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128/202

128,こつこつサンディさん

 


 私が頑張っているときは、別の誰かも頑張っているものだ。

 たとえばサンディさん。


 ところで〈つなぎの女王〉に就任したところで、私は騎士団に、王都内に取り残された王都民を救出するよう指令を出した。

 それとは別口で、2時間後、サンディさんがやって来た。30人ほどの避難民を連れながら。そして玉座の間に来るなり、愚痴っぽく語り出した。


「荷が重いって! アリアちゃん! 私には〈攻略不可能体〉の幹部の〈四ツ魔〉とか、荷が重いって!!」


「え? 〈四ツ魔〉の一体とバトルしたんですか?」


 私が意外に思ったのは、管轄権(?)的なものだ。

 この王都への攻撃は、ジョアンナさんこと〈寄生操魔パペットマスター〉によるものだ。一方で〈四ツ魔〉は、〈魔創造人イマジネ〉の幹部。この王都内に現れるのは、ほかの〈攻略不可能体〉への干渉になるのでは? 

 いや、その発想は、【覇王魔窟】的すぎるのかも? 


 つまり【覇王魔窟】では、他階層への干渉は許されていなかったけども、ここは外の世界。〈擬態幻魔ミミクリーデビル〉と〈魔創造人イマジネ〉が協力関係だったと思われる証拠もあるし。ただこのときの協力関係では、ある程度の、互いへの不干渉は感じられた。

 一方、このジョアンナさんが侵攻中の王都内に〈魔創造人イマジネ〉の幹部まで来たというのは、かなりガッツリと関わっている気がする。それだけ、仲がいいのかな? ふーむ。


「なにはともあれ、サンディさん。撃破、おめでとうございます」


「どうして勝ったと思うの?」


「まぁ五体満足ですし──」


 それに、サンディさんの愚痴の言い方が、『苦労したけど勝ったんだよ。話を聞いてよ』という感じだったし。


 サンディさんは、王城所有の葡萄酒をごくごく飲んでから、言った。


「美味しくないぞ! 王の酒のくせに、美味しくないぞ!」


「ミリカさんは、お酒とかあんまり飲まないみたいですし?」


「話すよ、アリアちゃん! わたしが、どれだけ死ぬ思いだったかを! というか、一歩間違ったら死んでたよ!!」


 ということで、サンディさんは話し出した──


 ●●●


 半日前、サンディさんは鍛冶屋にいた。

 依頼に出していた右手の義手の防具強化が終わったという話で。こうして戻ってきた右手義手は、魔法金属オリハルコン製になっていた。素材として提供したオリハルコンは、王政府より譲ってもらったものだ。つまり、ミリカさんから頂いたと。

 そのオリハルコンを加工できる腕利き鍛冶屋は、世界でも数えるほど。その一人が、この王都にいてもおかしくはないよね。


 かくしてサンディさんは、右手の局地的防御力を格段に上げて、ほくほくだった。その証拠に、奮発して高級な蒸留酒の酒瓶を買ったくらいである。

 そうして帰宅中、見た。ゾンビが、通行人の肉を喰らっているところを。サンディさんは「うわぁ。今日はいい日になると思ったのに」と嘆きながら、ゾンビの頭部を右手で殴り破壊した。

 そう、オリハルコンの右手である。防御力だけでなく、右拳の攻撃力も各段に上がったのだ。


 その後、こつこつと目に入ったゾンビたちを、オリハルコン右拳で殴り破壊する。こつこつサンディさん。

 そんなとき、サンディさんは『それ』と遭遇したのだ。すなわち〈四ツ魔〉の一体と。ただし、はじめて遭遇したときには、サンディさんには正体も何も分からなかったわけだけども。


 ところで──このとき、サンディさんの相棒〈魔統兵器〉である、聖杖〈愛と抱擁〉は武装Lv.1022。そのスキルツリー開拓内容は、


                  ◇◇◇

【打撃領域】(打撃Lv.15※右拳打撃Lv.40)

 《聖なる一撃》→33%で、聖知状態にする一撃。

 《遠方良好打》→最大50メートルの距離から強力な一撃を与えられる。

【防御領域】(防御Lv.28※右拳防御Lv.40)

 《護りの姿勢Aパターン》→物理攻撃に対する護りの状態。

 《護りの姿勢Bパターン》→状態異常攻撃に対する護りの状態。

 《護りの姿勢Cパターン》→自然現象操作の攻撃に対する護りの状態。

【逃走領域】

 《遁走バースト》→敏捷性が50倍となる。効果は300秒間。逃走限定スキルではない。

 《煙幕》→煙幕を出す。逃走に効果的だが、逃走限定スキルではない。

 《音無し世界》→スキル発動者が出す、一切の物音を消し去る。

 《あなたは忘れる》→敵からの、スキル発動者への意識がなくなる、または薄れる。

【必殺領域】

 《神の槍》→敵の防御力を無効にする必殺の一撃。発動する時刻を、最低5分前には設定する必要がある。

【友好領域】(害意緩和Lv.25)

                 ◇◇◇ 


 逃走スキルに傾倒しているサンディさん。ただ興味深いのが、そうして解放した逃走スキルが、どれもバトル時にも有効ということ。そして稀少アイテム〈神の槍〉を強化素材として吸収したことによって得た、必殺の一撃《神の槍》。


〈四ツ魔〉とバトルするにあたって、これで申し分なかったのか、どうか。それはすぐに分かることなのだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] サンディ含むアリアの関係者達、ここ数十年とか数百年の人類の強さが比にならないくらいにはインフレしてそう
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