初めてのVR
「うわっ!すごい……現実みたいだぁ」
これが、フルダイブ型のVRかぁ。異世界に来たみたいだなぁ。
あっ。噴水があるなぁ。
「あっっと、すみません」
あ然として周りを見ていたから、歩いていた人にぶつかりそうになっちゃったよ。
「噴水の前って言ってたよなぁ」
いろんなプレイヤーが噴水の前で待ち合わせをしているなぁ。悠人はどこかなぁ。
「おーぃ!! こっちこっち!!」
なんか呼ばれてるなぁ。あれが悠人か?
駆け寄ると他にも女性プレイヤーが2人いた。
「え~と、悠人で合ってる?」
「合ってる! こっちではガントだけどな! リアルネームを呼ぶのは一応マナー違反だから、こっちはガントって呼んでくれ!」
ガントを見ると赤い髪で赤い目、騎士っぽい格好で、盾と剣を持っている。ガントは騎士にしたんだなぁ。意外だったなぁ。
ガントはさて置き、女性プレイヤーに視線を向ける。どっかで会ったことあるような……。
「なぁ、ガント。この人達は知り合いか?」
「ちょっと! 私達がわかんない訳? そりゃ少しは顔変えてるけどわかるでしょー!」
この態度を見る限り……。
「あっ、もしかして朝陽?」
「ようやくわかったの? 遅いのよ!」
金髪のボブで、目も黄色になっている。白い神官服のようなものを着ている。
不機嫌丸出しで腕を組みながらプンプンしている。
神官様がそんなに不機嫌そうにしてていいもんなのかねぇ。声に出したら絶対怒りを買いそうなことを思っていると
「ワタシも。一緒。」
「おう。結陽も一緒か。」
「こっちでは。イブ。そうよんで。」
視線を向けると、暗い紫の色の髪でローブを着て杖を持っていた。
あっ、そっか。プレイヤーネームあるんだもんなぁ。ふと、朝陽の頭上も見ると
「朝陽は、モー二って名前にしたんだな。」
「ちょっと安易な気はするけど、面倒臭いし、イブと一緒に決めたのよ。……そういうアンタもフーマって……読み方変えただけじゃない!」
ふーん。名前なんて結構みんな安易なの付けてんだなぁ。
「まっ、揃ったことだし……狩りにでも行くか!! あっ、その前にフレンド登録しておこうぜ!」
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ガントからフレンド申請が来ています。
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承諾をポチッと
「よし! 気を取り直してひと狩りいこうぜ!」
「ちょっとー、フーマは今始めたばっかりなんだから、回復薬買っておいた方がいいんじゃないの?」
「ヴッ。そうだな! 回復薬買ってから行くか!」
道具屋に向かって歩いている途中、疑問が湧いた。
俺だけ初期装備なんだけど、どうしたらいいのかなぁ。これは。
「俺は、装備このままでいいの?」
「あぁ、まだこのファステナ周辺なら初期装備のままの方が良いんだよ! 攻撃力はイマイチだけど、壊れたりしないからな!」
なるほど。初期装備は耐久値が減らないのか。知らないことも沢山あるけど、街並みも綺麗だし楽しいなぁ。
これは、いい気分転換になるかもなぁ。
こうしてフーマ達の戦闘記が紡がれていく。