8,《無題》パネル。
【覇王魔窟】3階。
当然ながら、先に進んでいるハーバン伯の〈挑戦者〉は、この階層をとっくに攻略している。つまりこの階層の魔物も、そのときに殺されているわけだ。ところが、私が来たものだから、さっそく復活している。
そう考えると、魔物さんというのも大変なお仕事ですね。
ところで──【覇王魔窟】の内部が異空間というのは、本当らしい。1階、2階は標準的な天井の高さだったけど、3階の天井は高いこと高いこと。ここだけで50メートルはある。しかも、その天井すれすれまでの身の丈を誇るのが、3階の魔物。
〈魔物図鑑:視覚版〉によると、名前は〈牙高身魔〉。うーん、高いですね。しかし高いということは、足元がおろそかだよねっ!
魔改造鍬〈スーパーコンボ〉の打撃スキル《爆打》発動。
〈牙高身魔〉の足に叩き込んだ──ところ、足の指の間から、蛆虫型魔物がわんさか這い出てくる。
わぁ、蟲が苦手な人はひっくり返るね。私は蟲は嫌いじゃない。昔、台所で見つけたゴキを飼っていたら、お母さんに叱られたっけ。
しかしこの蛆虫型魔物、正式名称もない木っ端魔物のようだけど、大量に出てきて対処に困る。それに〈牙高身魔〉は、まったくダメージを受けていないようだし。
と思っていたら、〈牙高身魔〉から蹴りの攻撃。
ただの蹴りだけど、これは直撃受けたら、ただの人である私なんか、全身骨折ものだよ。紙一重でジャンプして回避。
にしても、足への攻撃じゃダメなんだなぁ。高みの頭部を目指さないと。高いなぁ。現在、いまだ解放したパネルは、《爆打》と『鍬の打撃力をUPする』のみ。50メートルの高みに飛び立てるスキルはないなぁ。
いや、もしかして大丈夫かも。
そこでまず《爆打》を床に叩きつける。爆風で身体が浮き上がっていく、落下しだす前に、再度《爆打》。これを空中に叩き込むと、ちゃんと空中で爆発が起きる。その爆風にのってさらに高みへと。
これを繰り返して、いよいよ〈牙高身魔〉の頭部へ。
その頭頂部に着地。小島みたいだ、ここ。この小島、ではなく〈牙高身魔〉の脳天へ、《爆打》連打の連打。
「くわっ!くわっ!くわっ!くわっだよ!!!」
〈牙高身魔〉の頭頂部が砕け、脳味噌が丸出しになった。脳味噌へと降りたち、じかに《爆打》連打の連打で、脳破壊。
〈牙高身魔〉がぐらっと倒れる。わぁ、これは浮遊感が恐ろしい。
「落ちるぅぅぅぅ!!」
〈牙高身魔〉が倒れると同時に魔素化したので、私は床を転がっていった。ふぅ。なんとか無事。ちょっと打ち身ができた程度で済んだのは、運が良かった。
そして〈牙高身魔〉撃破で、〈スーパーコンボ〉の武装Lv.が6に上がった。
これで打撃スキルのパネルを新たに解放できるけれども……
今回の戦いで学びました。やっぱりバランスって大事。『打撃』以外のスキルツリー解放領域は、『射程』・『栽培』・『防御』の3つ。
とりあえず、『防御』にいってみよう。『防御』解放ルートでは、すでに溜めてあるスキルポイントで、一気に3つのパネルが解放できる。
うーん。けど、ここで防御寄りすぎるのも何なので、《強靭盾》という防御スキルパネルと、『使用者の防御力UP』の強化パネルの解放にとどめておく。
まずは『使用者の防御力UP』だけど、これって私自身の防御力が上がったということ? うーん。見た目的には普通のままだけど(まぁ鋼鉄化とかされても困るけど、乙女的に)。
試しに、自分で自分を殴ってみた。すると、皮膚から光の粒子が飛び、痛みを感じない。どうやら、今の光粒子が防御力となっているようだ。どこまでの攻撃に耐えられるのか分からないけど、まぁ良かった。
一方、《強靭盾》。こちらは解放する前に、スキル説明を読んでいる。武器、つまり〈スーパーコンボ〉の中心から半径1メートルの不可視シールドが発生するスキル。
打撃スキルとの併用可能。
つまり《爆打》を使うときも、《強靭盾》は出しておけるわけだね。
さてと。まだパネルを解放できるけど、どうしよっか。ここでまた溜めて、次こそ打撃領域で新たなパネルを解放する手もあるけど。
この『栽培』の領域、気になるよね。農家の娘だけに(『栽培』という領域があるのは、魔改造しているのが鍬だからかな?)
さて、今のところ『栽培』で解放できるのは、《無題》。うん? 《無題》の説明とは、『次回の解放パネルへと続くための空白の解放パネル』。
えーと。つまりこの《無題》を解放しても、新たなスキルを得られることも、〈スーパーコンボ〉が強化されることもない。
ただし、この次の『栽培』パネルを解放するためには、まずこの《無題》を解放しなきゃダメだよ、と。
うーん。スキルツリーの残念なところは、解放パネルの次の次はどのようなパネルなのか確認できないことだよね。
わざわざ《無題》で焦らすということは、その次に待っている『栽培』パネルは、超絶便利なのでは? ごくりと、固唾を呑む。気になる。すごーく、気になる。
よし、《無題》を解放しちゃおう。どうせこれで手持ちのスキルポイントを使いきっちゃうけども、少なくともこれで次の『栽培』パネルの内容は分かる。
ワクワクするスキルとかだったら、レベル上げも楽しくなるよね?
さて、結果は──また《無題》でした。
「………………………泣きませんです」
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