衝撃的な情景
リョウちゃんの家は、長い小道の奥に一軒だけ立つ古い平屋の木造住宅だった。
周りはこれまた古い土塀が囲んでおり、土塀の上には瓦が敷かれていて江戸時代にできた建物ではないかと思うほど古めかしいものであった。
ただ、土塀の中には広い畑があり、その中に小さな平屋の家がぽつんと建っている、庭のない家に育った僕からすると、遊び場の多いなんともうらやましい家ではあった。
そんな広い庭のある家だったので、リョウちゃんと遊ぶときは、よく庭で砂遊びをしたり、かくれんぼをしたりして遊んだ。
だから、僕はリョウちゃんの家の隅々まで知り尽くしていた。
周りを囲む土塀の端が崩れていて細い隙間があり、そこを小さな子供であれば、通り抜けて外と中とを出入りできることも知っていた。
僕は、その土塀の隙間を通ってリョウちゃんの家の中に入った。
今であれば、子供であっても家宅不法侵入の罪に問われそうな話ではあるが、当時は、戦後の名残なのか、そういったことにはずいぶん緩い時代で、子供であったこともあり、リョウちゃんがいなくても、そんなに悪いことだとは思わなかった。
しかし、さすがに事の良し悪しの分別が付き始めた年齢でもあったので、誰かに見つかると叱られるだろう事も分かっていたため、音を立てないよう、身をかがめて、畑の向こうに立つ平屋の家に近づいて行った。
リョウちゃんの家は、畑に向かった面が横向きのまっすぐな一本廊下になっており、その外側の、昔は雨戸があったであろうと思われるところが、木製のガラス戸になっていた。
ガラス戸の室内側には分厚い藍色のカーテンが取り付けてあり、さらに、その奥には障子戸があった。
リョウちゃんの家に遊びに行ったときには、障子戸が閉められていることはあっても、カーテンはいつも開けられており、昼間にカーテンが閉められているのを見たことはなかったが、その日は不思議なことに閉め切られていて、中の様子は遠くからは見えなかった。
そのことにも、いつもとは違う異様な雰囲気を感じた。
僕は、息をひそめて、さらに、緊張で高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、中の様子が覗けないか、そのガラス戸に近づいた。
カーテンは閉まるには閉まっていたが、ずいぶん無造作に閉められた感じで、カーテンとカーテンが重なる部分には隙間があり、そこから中を覗くことが可能だった。
しかも、カーテンの後ろの障子戸は、カーテンを閉めて外からの光を遮断したためか、全開になっており中の様子は丸見えであった。
僕はガラス戸にそっと目を近づけて、そのカーテンの隙間から中の様子をうかがった。中には、明らかに何かがいる気配が感じられた。
目を凝らすと、二つの黒い塊がもつれながら床に敷かれた白い布団の上でうごめいているのが見えた。
やがて、その二つの塊の一つが、床から起き上がり、もう一つの塊の後ろに移動した。
その塊の一つは、さっき家に入って行った白石のおっちゃんで、もう一つの塊が僕の大好きなリョウちゃんのお母さんであると、僕が認識するのに、さほど時間は必要なかった。
白石のおっちゃんは何も身に着けていない素っ裸状態で、シミーズ一枚だけを身に着けて四つん這いになっているリョウちゃんのお母さんに背中側から抱きつき、シミーズの裾をリョウちゃんのお母さんの背中に捲し上げると、グイっとリョウちゃんのお母さんのお尻に自分の腰を押し付けた。
周りには、リョウちゃんのお母さんと白石のおっちゃんが着ていた服や、白石のおっちゃんの猿股、リョウちゃんのお母さんの白いパンティーが無造作に脱ぎ棄てられていた。
白石のおっちゃんに腰を押し付けられたとき、リョウちゃんのお母さんは、少し苦しそうな顔をして、顔を上に向けた。
その後、白石のおっちゃんは、静かに腰を前後に振り始めた。
その振り方は一定ではなく、早くなったり、止まったり、ゆっくりになったり、ニヤニヤしながら、何かリョウちゃんのお母さんに話しかけているようにも見えた。
リョウちゃんのお母さんは、その言葉に、特に反応するでもなく、ただ顔を横にイヤイヤするように振ったり上下に動かしたりしているだけであった。
いつもアップにしているリョウちゃんのお母さんの髪はほどけ、ほどけた長い髪がその動く顔を見えたり隠したりして妙に艶めかしかった。
僕は、その当時、男女のそういう行為のことをよく知らなかったので、その時、自分が見ている情景をすぐには理解できず、頭の中が一瞬真っ白になった。
そして、見てはならないものを見てしまったという罪悪感が一気に自分の中に広がった。
それと同時に、その罪悪感とは全く逆の、もっとはっきりリョウちゃんのお母さんの裸を観察したい、白いお尻をもっとはっきり見たいという好奇心が沸き上がってきた。
だが、白石のおっちゃんのお尻の陰になって、リョウちゃんのお母さんのお尻はよく見えなかった。
「おっちゃん離れろ。おっちゃん離れろ」と心の中で唱えながら見ていると、突然おっちゃんの腰の動きが激しくなり、ガラス戸を介してでも聞こえるほどの「うおぉ」という大きな雄たけびをあげて、ぱっとリョウちゃんのお母さんのお尻から腰を外した。
そのとたん、リョウちゃんのお母さんの真っ白なお尻の全部が僕の目に入ってきた。
僕は、そのお尻の美しさに見とれた。もっともっと近くでずっと見ていたいと思った。
だが、すぐにリョウちゃんのお母さんは、そのまま床の上に崩れ、その拍子に背中にたくし上げられていたシミーズが落ちてきて真っ白いお尻を隠した。
その時、白石のおっちゃんが何をしていたのかは覚えていない。特に興味もなかった。
でも、その時のことを今思い起こすと、リョウちゃんのお母さんの背中や布団に何かが飛び散っていたのを見たようにも思い返され、それが、白石のおっちゃんが絶頂に達して外に放出した精液だったのではないかと思っている。
そのあと、白石のおっちゃんは、自分のおちんちんを握ったまま、ぐったりと倒れこんだリョウちゃんのお母さんの顔の方に回り込み、そのおちんちんをリョウちゃんのお母さんの口に無理やり押し込んだ。
この時のことは、大好きな女性をイジメているように見えて腹が立ち、今でも目に焼き付いている。
リョウちゃんのお母さんは、ゆっくりと身体を持ち上げると、自分の口に押し込まれた白石のおっちゃんのおちんちんを一度口から出し、まるでソフトクリームでも舐めるかのように、ペロペロと舐め始めた。白石のおっちゃんは満足げに笑いながら何か言っていた。
しばらくしてリョウちゃんのお母さんは、握っていたおっちゃんのおちんちんを外すと、無言で自分の身体や布団についた何かをチリ紙で拭き始めた。
そうして、むくっと立ち上がると、脱ぎ散らかされた服や下着の中から、自分の下着と服を拾い上げ、無言で身に着けた。
その下着をはく姿や服を着るしぐさも妙に艶めかしく、それを見ていた僕は、なんとも表現できない、不思議ないい気持ちになり、その不思議ないい気持ちは、僕の股のあたりを中心にして全身をかけ巡った。
それは、5年生になった頃から時々感じていた、股を強く締めつけると訪れる、あの快感であった。
その後、しばらく無言の時間が流れた。
白石のおっちゃんは、相変わらず素っ裸で畳の上に寝転がっていた。眠ってしまっているのではないかと思われるほど、長い時間であった。
僕は、その間じっとカーテンの隙間から覗きながら、再びリョウちゃんのお母さんが裸になるのを待ったが、残念なことに再びそういう状況にはならず、リョウちゃんのお母さんは、ずっと服を着たまま、そこにあった飯台に両手をついて、顔を伏せていた。
やがて、裸の白石のおっちゃんがむくっと起き上がると、そこに脱ぎ散らかしていた猿股と服を身に着け、リョウちゃんのお母さんに何か話しかけた。
「そろそろ、ウチのクソ婆が帰ってくるけん帰るわ」と小さく聞こえた。
「また旦那が出張の時に来るけん」と、これだけはガラス戸越しにもはっきり聞こえるほどの大きな声で言ってそそくさと出て行った。
リョウちゃんのお母さんは、そんな声にも特に反応することはなく、ずっと飯台に顔を伏せ座ったままだった。僕は、リョウちゃんのお母さんが泣いているように感じた。
興奮する情景も終わって、僕は我に返った。
そんなに時間が経過したとは思っていなかったが、陽がずいぶん傾いており、もうすでに夕飯の時間が迫っているのに気付いた。僕は、慌てて土塀の隙間から外に出て家へと急いだ