二度目の不法侵入
リョウちゃん家の庭に入ると、夕方リョウちゃんのお母さんと白石のおっちゃんがいた部屋はカーテンが閉め切られており、カーテン越しに漏れ出てくる光もなく真っ暗で、誰もいないようであった。
その代わりに、家の隅っこにあったお風呂場の電気がついていた。
僕は、二人がお風呂に入っているのだろうと考え、お風呂場の方に向かった。
お風呂場は後から作られたのだろうと思われる小屋のような建物で、ウチと同じように廊下の先にあった。
その風呂小屋に行くと、虫よけの網が張られた風呂の窓が少し開けられており、そこから、二人の声が聞こえてきた。
二人の声と言っても、ほぼ白石のおっちゃんの声で、風呂の壁に反響して、かなり大きな声で聞こえた。
そのほとんどが「じっとしとけ」と言う声だったり、「もっとこっちに来んか」というリョウちゃんのお母さんを叱責する声だった。
僕は、少し上の方にある半開きの窓から中の様子を見ようと、台になる物を探した。
辺りはすでに真っ暗だったが、お風呂場の窓から漏れるあかりと、お風呂の焚きつけの火の光で、すぐ横に、薪の入った木製の箱があることに気付いた。
僕はその箱を音を立てないよう窓の下まで持ってくると、その上にそうっと立って窓の隙間に目を当てた。