちに列は気づけば前の方に進んでいた。
どうやらこの列は体育館の方に繋がっているようだ。
こうして自分は体育館の入口の手前まで来た。
なにかクラシックのbgmが流れていた。
入ると、そこには椅子に座って僕ら1年生を見る先輩方がいた。
「これが先輩かぁ…中学の入学式よりもゴリいな…」
どう考えても自分の1.2個上の人間には見えなかった。
こうして椅子座ると、校長の挨拶が始まった。
「まずは入学おめでとう。君たちはこの海央第一の1部になったんだ。これからは先輩、先生、そして同級生と共にこの学校というグループを盛り上げていこう。」
この話だけは頭に入ってきた。というか僕はこの先の話しについてはあまり、覚えていないのだ。
こうして入学式は終わり、僕は再び教室に帰ってきた。
「まずは入学式お疲れ様でした。これからは一人一人自己紹介をしてもらいます。流石に即興で考えるのは厳しいと思うので、少し時間をあげますね。」
先生の僅かながらの猶予を貰った。
しかし、僕は何も思いつかなかった。
「どーしよう…これで訳の分からない事言ったら僕は高校生活一日目からスクールカースト超最下層部確定だ…」
恐らく、学校生活でこれ程悩むことは無いだろう。
そう、自己紹介とは最初の偏見を固めるための1番のキーイベントであり、それもかなりのコミュ力を試される試練だった。
「ねえ、放課後どこ紹介してくれるか決めた?」
しまった!!!!!!!!!!!
自己紹介など考えている暇もなかった。そう、今人生で1番の正念場なのではないかというレベルのイベントがあった。
「い、今考えてるんだよね…というか本当に行くんだね」
「何言っているの。 行くに決まってるでしょ」
「わかった。じゃあどこら辺にいきたいとかある?」
「うーん鈴屋くんにまかせるよ!」
いちばん困る回答がきた。「まかせるよ、なんでもいいよ」 ほど回答に困るものは恐らくない。
「わ、わかった。」
何も分かっていない。何もわからん。一体どこにすればいいのだろう。
「ではここまでですね。それでは〜鈴屋君。あなたからお願いします」
「…ぼ、僕から!!?!!?」