新しい世界
第二話、低クオリティなイラスト多数となります。
……今回の話がそうなったのは私の責任だ。
だ が 私 は 謝 ら な い 。
その低クオリティを克服して、必ず最後まで読んでくれると信じているからな。
……すみません。ネタに走りました。
よろしくお願いいたします。
「あ、あの、お邪魔します」
「そこのソファに座って」
退院から一週間。
三枝君からゲームの改良ができたと連絡が来たので、家に呼んだ。
「茉里が男の子の友達を家に呼ぶなんて……! お母さん感激……!」
「バカな事言ってないで、三枝君にお茶出してあげて」
「三枝君、冷たい麦茶と温かい緑茶、どっちがいいかしら?」
「あ、あの、つ、冷たいので……」
「はーい」
まったく、お母さん浮かれすぎ……。
「じゃあ早速改良したってゲーム、見せてくれる?」
「う、うん」
三枝君がカバンからカードを取り出した。
「……これ、何?」
そこには、マントをつけた二本足で立つ猫と、手を引かれるドレスを来た猫が、城から伸びる道を歩いていた。
「ね、ねこ勇者と、ねこ姫……」
……笑っちゃダメだ……。
私がストーリー性をって言ったから頑張ったんだ。
……でも、絵は苦手なんだろうなぁ……。
下手可愛い……。
「……この……、ねこ勇者とねこ姫が旅する感じ?」
「う、うん、ストーリーはこんな感じ」
三枝君がカードをめくった。
「ぶふっ」
……四コマ漫画のように、ねこ王様の頼みで魔王の城に行ったら、扉を開けた勢いで魔王?を倒して、ねこ姫を連れて逃げる……。
何と言えばいいんだろう……。じわじわくる……。
「あ、あの、何か変だった!?」
「う、ううん、ちょっとノリが面白かっただけ……」
「良かった……。僕、絵、苦手だから……」
そういう問題じゃなくて、何というか、センスが独特……。
「……で、ゴールがこれなんだ……」
「う、うん」
ねこ王様がお城のベランダでねこ姫を待っている。
……大丈夫、これくらいなら耐えられる。
「ご、ゴールしたら裏返すとこんな感じ」
「っく、くく、こ、これ、魔王……?」
「う、うん」
ねこ王様とねこ姫の再会の後ろで疲れ切ってるねこ勇者とねこ魔王!
城まで着いて来ちゃってるじゃん!
このシュールな感じ、何かクセになるかも……。
「ぽ、ポイントゲットすごろくみたいに、カードで道を作って、サイコロの目で止まったところをめくるんだ」
黄緑の紙に『ゆうしゃのマス』、水色の紙に『まおうぐんのマス』、ピンクの紙に『ひめのマス ひめといっしょのときだけめくります』と書いてある。
「こ、今回は、ポイントじゃなくて、めくると進んだり戻ったり、一回休みになったり、色々な効果が出るんだ」
「ふーん。って事は、勇者のマスはプラスのマスで、魔王軍はマイナスのマス?」
「う、うん、基本的にそう」
「この姫のマスっていうのは? 姫と一緒の時だけめくるって書いてあるけど」
「えっと、このゲームは、ねこ姫とじゃないとゴールできないんだ」
そう言って三枝君は、チェスのコマを一つ置く。
その横に置いたのは、ガラスのおはじき?
「えっと、一番の人が、このねこ姫のコマを自分のおはじきに乗せて、サイコロの目の分進むんだ」
「うん」
「そ、それで、他の人が追い抜いたら、ねこ姫のコマがその人に移る。そ、それを繰り返して、ゴールした時に姫を乗せていた人の勝ち……。ど、どう?」
……なるほど、その姫のコマを乗せている時だけ、このピンクのカードはめくるのか……。
「あ、あと、サイコロの目が出た後、進むか戻るか決められるから、そこが戦略になるかなって思うんだ」
「そっか。1が出て、先が魔王軍のマスなら、ひとマス戻って勇者のマスを踏むって事もできるのね」
「う、うん。それに、姫のコマを持つ人が戻らされると、前の人は何もできなくなっちゃうから……」
そうか。結構考えているんだなぁ。
本当に好きなんだろう、ボードゲームが。
「後は?」
「そ、それで全部だと思う……」
「分かった、やってみよ」
テーブルの上にカードの道が並ぶ。
「ジャンケンポン! お、私から」
「う、うん、よろしくお願いします」
「何それ、試合みたい」
「あ、そ、そうだね」
軽く笑って、私はサイコロを転がした。
読了ありがとうございます。
次回もプレイの様子をカードのイラストと共にお送りします。
クオリティはお察しいただいた上で、どうかお付き合いください……!