表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/202

102,〈幽魔殺しのスイカ〉。

 

黒膜幽魔フィルムゴースト〉さんが言うわけだ。


「人間、我が主の覇道を邪魔するならば、ここで死ぬがいい。《闇膜》!!」


 こっちが何も言う前から、戦闘に入るなんて。この魔物さんは、コミュ障かな。


黒膜幽魔フィルムゴースト〉さんの身体から、薄い黒膜が拡散する。この薄膜、見た目とは違って、異常な耐久力。というか破壊不可能。

 しかも空中を覆い尽くすと、太陽の光も遮り、周囲がすっかり闇黒と化してしまった。視界を奪うタイプか。


黒膜幽魔フィルムゴースト〉は、この漆黒の中でも、私のことがよーく見えているのだろう。一方で、私は何も見えない。

 そこでこちらも《視界滅界》を発動。スキル内容は、『33秒のあいだ、確実に敵の視界に入らなくなる』。おそらくその原理は、強制的に敵を盲目状態にするのだろうけども。


 さて。これでお互いに、相手の姿は見えなくなった。だがこちらは、33秒で時間切れだ。その後は、一方的に攻撃を受けるとになる。

 ひとまず、《怠惰心地》で周囲の時間の流れを緩慢にする。

 つづいて、《大地愛暴》の攻撃範囲を、この《闇膜》内に広げようか? だけど致命的なダメージとなるかな? それが分からないと、むやみに発動はできないが。


 おお、この歯ごたえを見よ。やはり魔物との戦いは、こうでなくては。目をつむっていても倒せるような魔物は、魔物とは言わんのですよ。

黒膜幽魔フィルムゴースト〉さんは久しぶりにヒリヒリさせる敵。ヒリヒリはさせるが──すでに《耕作:熟練者》は発動しており、スキル実の収穫も近い。


 だがその前に、33秒が終わり、《視界滅界》が切れた。再発動までには、しばらく時間があく。

 その間、とりあえず《視界不良》を使っておく。どこまで効果があるかは疑わしいが、何も使わないよりはいい。


 ところで──私は先ほどから二択を迫られていた。防御スキルは《鎧装甲:地獄》にするべきか、《鎧装甲:状態異常》にするべきかと。同時発動はできないのが、悩みどころだ。

《:地獄》ならば物理攻撃に強い。だが状態異常を起こさせる系の攻撃には、無防備。対して《:状態異常》ならば、状態異常系にはかなり強い(絶対的に防御できるわけではないけども)。ただし物理攻撃には弱くなる。

 とはいえ、私には基礎力としての(防御Lv.55)があるのだ。それを信じて、《:状態異常》を使っておいた。


 さて──《視界滅界》が切れたとたん、〈黒膜幽魔フィルムゴースト〉に見つかったようで、連続して攻撃を受ける。

 その物理攻撃スキルは重たく、何発目かで肋骨が折れた。

 ただ《鎧装甲:状態異常》が言うには、先ほどから物理攻撃スキルと並行して、『発狂』の状態異常が起こるスキル攻撃も受けており、こちらは《:状態異常》が防衛しているという。

 ふーむ。発狂せずに済んで良かったぁぁぁ。


 そして、スキル実の収穫のときだ。

〈幽魔殺しのスイカ〉を収穫したよっ!


 スイカなので、いきなり齧ることはできない。〈スーパーコンボ〉でスイカ割りしてから、齧る。

 食すことで、《幽魔殺し》のスキルを会得。

 その効果とは、『固有スキル《闇膜》による闇黒状態を解除し、また《闇膜》を使った者の()()()()()する』。

 さっそく発動。


 瞬間、《闇膜》による視界ゼロの闇黒が消え、太陽の光が降り注ぐ。そして〈黒膜幽魔フィルムゴースト〉が両手を天空へと突き上げながら、


「目がぁぁぁ目がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 と絶叫している。


 私はそんな〈黒膜幽魔フィルムゴースト〉に歩み寄り、【打撃領域】から、《地滅嵐打》→《毒ノ国》→《地滅嵐打》→《桜氷雪打》→《地滅嵐打》→《地滅嵐打》と連続発動。

 途中で【射程領域】より《阿吽竜巻》なんかも挟みつつ、やはり破壊力型《地滅嵐打》の連打で連打。こうして目が潰れた〈黒膜幽魔フィルムゴースト〉さんに対して、破壊の破壊の破壊の限りをつくさせていただき──撃破した。


「さらばですっ」


黒膜幽魔フィルムゴースト〉さんの強化素材を採取。


 それから改めて、オルト城砦付近に《大地愛暴》を発動。岩石が魔物連合軍をすりつぶしていく。そのあとは、まだ生き残りの魔物たちを狩らせていただいた。


 一仕事を終えたところで、オルト城砦内に《操縦》で戻る。城砦の守備隊や、避難場所から出てきていた領民たちが、大歓声を上げる。

 そんなことはどうでもいいけど──。オルト侯ユリちゃんが、中庭で出迎えてくれているではないか。


「幼女さんっっ!!」


 と、激しくハグ。

 そばにいた守備隊長さんが、疑わしそうに言う。


「やはり、この『生き物』はわが主にとって危険ではないだろうか」


 私が解放すると、ユリさんはしばしフラフラしてから、こほんと咳払いした。そして舌足らずに言う。


「アリアお姉さん! あなたを、このオルト侯爵の騎士に任命しますっっ!」


「騎士ですか。ふーむ、いいですよ」


 ミリカさんあたりが知ったら、大いに叱られそうだが、幼女の要求には逆らえまい。


 ところで、私は〈魔創造人イマジネ〉さんの重要な配下であろう〈黒膜幽魔フィルムゴースト〉を撃破したわけだけども。

〈四ツ魔〉というのだから、あとまだ3体いる計算。つまり、なかなかに手ごわい敵と、同時に3体戦う可能性もあるわけだよね。


 そろそろ、貯めていたスキルポイントを使い、スキルツリーを開拓するときが来たようだね。

ブクマ登録、お願いします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 《攻略不可能体》が来たらちょいと不味いけど、その部下じゃあ話にならないんやなぁ!サクサクお話が進んで行くぜ!そしてコンボも綺麗に決まってますね…! 守備隊長さんがアリアさんのことを人…
[一言] バルス!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ