6,〈スーパーコンボ〉。
よーし、まずは『打撃』を極めよう。
ということで、次に解放するスキルパネルも、『打撃』領域から選ぶこにとする。
先ほど解放した《爆打》パネルから枝分かれしている先に、2つの未開放パネルがあるけど、どうやらまだ解放可能なスキルポイントは溜まっていないようだ。
このスキルポイント、明確に数値化されていないけど、つまり武装Lv.が上がるごとに得られるのかな。
するとここはスキルポイントを貯金しておくか、とりあえず『打撃』領域で唯一即解放できる『鍬の打撃力をUPする』パネルを選ぼうか。
まぁ、私はまだ雑魚という話だし(ジェシカさん談)、ここはひとつずつコツコツいこう。
というわけで『鍬の打撃力をUPする』を解放。
ふーむ。だけど、どれくらいパワーアップしたのだろう。次の魔物さんで試したい! というわけでワクワクしながら、【覇王魔窟】2階へ。
今回、待ち構えていたのは──あれ、人だね。長剣を装備(だけど折れてしまっている)した、30代の男性だ。どうやら腹部に致命的な一撃をくらったようで、赤く染まっている。
この人も、ソロプレイヤーなのかな。ジェシカさんは珍しいといっていたけど、意外といるものじゃない。
私が上がってくると、その負傷者さんはハッとした様子で、こっちを見た。
「た、頼む……助けて……」
「あ、いま助けますね」
あれ。だけど何か違和感が。
うーん。匂いだね。あんなにダラダラ血を流しているのに、血の匂いがしないんだよなぁ。
これは困った。たぶん、そーいうことなのだろうけど。うーん。けど間違っていたらどうしよう。間違っていたら、かなり大変なことに。
私は駆けて行き、負傷者さんに向かってジャンプ。Lv.3の鍬を振り上げて、
「間違っていたら、ごめんなさいっっっ!」
負傷者さんに、通常の一撃を叩き込んだ。『鍬の打撃力をUPする』を実感できる一撃でした。
そして負傷者さんの身体が弾けて、その下から、どでかい魔物が這い出してくる。負傷者さんの残骸は、その巨大魔物の頭部から触覚のようにぶらぶらしていた。
ははぁ。やっばり本当の人じゃなくて、獲物を近づけるための擬似餌だったんだねぇ。
というか、へたに疑似餌なんか用意せずに、いきなり地面からグワッとこられたほうが、私は怖かったけれど。あとさっきの擬似餌はヒト語を話していたけど、これは本体の魔物が話していたのかな? それとも、オウムが人の言葉を繰り返すのと同じことで、意味を理解しているわけではないのかな?
などと考えながら、〈緊急脱出トンカチ〉で自分の頭を思い切り殴打。あうっ。思い切りやる必要はないんだった───
【覇王魔窟】の前まで空間転移。そこではピクニックスタイルでおにぎりを食べていたジェシカさん。一驚した顔で、
「えー。もう帰ってきたの? もうギブアップ?」
「違いますよ。あの、ジェシカさん。魔物さんの名前って分からないものですかね? 新しい魔物が出てくるたびにあだ名をつけるのもアレですし」
「うーむ。そういえば、新たな魔物を視認すると、【覇王魔窟】内での固有名称が表示されるアイテムが、蔵に眠っていたような。明日、持ってきてあげるけどさ。そのために戻ってきたの?」
「違いますって。2階の魔物さんがですね、強そうなんです。バカに大きいし、【覇王魔窟】の床内に潜れるんですよ。あれ、どういう仕組みなんですかね?」
「その魔物の固有スキルのようなもんじゃないの。まぁ【覇王魔窟】内そのものが、一種の異空間だからねぇ。で、2階が強そうだからどうするって?」
「もちろん、私の〈スーパーコンボ〉の強化ですよっっっっ!」
「……なんの?」
「曾祖父より伝わる鍬ですよ。絶賛、魔改造中の鍬です。せっかくなので名前を付けました。〈スーパーコンボ〉、強そうでしょ?」
「ま、なんでもいいけどさ」
あくびしながら、ジェシカさんは寝転がった。
「ボクは昼寝しているから、自分でいいようにやりなよ。これはキミの攻略物語りだし」
「了解ですっっ!」
というわけで、さっそく【覇王魔窟】1階に戻る。蠍群魔さんたちが、ちゃんと復活していた。先ほど撃破したとき数えたけど、【覇王魔窟】1階にいる蠍群魔さんはぜんぶで13体だ。では13体、いただきまーす。
「皆さん、よろしくお願いしますっっ!!」
13体全部を殺したところで、今回は徒歩で外に出る。たぶん1階だと、〈緊急脱出トンカチ〉使うより徒歩のほうが早い。
外では、ジェシカさんが爆睡していた。気持ちよさそう。私は戻って、今日3回目の【覇王魔窟】1階ー。ちゃんと復活している蠍群魔さんたち。いい魔物さんだぁ。私の顔の右半分グチャったけど。
「どんどんいきましょう!」
日が暮れるころには、【覇王魔窟】1階クリアは12回。156体の蠍群魔さんを撃破した計算になります。うーん。だけど〈スーパーコンボ〉の武装Lv.は5まで上がったところで、もう動かなくなってしまった。
「どうしてでしょう、ジェシカさん?」
「あのね。武装Lv.が上がれば、それだけ次に上がるため必要な魔素量は増えるわけ。そして魔素を多くため込んでいる魔物は、その分だけ強くなるの。だから蠍群魔という雑魚から得られる魔素量じゃ、もうまともなレベル上げはできないわけ」
「なるほどです。じゃ、明日は2階にいきますね」
ジェシカさん、溜息をつく。
「はぁ。こんな調子で、果たして1000階にたどり着くのは、いつになることやら」
「ところでジェシカさん。武器強化の上限レベルとか、あるんですか?」
「うーん。どうだろうね。武装Lv.999でカンストする、という話を妹から聞いたことがあるけど──そこまでレベル上げできるものかね」
「はぁ。あ、そうだ。カブシチュー、ご馳走しますよ、ジェシカさんっっ! カブがたっぷりですよっっっ!」
「そこはお肉たっぷりのほうが嬉しいんだけどなぁ~」
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