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空手青年戦闘記~負け続けていた青年が師匠を得て最強へと成り上がる~  作者: ゆるや


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十蔵の指導 現実編2

「それでは、はじめ!!」


「シッ!!」


十色が首筋に中段突きを放つ。


バシッ


弾く疾風


シュッ


疾風が軽く中段突きを放つ。


サッ


横にずらして躱される。


「ハッ!!」


上段蹴りを放つ十色


バキッ!


ガードしている腕がすごい音をしている。


「フッフッッ!!」


ワンツーを放つが後ろに下がって躱す。


十色が、追い打ちをかける。


「エイヤァ!!」


右の回し蹴りを放つ十色


また下がって躱す疾風


前蹴りを喉元に放つ十色


左で受け流す疾風


「おい!攻めてこないのか!?」


攻めない疾風にイライラする十色


「やめっ!!」


「十色は試合中なのにイライラするでない。冷静さを保つのが大事じゃといつも言っておるじゃろうに。」


「俺が攻めきれないばかりに、すみません。まだまだ未熟なんです……。」


「十色よ。少し二人にさせてくれんか?」


「はい。」


去っていく十色。


二人だけになる。


シーーーーーーン


空気が重くなる中十蔵が切り出した。


「ゲームではあんなに攻めれるのにのぉ。なぜ現実になるだけでそうも変わってしまうんじゃ? 何か理由があるんじゃろう? 高校になってから勝てないと言っておったのぉ。それ以前に何があったんじゃ?」


シーーーーーーン


沈黙の後に、ポツリポツリと話始めた。


「実は、中学までは地区大会では負け無しで関東大会までは常連組でした」


「それは、中々凄いのぉ。全国まではあと一歩といったところかのぉ?」


「はい。それもあってかなり無茶な練習をしたり、門下生と組手に明け暮れていました。そんなある時でした、ガント……あっ、こっちでは悠人ですけど、悠人は俺のライバルでした」


下を向きながら震える疾風。


「組手でお互いが熱くなり、ボコボコ体に突きや蹴りが当たっていました。その時、一瞬悠人がバランスを崩しました」


遂には涙を流し始めた。


「そこで、試合でもないのに思い切り踏み込んで急所である首に……回し蹴りを………………放ちました」


「結果、悠人は意識不明の重体で運ばれ半年間生死をさ迷いました。おれは酷い後悔に襲われ、空手を辞めようとしていました……そんな時、悠人が目を覚ましました」


「それは、本当に良かったのぉ」


「はい。その時、悠人に必死で謝りました。許されないと。そう思っていました。全ては調子に乗っていた俺が招いたものであると」


「それを伝えると悠人は激怒しました。必死におれが、悪かった。申し訳なかったって、謝ったんです」


「そしたら、違う!お前が何したっていうんだ!真剣に空手に励んでいて起きた事故だ!誰も悪くない!しいて言うなら、弱い俺が悪い!」


ポタッ…………ポタッ……


「そういうんです。…………空手もお前は辞めちゃいけない!これからを担うのはお前だ!」


「そう言われ、とりあえず続けることにしました。懺悔の思いもあったと思います。あいつは空手をまだ続けていますが、まだ、思う様に体が動かせません」


「そうじゃったのか。ゲームでは微塵も感じさせなかったのぉ」


「現実でもあいつはその事を何とも思ってないように振る舞うんです。空手も在籍はしていますが、大会などは出れません」


「ちなみに、ゲーム内でモー二とイブと会っていると思いますが、あいつらは高校に入ってからの友達なので、俺と悠人の事情は話してません」


「そうじゃったか。話してくれてありがとうのぉ。事情はわかったわい」


「いえ、俺も誰にも話せなかったので、話せて良かったです」


涙を拭いながら話す疾風に


「一つ、ワシからも言っておくのじゃ」


『疾風は悪くない』


「空手でも、なんの競技でも相手と闘う競技では、滅多にないが、死亡することもあるのじゃ。それで気に病んで引退してしまう選手もいる事じゃろう。そんな人が何を励まされても聞く耳を持たんじゃろう」


一旦話を区切ると


「実はのぉ、事情は悠人君から聞いておった」


「では、何故改めて話を聞いたんですか?」


「悠人君が思っている感情と疾風君が思っている感情と両方知って起きたかってのじゃ」


「何故です?」


「疾風君が勝てない今の状況を一番気に病んでいるのは誰じゃと思う?」


「一番気に病んでるのはおれです」


「一番気に病んでいるのは悠人君じゃ」


腕を組んで真剣な表情になる十蔵


「よーく考えるんじゃ。将来有望であった、疾風君が急に勝てなくなった。原因は自分が集中力を切らせたことによる怪我。周りからさぞ色々言われたのではないかのぉ。」


「そんなこと、あいつは一言も……」


「言えないじゃろう。余計にお主が気に病むのを分かっておるのじゃから。じゃから、疾風君が空手でまた勝てるように、悠人君のおった怪我のことはもう忘れるように。疾風君を励まし続けているのかもしれぬのぉ。」


また涙を流しながら話を聞いていた疾風が決意を新たに十蔵へ言った


「俺は強くなりたい。どうしたら強くなれますか?」


「ふむ。まずは、自分を許すこと。それからじゃのぉ。」


疾風の過去を聞き、強くなるように指針を示す十蔵。疾風は自分を許し強くなることができるのか。

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