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28/202

28,100階。

 

 ベロニカさんは一命をとりとめた。


 そこで翌日から、さっそく私は【覇王魔窟】に戻る。

 少年くんこと〈悪鬼羅刹ザ・ボーイ〉が解き放ったドラゴンのことは、とくに興味はないです。別に、ドラゴンが解き放たれたのは、私のせいではないし。私が『ドラゴン解き放てやい!』とか煽ったわけではないのだ。

 よってドラゴンをどうにかするのは、私の責任ではない。おそらく冒険者ギルドの精鋭パーティか、王国騎士団が退治してくれることでしょう。できなかったら、それは彼らが弱いのが悪い。私は、そういうところはシビアですよ。


 また当初の予定では、まだリハビリ期間のはずだったけど。どうやら、身体はちゃんと動くようなので、これはもう【覇王魔窟】に行くしかないよね。

 というわけで、久しぶりの【覇王魔窟】1階。いまとなっては家族のように親しみを感じる〈蠍群魔スコーピオン〉たちが出迎えてくれた。


「皆さん、久しぶりですね! やっと戻ってきましたよー!!」


 撃破、撃破の撃破。


 今回は計画をたててある。前回は少々、中毒状態になりすぎて、まわりが見えていなかった。だから今回の攻略では、まず適度な休息を入れることにするのだ。10階攻略するごとに、食事をとり、睡眠をとる。

 よって今回は、大荷物だ。


 これまでの攻略で学んだのは、魔物というのは、われわれ〈挑戦者ディファイアンス〉を狙ってくるけど、その荷物までは興味がないこと。つまりバトルが始まる前に、そのフロアの隅っこにでもおいておけば、荷物に危害は加えられない。

 だから大荷物で、まるで『引っ越しですか?』というくらいの量を運んでも問題ないわけ。

 よって数十日分の食事に、飲料水。そして、快適な睡眠をとるための枕。そういったものを持ち込んで、コツコツと階を上がっていくのだ。


 大事なのは、計画性である。

 そして、正しい対処法。


 58階に到着。前回は、ここでボコボコにされた。あれは、私が悪かった。まともな睡眠も栄誉もとらず頭がくらくらしている状態で、勝てる敵ではなかったのだ。

巨人鬼トロール〉と〈歪爺オールドマン〉の2体との同時対決。


歪爺オールドマン〉の小枝杖に注意──といいたいところだけど、あれは騙しでしょう。ちょっとあからさますぎる。

 前回、〈歪爺オールドマン〉が小枝杖を回すと、私の四肢も回転しだした。確かにタイミング的にはそうかもしれないけど、だとしたら、もっと隠れて行うものでは? 

 やっぱり、あらかさますぎる。

 ただ、真に『四肢が強制的に回転させられる』スキル攻撃をしているのが、別にいるのならば話は変わる。

 ただの木偶の坊に見える、〈巨人鬼トロール〉が行っているのならば。


歪爺オールドマン〉の小枝杖がまずいと思い込まされ、そちらに意識が向いている間に、〈巨人鬼トロール〉の固有スキルで、四肢が千切れるまで回転させられ敗北してしまう。

 なぜこのカラクリに気づいたかといえば、前回のバトル時。

 私の右腕、つづいて左足が回転させられ、骨も砕けていたわけだけど。あのとき〈巨人鬼トロール〉の頭に〈スーパーコンボ〉を叩き込んだ瞬間、強制回転が止まった。

巨人鬼トロール〉に踏まれまいと〈歪爺オールドマンがビビる前に。


 だからまず殺させていただくのは、〈巨人鬼トロール〉さんのほう! 


 魔改造(くわ)〈スーパーコンボ〉を《操縦》で自由自在に操る。このとき〈スーパーコンボ〉の柄にまたがれば、魔女の箒のように、私自身が飛ぶことができる。

 そうして〈巨人鬼トロール〉の頭上まで飛んだところで、急降下。

 一気に《爆打》連打で、脳味噌を破壊。〈巨人鬼トロール〉を仕留めたところで落下し、〈歪爺オールドマン〉を蹴とばして転ばす。


「自我は持っていないはずですが。とはいえヒト型魔物を殺させていただくのは、罪悪感を抱きますね……………そうでもないか」


歪爺オールドマンの顔面に、〈スーパーコンボ〉を叩き込む。

 ぐちゃっと、潰れた。

 58階クリア。自己記録を更新ですっっっ!


 そうして、階を上がっていく。計画的に、コツコツと。

 私の自信は、【覇王魔窟】への信頼感にある。まだ初期ともいえる階層で、そうそう初見殺しの魔物を用意するはずがない、という信頼感に。あまりな鬼畜難易度だと、このゲームは詰まらない。でしょ?

 たとえば14階の〈スライム〉。『〈スライム〉を殺した者は自分も死ぬ』とは、一見すると初見殺し臭がする。

 しかしながら、少し考えてみる。この『魔物を殺した者は自分も死ぬ』は、何も〈スライム〉に設定する必要はなかった。たとえば〈影鰐シャドウアリゲーター〉でも良かった。そうしなかったのは、なぜか? 


影鰐シャドウアリゲーター〉では見抜きようがないから。

 けど〈スライム〉ならば、『どうして14階に、こんな雑魚魔物がいるのだろう? 無抵抗で殺されるだけの魔物がいるなんて、おかしくないか?』と疑問に持つことができるのだ。

 まぁ、偉そうに語っているけど、私もライオネルさんの助言がなかったら、見抜けなかった。

 ただ〈スライム〉の件で、【覇王魔窟】を創った古代神の考えが、分かったように思うのだ。


 じっくりと考えれば、攻略法はある。

 焦らなければ対処できる。ましてや、まだたかが下層階じゃないか。本番はこれからでしょう。真の【覇王魔窟】は、まだ始まってもいないじゃないか、と。


「くわくわくわくわくわくわくわくわくわくわくわくわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


《氷打》連打で、〈鎧獣(ガードビースト)〉の防護鎧を破壊。爆発系には強いが、氷結系に弱い鎧だったのだ。

 そして〈鎧獣(ガードビースト)〉の頭部が砕けちり、殺させていただく。


 私は、ふぅと溜息をついた。とにかく長い戦いだった。《氷打》が弱点だったからといって、速攻で倒せたわけではない。

 結局、〈鎧獣(ガードビースト)〉ちゃんを撃破するまで、30時間もかかった。

 だけど、ついにやったのだ。〈鎧獣(ガードビースト)〉がいたのは、100階。それを撃破したということは──


「やったっっ! 【覇王魔窟】100階を攻略したよっっ!!!」


 ここまで来るのに取り込んだ魔素で、〈スーパーコンボ〉の武装Lv.は88から136まで上がっている。

 現在のスキルポイントは、158。

 100階に到達するまで、新しいパネルは解放しないぞ、と心に決めていたんだから。


 さぁ! ついに、『栽培』領域のスキルパネル《耕作:見習い人》を解放するよっっ!!!


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