お爺さんの招待
書き溜めていた最初の投稿はこれで最後です。
今後は不定期で投稿して行きます。
「いやぁ!! ホントに助かりました!!」
ガントが頭を下げる。続いてフーマもモー二もイブも頭を下げる。
「「「ありがとうございました!」」」
「いやぁ。危なかったのぉ。……最近あの辺で悪質なMPKerが現れててのぉ。わしのクランでも犠牲者が出たもので、悪質プレイヤーを探しておったんじゃよ」
「そうだったんですね。俺も見ましたけど、フードを深く被っていて顔も見えませんでした。けど、レッドネームでした。一瞬だったので、名前までは覚えていません。……お力になれず、すみません」
「よいよ。あんな状況じゃったんじゃ。一瞬の出来事を覚えておくのは無理じゃろうて。それより、どんな状況で遭遇したのか、クランハウスでゆっくり聞かせてくれんかね?」
「はい。もちろんいいです。お爺さんはクランに所属してるんですね」
「そうじゃ。最近はちと落ち着かんがの。周りが騒がしくてのぉ」
「えっ!? ちょっと!? お爺さん! 名前!」
「ちょっと、失礼よ! お爺さんの名前が何したのよ。」
狼狽えるガントをモー二が宥めている。
お爺さんの名前? 頭の上を見ると緑色で
【トクラ】
とある。ん? なんか最近見たような名前だなぁ。どこで見たんだっけ?
「あっ!! ランキング!!」
フーマが気付いて声を上げた。
「そうだよ! 1位のトクラさんだ!」
ガントが声を上げて言った。
「なるほど。妙に納得したわ」
モー二が感心したように呟いた。
「だから。強い」
イブも続いて感嘆の声を上げる。
「ふぉっふぉっふぉっ。ちと他のものより闘いが得意なだけじゃよ。そこの、フーマと言ったか?」
「はいっ!!」
「おぬし、なかなか見所があるのぉ。芯がしっかりしておるわい。相当鍛錬を積んでおるな。」
「とんでもないです。おれなんて、去年から一度も勝ててない」
「ふむ。思い悩んでおるようじゃのぉ。ま、ちと話しをしようではないか。街に戻るぞい」
トクラを先頭に街へ戻る。
めっちゃ見られてんだけど。そりゃそうか。一位の人と居たら注目されるよね。
街の中へはいると、トクラが声を掛ける。
「それじゃぁ、行こうかの。招待するでの、承認するんじゃよ? そしたらクランハウスに行けるからのぉ。」
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プレイヤーのトクラより、クランハウスへの招待が来ています。
承認する/拒否する
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承認をおす。
するとみんなが光の粒子になって行き、視界が暗転する。
目を開くととても大きな日本家屋が広がっていた。
うわぁ。凄い綺麗な家だなぁ。
見惚れていると
「自慢の家じゃ。中に行って話をしようかのぉ。」
中へ入って行くと
「じぃさん、誰を連れてきたんだ?」
そこには、赤い短髪の着物を着崩した女性がいた。
「あぁ、テンカ、おったのか。ちと件のMPKerを探している時に被害者を見つけてのぉ。助けたんじゃが色々話を聞こうと思って、連れてきたんじゃ。見所のあるがいたもので、興味が湧いたのじゃ。」
「ほぅ。じいさんが気に入ったものか。珍しいな。」
綺麗な人だなぁ。
見惚れていると後ろから小声で小突かれた。
「ちょっと、何見惚れてるのよ!」
「えっ!? いや、綺麗な人だと思って……。」
「ハッハッハッ。正直ものだな君は!」
「ふぉっふぉっ。若いのぉ。まぁ、中に入りなさい。」
中に案内され、ついて行くのであった。




