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3,THE座学。

 


「ではでは、何も知らないカブ娘に、どうすれば【覇王魔窟】最上階まで辿り着くことができるのか、教示してあげよっか」


「カブ娘? カブ畑をバカにすると、たとえ命の恩人でも怒りますよ」


「まぁまぁ、バカにしてないって。カブ好きだよ、エルフもカブ食べるよ。こんどキミのところのカブ、買い取ってあげるから。

 とにかく本題。

 まず、キミは雑魚すぎ。あのさ。どうしてただの農家の娘が、【覇王魔窟】の最上階まで行く、つまり完全攻略できると思っちゃった? キミの属する大国アーテルが建国してから、これまで数多の〈挑戦者(ディファイアンス)〉が失敗してきた、地獄の難易度を誇るダンジョン塔をさ?」


 私は胸をはって──貧乳で何が悪いっっっ!──答えた。


「愛の力ですっっ!」


 なんか爆笑しだすジェシカさん。この人、嫌い。


「分かった分かった。キミにお笑いの才能があるのは分かった。次にキミが四肢切断状態で転がってきたらさ、もう〖女神の泉〗で回復はできない。そこは分かっているね?」


「〖女神の泉〗が私に使用できる資源が、もう尽きてしまったからですね」


「うん。だから次に四肢切断で出てきたら、キミはエルフの里に連れていき、お笑い担当として永久雇用してあげるから、安心したまえ」


「二度とあんな大敗北はしないので、ご心配なく」


「ほう。いい自信だねぇ。だけどキミは、雑魚だからね。そこはちゃんと理解しておくように。じゃ、まずはダンジョン塔【覇王魔窟】について、初心者向けの説明をしてあげよう。どうやらキミは──その1,最上階は1000階。その2,最上階まで行けば願いが叶う──の二点しか理解していないようだから」


「最重要ポイントは押さえておきましたよ」


「はぁ。まったく──まずね、ダンジョン塔【覇王魔窟】はある古代神が創った。エルフ族には常識だから断言しとくね。最上階は1000階ではないよ。正確には1001階だ。【覇王魔窟】に入れる入口は、1階のみ。昔、どこかのバカなギルドが、外壁をよじ登って途中階から不法侵入しようとしてね。彼らは、どうなったと思う?」


 ジェシカさんが、なぜか嬉しそうに聞いてくる。このエルフさん、もしかしなくてもドSだよね。


「皆さん、お亡くなりに?」


「そ。しかも死にかたがエグい。外壁よじ登りのズルしようとした連中は、生きたまま塩になったんだけど。とにかく長く長く苦しんだそうだ。考えてみなよ。一瞬で塩化するならともかく、指の先や、眼球や性器が、じわじわと塩にかわっていくんだからねぇ。しかもそれだけじゃない。なんとズルしようとした連中の家族も、みーーーんな、謎の病で3日以内に死んじゃった。もちろんこれは【覇王魔窟】が、ズルしようという人間に痛烈なペナルティを与えたのだね。古代神が創ったのだから、それくらいの災いが起きても驚くことじゃない」


 驚くことじゃないかもしれないけど、固唾は呑みたくなるよね。

 ジェシカさんは続けた。


「【覇王魔窟】は階を上がるほど、出現する魔物も強力になっていきまーす。よってキミは、【覇王魔窟】の最も簡単なところで躓き、ズタボロにされたわけ。ダサいということが分かったかな?」


「だって、さそり魔物さんたちいっぱい出てきたし」


「はぁ。1階のさそり型魔物、確か正式名称は蠍群魔スコーピオンとかいったような──あんな雑魚、何千と出てきても余裕で瞬殺できるようにならないと、最上階どころか100階以降さえきついんじゃないかぁ? 

 まぁいいや。とにかく【覇王魔窟】の魔物については、今は次のことだけ知っておきな。

 その1,階層によって出現する魔物とその数は決まっている。その2,その階層に出現する全魔物を殺さないと、次の階層には行けない」


「はぁ。どうりで、階段前に結界が張られていたわけですねぇ。すると魔物さんたちは殺されても、次のときには復活しているわけですね」


「そーいうこと。ちなみに、ひとつの階層に入れる人間側の人数も決まっていて、5人まで。これ以上の数が入ろうとすると、肉団子」


 私は小首をかしげた。


「肉団子? お昼ですか?」


「違う違う。強制的に肉団子にされて死ぬってこと。ようはミンチ状態ね。たとえば6人が間違って同時に入ったら、一人の肉体が潰れてミンチにされるわけ。6人のうち誰が肉団子になるのかは、エルフ族も知らない。ランダムだという者もいるし、隠された法則性があるという者も。ボクは『法則性』説に一票だけど確証はない。 

 ま、ソロプレイヤーであるキミには、あまり関係ないことかな。ただ【覇王魔窟】攻略中、ほかの〈挑戦者(ディファイアンス)〉パーティと遭遇したときは、気をつけたほうがいい。基本的に、他の〈挑戦者(ディファイアンス)〉たちは5人構成が多いからね」


「はぁ、なぜです?」


「さっきも言ったけど、いまどき【覇王魔窟】に挑戦する〈挑戦者(ディファイアンス)〉は、どこかの組織から派遣されているからさ。そして【覇王魔窟】攻略するにあたって、人数は最大のほうがいいでしょうが。互いに助け合えるんだからね。

 さらに、キミが他の〈挑戦者(ディファイアンス)〉より断然不利ということがある。それは、情報だよ」


「情報、ですか。あ、そっか。階層ごとに出現する魔物や数が同じということは、そこまで到達し、かつ無事に引き返せた人は、その情報を自分が所属する組織に伝えることができるわけですものね」


 ウムウムとうなずくジェシカさん。


「そ。そういった情報は、当然ながら門外不出。同じ組織に属している者だけが教えてもらえる。そして、事前に知り得た情報を駆使してさらに高みへと到達し、無事に生還した者は、新たな情報を組織へと伝える。ようは組織にとっての集合知であり、その最大手がこの国アーテルであることは、予想がつくだろうね」


「はい」


「さてと。【覇王魔窟】についての基本事項は、こんなものかな。続いて、キミがどうやって【覇王魔窟】を攻略するかについて、教えてあげよう。ようは、どうすればキミは強くなれるのか。農家の娘よ、大志を抱け」


「はい、抱いてますっっっ!!」


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