地方大会予選3
なんと、三回戦、四回戦と勝ち進んだ疾風。
遂に決勝である。
みんなが注目する中
「疾風! お前は勝てる!」
「気合い入れなさい! 勝たなかったら承知しないわよ!」
「勝つ。絶対。」
大きな声の応援が聞こえてくる。
中央へ行き
精神統一をする。
目を閉じ
無心になる
目を開けると
相手だけを見る
「始め!」
『ハイッ!』
パァン
いきなり放たれた蹴りを弾く
相手は地方大会常連の前回優勝者である。
回りながら
『エイッ!』
スッ
突きを避ける
『エィッ!エィッ!』
右左と突きが連続で放たれる
後ろへ躱す
『エイッ!』
後回し蹴りが放たれる
スパンッ
「やめ!」
「青 一本!」
「始め!」
くそっ!取られた!
「フッッフッ!!」
攻めるが
スゥッ
後ろに避けられる
『エィッ!』
突きが放たれる
スパッ
「やめ!」
「青 有効!」
「始め!」
連続でポイントを与えてしまった疾風。
ふぅ。落ち着け。よく見るんだ。
『エイッ!』
上段蹴りが放たれる
パンッ
受ける
「フッ!!」
突きを放つが
パンッ
『エィッ!』
逆に突きを返され
「やめ!」
「青 有効!」
「始め!」
ははは。やられっぱなしじゃないか。やっぱり最後までは勝てないのか。
「疾風! お前は勝てる! 信じろ!」
俺の考えを吹き飛ばすように悠人の声が聞こえた。
そうだ。何を弱音を吐いている。
こんな俺を指導してくれたのはあの十蔵さんと十色さんだぞ。この声援を聞けよ。負けてられないだろう。
十色さんの声が蘇る
――――――――――――――――――――――
「私に蹴りを当てたんだ。負けは許されないよ」
――――――――――――――――――――――
俺は。負けない!
『エイッ!』
スッ
相手の攻撃を避ける
気配を感じるんだ。
次に何が来る?
今までの鍛錬を思い出せ。
『エイッ!』
サッ
「フッッセイッ!!」
首筋と胴へ突きを放つ
「やめ!」
「赤 有効!」
「始め!」
次は速攻が来る
弾いて蹴りだ
『エィッ!』
パンッ
「セェィッ!!」
スパァン
上段回し蹴りが決まる
「やめ!」
「赤 一本!」
「始め!」
両者下がって様子を伺う。
攻める!
ダンッ
前蹴りを放つ
スッ
避けられるが
「セイッ!」
突きを放つ
パンッ
受けられてしまう
再度距離をとる
『エィッ!』
上段蹴りを狙ってきた
「セェイ!」
首筋に突きを放つ
スパァン スパァン
両方相打ちになるが
相手がバランスを崩して転ぶ
ダンッ
ジャンプして
倒れた相手に向け首に突きを放つ
「セイヤァ!!」
スパァン
「やめ!」
ポイントで勝ってはいないが、時間のようだ。
「判定!」
バッ!!
旗が挙げられる




