気付いてしまった事
アイテムカードを加えた新バージョンを三人でプレイ。
画像多数です。一応なくてもわかるよう、効果は文章でも説明していますので、不要な方は機能をオフにしてください。
遊んでる感を出したくて、実際にカード並べてやってみました。
そのためちょっと長くなっていますが、お楽しみいただけたら嬉しいです。
「じゃ、じゃあ相楽さんもルールは大丈夫だね」
「オッケー」
「こ、今回から追加したアイテムカードは、みんなに一枚ずつ配って、後はコースに置いたから、使いたいタイミングで使ってね」
「あたしー、こういうの最後までとっといて使わないタイプー」
「わ、わかるなぁ。完全回復薬とか、ラスボスでも使わなかったり」
「それなー!」
三枝君と相楽さんは開始前から盛り上がっている。
私はその輪に入れない。
こういう時、どうしたらいいんだろう……。
「……始めないの?」
「あ、う、うん。ごめんね藤和さん」
「茉里、言い方冷たいよー。もっと明るくスマイルでー、『始めましょっ』って言わないとー」
「……」
何で顎の下で手を握りしめる必要があるんだろう……。
「は、始めま、しょ?」
わからないけど、必要なら……。
「うっ!?」
「やばい! 茉里そのまま! 攻撃力やばい! 写メ撮る!」
「え、ちょ、やめて……」
だまされたのかしら……。
三枝君は真っ赤になって下向いちゃったし……。
「じゃあこれで勝ったらもう一回今のやって!」
「……嫌よ」
「三枝も見たいよね?」
「う、うん……」
「……写真はなしよ」
「オッケー!」
何だかわからないけど、負けられなくなってしまった。
「じゃ、じゃあ順番はサイコロで決めよう」
「じゃんけんじゃないのー?」
「さ、サイコロで決めるの、すごろくらしくて好きなんだ。か、数が大きい人から順番だよ」
「じゃあ振るわね」
私は2。
「よっしゃこーい!」
相楽さんは6。
「よっと」
三枝君は3。
「じゃああたしからー。えいっ! おー! 6!」
姫のコマを乗せた黄色のおはじきが進む。
「よっしゃー、アイテムカードゲット!」
相楽さんは【封印のお札】カードを自分の前に置いた。
効果は魔王軍のマスを一つめくらないようにできる、か。
……どう見てもあのどこでも行けるドアと、ガムテープ、よね?
「つ、次は僕か。3……、アイテムカードで、あ、封印のお札だ」
三枝君も同じカード。アイテムは同じのが複数あるのね。
「次は私ね」
サイコロの目は1。やっぱりアイテムカード。
【魔法の羽根】、着いたマスをめくらないでおけるのね。
……これもどう見ても未来道具よね。
ねこ勇者が「そらをじゆうにとびたいなー」とか言ってるし。
「どんどん行くよー。また6!」
【下り坂でダッシュ】のカードで更に一マス進む相楽さん。
これ、追いつけるのかしら。
「ぼ、僕は2か。姫のマスだからそのままだね」
次こそ進みたい。サイコロを振ると出た目は2。
魔王軍のマス……。カードは……。
「やば! 魚につられてスタートに戻っちゃったー! ウケるー!」
「と、藤和さん、まだ序盤だから……!」
【魔王軍の罠】でニマス戻りスタート地点……。
……見てなさい。このゲームには一発逆転だってあるんだから……!
「あたしは、2! あ、姫のマスだってー」
めくったカードは……。
「えっ!? 何これ!? 【集え! 勇者達よ!】? 『全員をお姫様のいるマスに集める』って、えぇ!?」
これで全員同じ位置に一気に進んだ。
勝負はこれから!
「え、えっと、何かありがとう。じゃあ進むね」
同じマスに集まった場合は、一番最初に進む人に姫のコマを乗せる。
三枝君は2進んで勇者のマス【変装する】の効果で更に2マス。まだ追いつける。
「2、ね……」
残念。追い越して姫のマスで一発逆転したかったのに。
アイテムカード【薬草】を取って、私の番は終わり。
サイコロの目にプラス1できるのね。効果は微妙?
……葉っぱ食べて「さかなたべたい」って言うねこ勇者が可愛いからいいか……。
「一気に追い抜くよー! それっ!」
気合を入れて振った数は2。三枝君と同じマスだけど、そこは魔王軍のマス。
「【ミチニマヨーエの魔法】!? 『自分の番でサイコロの数だけスタートに戻る』!?」
これで二ターンは私と三枝君の一騎討ちね。
「ぼ、僕は、3。ち、【近道を見つける】で三マス進むね」
近、道……?
一発ゴールできそうな未来のドアだし、端には猫つながりのロボットらしき手も見えるけど……。
ともあれ三枝君は実質六マス進んだ。
私も追いかけないと。
「また2? アイテムカードばっかり増えるわね……」
引いたのは【お守り】のカード。
サイコロの数を減らせる効果は、6とか出ないと意味がないんだけど……。
次は戻らなきゃいけない相楽さんの番ね。
「あー! 何でここで6出るのー!?」
しかも止まったマスは魔王軍のマス。更に戻らされ……?
「わ、【カゼヨフーケの魔法】だね。ぜ、全員三マス戻るよ」
「えへへー、ごめんねー」
巻き込まれたけど、全員一緒ならしょうがない。
「ぼ、僕は3、姫のマスかぁ……。ま、【魔法の羽根】もあるけど、ここはめくろう」
めくったカードは【魔王軍につかまる】。
魔王軍とトランプしてる。『2回休み』?
「し、しまったぁ。やっぱり羽根使えばよかった……」
これはチャンス! 一気に追い抜ける!
「3ね」
「茉里、アイテムカード多くない?」
「引き強いね」
サイコロの目はあまり出てないから、どっちがいいのかわからないけど。
さて、このカードは……。
「っ!」
「あ! あたしの最初のカードと一緒だー。ムキムキー」
「ぱ、【パワーアップの薬】は、振った数が魔王軍のところに当たる時に使うといいよ」
「……なるほどね」
ちょっと吹き出した事には気づかれなかったみたい。よかった。
「あたしはまた戻るのかー」
相楽さんは2でぴったりスタートに戻った。
三枝君は『2回休み』の効果で動けないから今こそ!
「1……」
「茉里、サイコロ運ないねー」
「し、しかも魔王軍マス……」
「アイテム、使うわ」
さっき拾った【薬草】の効果で更に一歩。三枝君を追い越して、アイテムカードのマスに。
「また【薬草】……」
「わー! 茉里何か格好いい! 頭使ってる感じするー」
「う、うん、活用してもらえると嬉しい」
……何だか嬉しい。
前に自分が三枝君に言った改善が生かされてるからだろうか。
「まだまだ負けないよー。4! アイテムカードは【不屈の盾】? お! 魔王軍のマスの◯マス戻るで戻らないってー! 使えるー!」
そんな効果もあるんだ。
ねこ勇者、大きな猫顔の盾に潰されそうになってるけど……。
持ち運べるのかな?
「ぼ、僕はもう一回休みだから、藤和さん、どうぞ」
残り十二マス、すぐ後ろに三枝君。
私のサイコロ運はイマイチ。ならここで勝負をかける!
「【馬車】のカードで3進むわ」
「姫のマス行くのー!? 今一番なのにー」
「……しょ、勝負に出たね」
さぁ一気に進めるカード、来い!
「「えっと、【お姫様の優しさ】? 『サイコロを2回振って、好きな方の数で進める』って、やばくなーい!?」
「と、藤和さん、引きいいね……」
狙ったのとは違うけど、これはチャンス!
最初は1。うーん、本当にサイコロ運がない。
もう一回……! 5! 行き先には……!
「姫のマスー! もう一回やるのー?」
「……いいえ、さっき取った【薬草】でもう一マス進むわ」
「! ゆ、勇者のマスで更に進むんだね!」
あと三マス! お願い! 進ませて!
「【魔王軍をやり過ごす】、『サイコロをもう1回振って進む』だってー! 盛り上がるー!」
「ご、ゴールまでは三マス……。で、でも残りのマスは魔王軍と姫のマス……」
私のサイコロ運のなさから考えると、まだわからない。
来い! 3以上! 来い!
「5……!」
「わー! ゴールだー!」
「お、おめでとう藤和さん」
「ありがとう……」
前の時と違って、運だけじゃなくて勝った感じがする。
だからかな。二人の祝福を素直に受けられた。
「これめっちゃ面白いねー。もう一回やろーよ」
「あ、で、でももう昼休み終わっちゃうし……」
「じゃあ放課後ー! 茉里もまだ部活ないからできるでしょー?」
「!」
忘れてた。
私の足はだいぶ回復してきている。
治れば部活に戻らないといけない。
こんな楽しい時間は、もう……。
「……茉里?」
「……何でも、何でもないわ……」
私はそう答えるのが精一杯だった……。
読了ありがとうございます。
サイコロとカードのせいで、ぷりっこポーズの茉里は幻と消えました。
あーもし負けてたらイラスト描くつもりだったのになー。残念だなー(後出しジャンケン)。
ともあれ近づいてくる別れの予感。
茉里は部活を取るのか、それとも……?
次話をお楽しみに!