加わるものは何か引っかかって
お待たせしました!
そしてごめんなさい!
アイテムカードの紹介は次回になります!
賑やかしに加えた新キャラが悪さをしました!
まぁ話はいい感じの広がりを見せたからよしとするってことでさ こらえてくれ
言い訳がましい前書きになりましたが、お楽しみいただけましたらありがたいです。
「と、藤和さん、あの、アイテムカード、できたよ」
「ホント!? 見せて見せて!」
三枝君に言われて、私は身を乗り出した。
教室がしん、となる。
あ、しまった。思わず大声が……。
「……えっと、その、後で……」
あぁ、席に戻っちゃった。
あんまり注目浴びるの得意じゃないもんね。ごめん三枝君。
「なになに〜? 茉里、三枝なんかと仲いいの〜?」
代わりに来たのは相楽さん……。
何でこの人、事あるごとに私に絡んでくるんだろう。
勝手に下の名前呼びしてくるし。
「別に……」
「そうだよね〜。卓球部のエースと根暗ぼっちじゃ釣り合わないよね〜」
あなたには関係ないでしょ、というつもりで言ったのに、勝手な解釈をする相楽さん。
「……三枝君は根暗ぼっちなんかじゃないわよ」
「え、なになにかばうの〜? 実は三枝君と付き合ってるとか〜?」
教室がざわっとなる。
「……違うわよ」
骨折して大会に出れなくなった私を、わざわざ自作のゲームで励ましてくれた三枝君。
味のある絵と小ネタで笑わせてくれる三枝君。
感謝してるし嫌いじゃない。
少なくとも相楽さんよりは好きだ。
でも恋愛とか付き合うとかよくわからない。
「ならハッキリ言った方がいいよ〜? あ〜ゆ〜タイプは優しくすると勘違いするから〜」
……わからないけど、三枝君をバカにされるのは、何か許せない!
「いい加減にしてっ!」
再び教室が静まり返る。
「な、なに〜? そ、そんなマジにならなくても……」
「三枝君はそんな人じゃない! 三枝君に謝って!」
「え、えぇ〜? ちょ、マジ……?」
「おーい、何の騒ぎだー? 廊下まで声がしたぞー」
! 先生……!
ここで騒ぎになると、三枝君にもっと嫌な思いさせちゃう……!
「せ、せんせー! あ、あのね、ちょ〜っと恋バナしてたら茉里が急にキレちゃって〜……。わけわかんないよね〜」
「……恋バナね。それならキレなくてもいいだろう」
「違っ……」
「本当に恋バナならな」
「ふぇっ!?」
駆け寄った相楽さんに向けた先生の目が鋭くなる。
「恋バナってのは先生も大好きだ。人をハッピーにする力がある。だが、人の恋をからかったり、面白半分でいじるのは、恋バナじゃない。いじめだ」
「う、あ……」
先生の声は穏やかだけど、すごい説得力。
相楽さんが何も言えなくなってる……。
「このクラスで恋バナをハッピーじゃなくする奴は、先生が勝手に『モテないからひがんでるんだろーな』って認定して、親身に相談に乗るからなー。覚悟しろー」
ふっと軽くなった先生の言葉に、教室のあちこちから小さな笑い声が上がる。
「じゃあホームルーム始めるぞー」
相楽さんや他の人がばたばたと座り、ホームルームが始まった。
「三枝君」
「あ、と、藤和、さん……」
休み時間、私は真っ先に三枝君のところに行った。
「あの、朝はごめんね。私が大きな声を出したせいで嫌な思いさせて……」
「そ、そんな事、ないよ。……むしろ、嬉しかった……」
「よかった……」
恥ずかしそうに笑う三枝君。
私のせいでクラスにいづらくなるのはイヤだったから安心した。
「じゃあできたカードを」
「あ、あの……」
声に振り返ると、相楽さんが立っていた。
……またジャマしに来たのかな……。
「ご、ごめ〜ん! 茉里と話するきっかけつかみたくって、三枝の事バカにするような事言って〜……。ホントごめん!」
相楽さんは、三枝君に向かって思いっきり頭を下げていた。
「い、いいよ相楽さん。僕、気にしてないから……」
三枝君が手を振ってそれを許した。
何これびっくり。
「茉里もごめ〜ん! せんせーに言われて、アタシやな事言ってたな〜って反省した! お願い許して!」
「……三枝君が許してるんだから、私が怒る理由はないわ」
「ありがと〜!」
……なんだ。仲よくなりたかっただけなんだ。
それならそう言ってくれたらいいのに。
「で、二人は何で仲よくなったの?」
「えっと、三枝君……」
「う、うん、いいよ。話してもらって……」
三枝君の許可をもらって、相楽さんに向き直る。
「私が骨折して入院した時、三枝君がボードゲームを作って持ってきてくれたの」
「え、三枝、茉里のお見舞い行ったの!? 一人で!? すっごい! 勇者じゃん!」
……私はどう思われてるのかな。
「私ってそんなに怖い?」
「怖いっていうか〜、キリッとしてて〜、部活命って感じで〜、話しかけにくい!」
「そう……」
「で、でも藤和さん、結構笑うよ」
「ウソォ!」
「前にゲームした時には、最初怒ってるのかなってくらい無口だったけど、最後は思いっきり笑ってくれた」
そう言いながら、三枝君はカードを出す。
「えっ!? 何これ!?」
「ね、ねこ勇者……」
「ウソ! ウケる〜! かわい〜!」
相楽さん、うるさい……。
「え〜、どう遊ぶのコレ〜? オレのターン!とか言うの〜?」
「あ、いや、これはすごろくなんだ……。サイコロを振ってゴールを目指すんだ」
「へ〜! やらしてやらして!」
「う、うん」
あ、新しいカードは……。
まぁいいか。また後で。
「茉里も一緒にやろうよ〜」
「もう時間ない」
「あ、次数学だ〜。やだな〜」
「だからお昼休みに。三枝君、いい?」
「も、勿論!」
約束をして、席に戻る。
うるさい人が増えてしまったけど、三枝君のゲームが評価されるのは嬉しい。
「……?」
嬉しいはずなのに、私は何か引っかかるようなものを感じていた。
読了ありがとうございます。
ちょっと茉里を突っつくだけのはずが、いつの間にか二人の間に潜り込んでくる陽キャの恐怖……。
相楽 美兎……。さすがウザ絡みのアナグラムから生まれた女よ……。
次回こそ新カード出しますので!
……え、カードもいいけど恋愛も?
う、承りました!
よろしくお願いいたします!