初のVRMMOを体験してみて
「ようこそ! セカンテアへ!」
門番に迎えられながら、門を潜って街へ入っていく。
『カンッカンッカンッ』
鍛治をしている音が聞こえる。
ここセカンテアでは武器や防具を作成する施設が充実しており、大部分のプレイヤーはここで装備を整える。
生産職プレイヤーもここを拠点にしていることが多いのであった。
「じゃあ、ここで装備でも作ってもらうか! 俺もこの街で作ってもらったんだ!」
「ちょっと! そろそろ夜だし、私達はログアウトするわよ! 装備はまた明日にしましょう?」
モー二がガントに詰め寄るように言うと
「たっ、確かにもういい時間だな。また明日にしよう! フーマ、ごめんな! 初日なのにとばしすぎたわ!」
「こっちこそ、楽しかったから夢中になっちゃってたよ。モー二の言う通りだし、今日の所はログアウトしよう。」
「んっ。眠い。また明日。」
イブが先にログアウトしていった。
「あっ、待ってよ! フーマ、また明日ね!」
「あぁ、今日はありがとな!」
モー二もログアウトする。
「じゃあ、俺らもログアウトするか! また明日なフーマ!」
「おう! ホントにありがとな!」
2人で同時にログアウトする。
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浮遊する感覚の後に目が覚める。
ヘッドギアを外すと周りは真っ暗になっていた。
「ふぅ。体が固まってるなぁ。」
ストレッチしながら体をほぐすと、ベッドの上でさっきまでのゲームを思い起こす。
あれは凄かったなぁ。異世界に行ったみたいでゲームって感じも全然しないし、体の動きを違和感なかったもんなぁ。
これは、ハマりそうだな。
気持ちを高揚させながら、リビングに行くと母さんが料理を作っていた。
「あぁ。母さん、帰ってきてたんだね。ごめん。何もしてなくて」
「いいのよぉ。いつもしてもらってるしぃ。この前話してたゲームをしてたのぉ?」
「そっ。悠人とやってた」
「悠人君には感謝しないとねぇ。空手以外の事するなんて今まで無かったからぁ。ありがたいわぁ」
たわいない会話をしながら料理を運び、料理を口に進める。
いつもより美味しく感じる疾風であった。
風呂を済ませ、自分の部屋に戻りベッドに横になりながら今日のことを考える。
「想像以上にゲームって凄いんだなぁ。まだまだ、夏休みだし、その間は楽しむかな」
最近は感じられなかった充実感を胸に抱きながらゆっくり眠るのであった。
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