リアルで稽古2
「ハッ!!」
ビシッ
疾風が懸命に受けに徹している。
「演舞にも一つ一つ意味があるのは知っておるじゃろうが、受けの時は実際に受けれるくらいしっかり構えんとダメじゃ。腰を落とししっかり受け止めるよう意識するのじゃ」
話しながら突き、蹴りなど技を出してくる。
必死に受ける疾風。
「くっ!」
膝を着いてしまう。
「一旦、休憩にするかの」
はぁはぁ……はぁ……はぁ
汗を流しながら息絶え絶えになる疾風。
「この鍛錬はキツイんだわ。休む暇がないからな。よく耐えた方だわ。ただ、まだまだこんなもんじゃないからな」
「はい!」
返事はするが汗が止まらない。
「汗が冷える前に、今度は基礎の突き、蹴り、受けとかを鍛錬するから立ちな」
立って構える疾風。
十色が掛け声をかける
「いち!にー!さん!しー!・・・・」
基礎をみっちりと叩き込まれる。
「もう少し腰を低く! そして背筋は伸ばす!」
「押忍!」
「いち!にー!さん!しー!・・・・」
――――――
――――
――
「やめ!」
「ふーーーっ」
「よく最後までねをあげなかったのぉ」
「そうね。そこは評価出来るところだわ」
十蔵と十色が評価をする
「ありがとうございました!」
礼をする疾風。
「では、また明日にしようかの」
「お送り致します」
執事さんが案内してくれる。
「すみません。お願いします」
車に揺られ数十分後、到着する
「それでは、また明日お迎えにあがります」
当たりは薄暗くなっている
「ありがとうございました。また、明日も宜しくお願いします」
帰っていく執事を見送り
家に入る
ガチャ
「ただいまぁ」
「「おかえりー!」」
「疾風疲れただろう? 飯にするか?」
父に聞かれた疾風は
「ありがとう。その前にシャワーにするよ」
「シャワーから上がったらご飯用意しておくわね」
母が疾風に声をかける。
「ありがとう」
シャワーに行く疾風。
二人きりになった父と母は
「なんか最近凄いやる気で、色々吹っ切れて空手に打ち込んでいるみたいで良かったな」
「そうねぇ。ちょっと前までは抱え込んでる感じで元気なかったもの。稽古してもらってる方にお礼に伺わないとねぇ」
両親がそんなことを話し、夜が深けていく。
疲れて帰ってきた疾風は晴れやかな顔をしていて、子供は成長するのが早い。そう思う両親であった。




