夏のイベント1
イベント開始の日の日曜8時50分。ファステアでは大量の人で溢れていた。
「ふぉっ。ふぉっ。ふぉっ。活気があっていいのぉ」
「楽しみだわ!思う存分暴れるからね!」
北門の前には武十館のメンバーで集まっていた。
「緊張するな!師匠達の闘いも見れるし楽しみだ!」
「そうだなぁ。前のトクラさんの闘いを見る限り、かなりの無双状態になりそうだけどなぁ。」
楽しそうだガントに遠い目をして同意するフーマ。前の様に闘われては自分達がポイントを稼げないのではないかと、心配になっている。
ダメだ。弱気になるな!トクラさん達を超えるように頑張るんだ!
心を奮い立たせるフーマ。
「トクラさんもだけど、テンカさんもヤバイと思うわよ……。」
「あれは。やばい。恐い。」
モー二とイブも遠い目をしながら呟く。お忘れかもしれないが、モーニとイブもゲーム内ではテンカに指導を受けていたのだ。あの戦闘狂に扱かれたであろう事は想像に固くない。
「武十館として、出るんだ。負けないように頑張ろう」
「おう。」
「そうね。」
「うん。」
ガント、モー二、イブが同意する。
そろそろ、モンスターの大侵攻が始まる。
『ドドドドドドドドドドドドドドドド』
地平線を埋め尽くすようにモンスターが迫ってくる。黒い影が迫ってくるように見え、まだ前方のモンスターでさえ、なんのモンスターか分からない。しかし、凄い数と言うのだけは、一目瞭然だった。
「ハハハッ!すげぇ数だなこれ!防衛出来んのか!?」
ガントが呆れたように言うと
「プレイヤーもこれどけ居るんだ。負けないさ」
プレイヤーも門の前方を埋め尽くすくらい待機している。
『ウォォォォォォォォォン』
前方に迫ってきたのは、ウルフ系モンスターのようだ。
「そろそろ魔法の射程に入るから、デカいの行くぞ!」
叫ぶガントにモー二、イブが続く。
「私もいくわ!」
「私も。負けない。」
モンスターが射程に入る
「メテオ!!」
「ホーリーレイ!!」
「ダークレイ!!」
火を纏った隕石が飛来する
光の塊が横凪に走る
闇のエネルギーが着弾して膨れる
他のプレイヤーも魔法を放つ
カッッ!!
『ズガァァァァァァァーーーーーーーン』
前方にいたモンスターからドンドンと光の粒子に変わっていく。
「っしゃぁ!! 行くぞぉ!!」
ガントが駆け出して行く。
それにフーマもモー二とイブも続く。
こうして、イベントの火蓋が切って落とされた。
凄まじい爆風がプレイヤーを襲う。




