海のはじまり
逃げた…それも初日から。
これ程、濃い高校生活は想像もしていなかった。
そしてもうひとつ…
ここはどこだ??????
僕は気づけば勧誘の人もいなければ、誰もいなかった。
あるとすれば、そこから見えたのは海が水平にずっと続いていた。
「綺麗だなあ…飯を食う時の場所は大体、ここでいいか…」
海の音は聞こえその先には無限に続く海の地平線。
これほど美しい景色はないだろう。
「って!!やばい!学校がはじまる!!!」
腕時計に映っていた時間は8時23分。
学校開始は8時40分の予定だった。
とはいえここがどこかもわからない。17分で校舎に入れるわけも無いのだ。
「くそ!!こうなれば、校舎の窓から入ってや…ん?」
目に入ったのは、海の方に、ロングヘアーの女性だった。
それも、自分と同じ学校の制服だった。
「あの人も俺と同じ遭難者か??とはいえ、声をかけるのも怖ぇしなあ…」
「ねえ、そこの男の人。」
海の方から声が聞こえた。その女性は自分をはっきり見ていた。
「はい!!!どうかなさいました!!」
「あなた、私と同じ学校だよね。入学式はどうしたの?」
「お、俺は、入学式がカッダルいから…」
嘘をついてしまった。なんならテンパって一人称まで変になってしまった。
「ふーん…」
そう言うとその女性は海の方から自分のところまで来た。
すると耳元で
「…嘘つき」
「…???!!」
「あ、やっぱり嘘だった?顔に出てるよ」
そう言われると自分は直ぐに窓で自分の顔を確認した。
「それは嘘。君って素直なんだね。そんなことよりはやく入学式行こ!遅刻しちゃうよ」
「そ…そうだね…」
こうして僕は女性についていき、なんとか元のいた入口の前についた。しかし、もう既に勧誘の人達は校舎に入っており、誰もいなかった。
「良かった…またあの男に捕まったどうなる事か…」
「なにかあったの?」
「い、いや!なんでもないよ!」
「ふーん。」
初対面の女性にムキムキの男につかまり、愛について語られました!!なんて言えるものか
高校生活の本当に、最初の時点でもう色々なイベントに遭遇してしまった。