事情聴取
「まぁ、適当に座ってくれるかのぉ。」
和室の座敷にトクラの前に4人が緊張気味に並んで座る。
「ふぉっふぉっ。 まぁ、固くならずにゆるりとしなさい」
「すみません! お気遣いありがとうございます!」
「それで、MPKされそうになっておった時は、どんな状況だったんじゃ?」
「それが、夢中で4人でレベル上げしてて、ドンドン奥に進んでいってたと思います。気付いたら、周りにモンスターが居なくなっていて。大群に巻き込まれたって感じです」
「そうだったんじゃなぁ。改めて、無事で何よりじゃ。良く耐えたのぉ。状況を見るに、狙われておったようじゃのう。フーマが初心者装備だったから、獲物にされたのかものぉ。」
「ってことは、おれのせいで……」
「そう悲観するでない。お主が悪い訳ではなかろう。悪いのはあのMPKerじゃ」
「そうだぞ! 誰もフーマのせいだなんて思ってねぇよ!」
「そうよ! またゲームでも辛気臭い顔してんじゃないわよ!」
「フーマは。悪くない。」
3人とも……ありがたいな。
「いい仲間を持っておるのぉ。羨ましいわい。」
「じいさんには、私がいるじゃないかい」
奥からお茶を持ってきたテンカがやってきた。
「テンカは仲間ではない。家族じゃからのぉ。ちと違うではないか」
「なんだい? 寂しいねぇ。」
「ゲーム内では同じクランメンバーじゃから、仲間でも間違いではないけどのぉ」
白い髭を撫でながらトクラが呟いた。
「MPKerの話は、もういいじゃないのさ。それより、フーマって言ったかい?」
「あっ、はい!」
「そんなに固くならなくてもいいじゃないのさ。別に取って食ったりしないよ」
ハッハッハと笑いながら肩を叩いてくる。
「あんた、見たところ武術士のようだけど、リアルでも何かやっているのかい?」
「はい。空手を小学校1年の時からやっています」
「おっと、すまないね。リアルの詮索はマナー違反だったね」
「あっ、いえ、大丈夫です」
「歩き方を見て、もしかしてと思ってね。あんた。裏の道場でうちと手合わせしてみないかい?」
「テンカさんとですか?」
困惑していると
「なんだい? 女子供は殴れないとか言うんじゃないだろうねぇ」
「相手によりますよ。テンカさんには手加減とかできなそうです」
「当たり前さね、手加減なんてしたらデスペナ食らわすよ! さっ、こっちに来な!」
テンカを先頭にフーマ、トクラ、ガント達と続いて道場へ歩いていく。




