75,500階。
カブギルドの依頼を片付けるため留守にしていたロクウさん。
ベルトさんがご臨終した翌々日、帰還した。
「先生ぇぇぇ! お久しぶりですぅぅぅ!」
「はい久しぶりです。それじゃ、あとは任せましたよ」
カブギルドをロクウさんに預けて、やっと私は【覇王魔窟】へ向かえる。
ミリカさんとベロニカさんが同行すると言い出したので、私は《操縦》で単身、空へ。さらに《電光石火》で加速し、あっというまに撒いた。
今回ばかりは、私はソロプレイで愉しみたい。これから先も、カブギルドのギルマスとして、責任に悩まされるのならば。せめてたまには、ソロプレイで趣味に没頭する時間が必要だ。そうしないと、ストレスで死ねます。
あと趣味とはいうけども、期限内に〈悪鬼羅刹〉を撃破しないと、ベロニカさんの命がないからね。そういう意味でも、やはり私にとって最も責任があるのは、このダンジョン塔【覇王魔窟】なのだろう。
さてと、今日はどうしようか。地下迷宮〈死の楽園〉で、ひたすら強化素材を集めるのも良さそう。だが、ひとまず今の私がどこまで上れるのか、確かめてみるべきでは?
すべては【覇王魔窟】最上階1001階を目指す旅。だが今のところ、私の最高記録は199階でしかない(そのときは200階ではなく、ランダム階層入れ替えで、998階に出たのだった)。
攻略記録ポイントのある100階から、開始。
現在、わが魔改造鍬〈スーパーコンボ〉は武装Lv.1102。前回、199階まで行ったときは、武装Lv.241だったので、かなり上がっている。
その証拠に、たとえば161階の〈鎌鼬〉。前回のときは、神速すぎて目で追うこともできなかった。ただし攻略法は、どこにでもいいから攻撃するだけで良かった。
だが今は──がしっと、右手で、神速移動中の〈鎌鼬〉を鷲掴みする。ふむ。防御領域の基礎上げは、何も身体の防御力が上がるだけではなく、その他の身体能力も引き上げてくれるようだ。(防御Lv.20)ともなると、そういった面がよく分かるようになった。
〈鎌鼬〉を握りつぶす。
20分後には、200階に到着。ここまでの全ての階層の魔物は、通常攻撃の一発で撃破できた。すでに下層階では手こずる敵はいないようだ。
200階で攻略記録を登録。
アリエルさんは脳内に来なかったので、私はそのまま201階へ。
そして──その後もサクサクと進んだ。だいたい通常攻撃が何発で敵を倒せるかで、その階層のレベルを推し量った。
300階に到着。
魔物の血で水分補給しながら、攻略記録ポイントを登録。アリエルさんは今回も脳内に来ない。地下迷宮〈死の楽園〉の〈鍵〉を誰からもらったのか隠しことで、まだ怒っている?
女神さんだったんですね、と確認したかったんだけど。まぁ、そのうちアリエルさんも来てくれることでしょう。
301階へ進む。
そして──300階層台ともなると、それなりにやりがいのある魔物が出てきた。たとえば324階の〈砂男〉。身体の構成が砂であるため、通常攻撃ではダメージを与えられない。またこちらの肺に入られると、体内から攻撃されてしまう。おそらく(防御Lv.20)も体内までは機能しないだろう。
そこでこちらは《黒体波動》を発動。
『発動すると、空中に闇黒球体を生み出す。闇黒球体は、周囲10メートル以内の敵(つまり自分やパーティメンバーは除外)を吸い込む。30秒で消滅。また、ゆっくりとだが動かすことも可能』。
これで〈砂男〉を構成する砂をすべて吸い込んで、撃破。
また378階では、はじめて『ダンジョンらしいダンジョン』が現れた。つまり、ワンフロアではなく迷路構造なのだ。ただし、はじめてということでか、それほど入り組んでいなかった。迷路攻略中に、何体か既存の魔物が配置されているあたりは、これぞダンジョン、という感じ。
撃破、撃破で、攻略。
その後は、ワンフロア型のときもあれば、迷宮型のときもある、という具合だった。こうして400階に到着。攻略記録を登録し、脳内にアリエルさんが来ないのを確認してから、401階へ。
驚きは、436階にあった。そこはただのワンフロアではなく、『天井がない』タイプ。これも異空間だからこそであり、437階への階段は少し上がると靄に包まれていた。あの靄に入ると、437階へと『飛ぶ』のだろう。
何はともあれ、まずはこの階の魔物──〈橙鎧龍〉を倒すことだ。
〈橙鎧龍〉。かつて〈悪鬼羅刹〉が召喚し、アーテル国で暴虐の限りを尽くしたドラゴン。中核都市ボーンでは、紙一重で勝利できたのだった。あのときは《耕作》でスキル実を収穫し、〈龍殺しの毒〉スキルを得て、撃破した。
だが今回は、《耕作》は使わないで、試してみよう。
〈橙鎧龍〉からのレーザー光線。私は《鎧装甲:地獄》で完全防御しながら、《操縦》で飛翔。《電光石火》で加速突進。
〈橙鎧龍〉の体表にいる数多の〈蚤量魔〉を、《阿吽竜巻》で吹き飛ばす。
そうしてむき出しになった体表へと、すでにチャージを終えた破壊力型の《地破嵐打》を、叩き込む。
〈橙鎧龍〉の硬い表皮が砕け、数えきれない鱗が飛散。私は〈スーパーコンボ〉の上に立ち、バランスを保ちながら、《地破嵐打》が開いた傷へと、こんどはバランス型の《桜吹雪打》を連打の連打。
そうして傷口を広げたところで、私は〈橙鎧龍〉体内へと飛び込む。
《黒体波動》で〈橙鎧龍〉の肉を消滅させていく。そうして、どこまでも体内を付き進み──ついに見つけたドラゴンの心臓を、通常攻撃で破壊。
〈橙鎧龍〉は息絶え、魔素化した。
着地した私は、周囲で這い回っている〈蚤量魔〉たちを、《阿吽竜巻》一掃する。全撃破まで、196秒だった。
ふぅ。私も、けっこう強くなれたのかな。
こうして進み──ついに500階まで攻略したのだった。
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