第六巻【最終巻】
プロローグ
この世界に来てからもう半年以上経つ。
この世界は毎日がとても楽しかった。
ラノベみたいなことは何一つ起きなかったけれど。
本当に、来てよかった。
心からそう思える。
俺らの大いなる戦いは、もうすぐ終わる。
第一章 ツイン将軍が倒れる
1
我々はマウケコ要塞の勝利で士気が上がり、ヴィシュ城に向かって進軍していた。
「諸君、悪路により王都からの兵糧運搬が難しくなってきたが、何かいい手はないか?」
「それなら、この木牛流馬というのはどうかな。」
「もくぎゅうりゅうば?」
「ああ、俺が読んだ『三国志』という書物に載っていたんだけど・・・・。」
軍議にて俺がみんなに木牛流馬の説明をしていると、急にツイン将軍がせき込んだ。
「将軍、大丈夫ですか?」
俺がそう言い、ツイン将軍のほうを向くと・・・・。
「し、将軍!」
ツイン将軍は血を吐き、意識を失っていた。
「すぐに医者を!」
ここで全軍を事実上統率しているツイン将軍が倒れては、この先魔王討伐なんてできなくなってしまう。
「フレイウス、国王陛下にこのことをご報告しろ。」
「わ、分かった。」
2
「先生、どうですか?」
「重度の肺結核です。」
「肺結核!?」
「ええ、なんとか意識は戻りましたが、残念ですがもう戦場で指揮を執れる身体ではありません。王都へ帰って養生するべきです。」
「そうですか・・・・。」
「スイタ君と二人にしてくれ。話したいことがある。」
ツイン将軍がそういうと、医者は部屋を出て行った。
「ふふ・・・・ヒトシくん、君も分かっているだろうが、私は本名をモリクチスバルという君と同じ日本の人間だ。」
「ええ、きっとあなたは、僕の学校の先輩です。」
「そうなのか・・・・。そうか、君も私と同じ運命でここに来たのか。それにしても不思議だ。私は戻ったら絶対にあのチューバに触れてはならないとルールを作ろうと思っていたんだが・・・・。」
すいません、そのルールを破ったんです。
・・・・ん?戻ったら?
つまり、俺のいた日本ではそのルールは存在するから・・・・。
ん?これってつまりどういうことだ?
「それでだ、私は志半ばで王都へ帰らねばならない。君には私に代わって全軍の指揮を執ってほしいんだ。」
「え!?僕がですか!?」
「君しかいない。頼む、どうか引き受けてくれ。」
「・・・・わ、分かりました。」
「そうか、引き受けてくれるか。良かった。」
「ええ、全知全能を使って魔王軍と戦います。」
俺がそう答えると、ツイン将軍は、少し黙って、そして言った。
「・・・・日本にいれば、こんな病気、直せるのにな。」
不意に、ツイン将軍の口からそんな言葉が出た。
そして、ツイン将軍の眼から涙がこぼれた。
3
そして、次の日、ツイン将軍は王都へ帰っていった。
そして、俺は正式に軍の総帥となり、スイタ将軍となった。
「全軍、ヴィシュ城へ向かって進軍開始ィ!」
そして、我々は、次なる目的へ向かって進み始めた。
「ルート様!敵の総帥、ツイン将軍は病気により王都へ帰りました!」
「代わって指揮を執るのは誰だ?」
「スイタヒトシです。」
「そうか・・・・。魔王城に伝令を飛ばし魔王様にもこのことをご報告しろ。」
「はっ。」
「ルート殿!今がチャンスだ!今攻めれば我々の勝ちは間違いない!」
「ダメだ、メジャー殿。スイタヒトシならすでに対策を考えてあるはずだ!」
「そんなことではいつまでたっても勝てんぞ!私は手勢を引き連れて行く!」
「スイタ将軍!敵が見えます!魔王軍七幹部の一人、メジャーの率いる隊です。その数、約二万!」
「ふっ、攻めてきたか。目にものを見せてくれる!全軍、作戦通りに動け!」
俺の号令で、全軍が動き出した。
マジか・・・・。
何処にでもいる横山三国志全巻読破した中学生は、異世界転生したら魔王討伐軍の総帥になれちゃうのか・・・・。
「よし、構え!」
「スイタヒトシ!お前の首はこの魔王軍七幹部の一人、メジャーがもらった!」
「放て!」
俺の合図で、一斉に攻撃が浴びせられた。
猛スピードで突進していた魔王軍は急に止まることができず、俺らの攻撃の餌食になっていた。
「撃て撃て撃て!皆殺しだあ!」
三十万の大軍が一斉に攻撃を放ったのだ。魔王軍は一人残らず討ち死にした。
「みんな!魔王軍七幹部の一人、メジャーを討ち取ったぞ!」
「おおー!」
我々は連戦連勝であった。
その昔、第一次魔王大戦で苦しめられたというのが嘘のようだ。
「なあフレイウス、おかしいと思わないか?魔王軍が弱すぎる。」
「ハッ、魔王軍なんて所詮そんなもんさ。昔の大戦で人間が苦しめられたのは、魔王軍ができたてだったからさ。ほら、最初めちゃくちゃ賑やかでも最後には無言になるLINEグループと同じだ。」
「・・・・本当にそうかな。」
俺の嫌な予感は的中した。
ヴィシュ城で我々は大敗することを、この時はまだ誰も知らなかった。
第二章 ヴィシュ城の戦い
1
我々はいろいろありながらもヴィシュ城に着いた。
我々は敵の立て籠もるヴィシュ城の前に陣を張り、臨戦態勢を整えていた。
この城は、かつて魔王城ができる前に魔王が住んでいた城らしい。
確かに、魔王が住んでただけあってとても固い城だ。
だが・・・・。
「スイタ将軍、ヴィシュ城には三十五万の大軍が立て籠もっているようです!」
「そうか・・・・。分かった。」
「ヒトシ、城攻略の作戦は立ったか?」
「ああ、あの城には致命的な弱点がある。」
「え?」
「皆さん、ヴィシュ城攻略には水攻めがいいかと。」
「水攻め?」
俺はさっそく軍議を開き、反乱同盟軍のお偉いさんを集めて言った。
「このあたりの地形を見ると、ヴィシュ城は比較的低い場所に立っている。つまり、水を引き入れればこの辺りは湖になる。そしたらヴィシュ城は水浸し。戦うどころではなくなる。」
「なるほど。」
「東五百メートル先にクレイトロル川という大きめの川があるから、鋤鍬部隊を作ってそこから水を引き入れよう。」
「よし、作戦開始だ。」
鋤鍬部隊が作られ、川から城へ向けてどんどん水が流れて行った。
2
「そうか、メジャーが死んだか。あの愚か者め。私の命令を聞かないからこういうことになるのだ。皆も気を付けるように。」
「ルート様、敵は鋤鍬部隊を作り、クレイトロル川に向かったようです!」
「ほう、我々を水攻めにする気か。フフフ・・・・愚かな。無人の城を水浸しにしようというのだからな。」
「ですね。それにしてもこんなにうまくいくとは。」
「ああ、最初三十五万の大軍を見せ、敵に我々は籠城していると見せかけた。しかし、あの後我々は、敵が寝静まったころに密かに城を脱出し、本陣の背後に回ったのだ。水攻めが終わり、敵が一番油断している時を狙って背後から叩く。準備しておけ。」
「はっ!」
二日後。
「フレイウス、水攻めの様子はどうだ?」
「ああ、二日休まず作業し続けた。もうすぐだぞ。」
「スイタ将軍!フレイウス軍曹!水が城に流れ込みました!」
「ほんとか!?やった!lこれで我々の勝ちは決まったようなもんだ!」
俺たちが勝利を確信して喜んでいると、後ろが何やら騒がしい。
「スイタ将軍!敵襲です!」
「な、なんだと!?」
全く予想していなかった。
敵を水に沈めたと思った瞬間、後ろから攻撃されたのだ。
「応戦だ!応戦しろ!」
「ダメです!混乱していてとても戦える状況ではありません!」
「クソッ!なんたることだ!」
完全に誤算だった。
敵は城の中にいるものだと思っていた。
「全員、退却!」
算を乱した我が軍は、魔王軍の餌食になっていた。
「退却だ!引け!」
我々はなんとか逃げ延びたが、この敗戦で多大なる犠牲を払ってしまった。
そして、悪夢は終わっていなかった。
むしろ、ここからが本番であった。
3
あの敗戦から二日。
我々は後ろから攻められたため、前に退却し、ヴィシュ城と魔王城の間にあるフォルセ山という場所に陣を張っていた。
ここは天然の要害とも言えるくらいの素晴らしい地形で、とりあえずはここで群を立て直そうと思う。
「スイタ将軍!国王陛下がお呼びです!」
「国王陛下が!?」
まずい。
超まずい。
これってあれだ。
敗戦の責任を取らされるやつだ。
打ち首とか、将軍職の剥奪とかになっちゃうあれだ。
「陛下、スイタです。入ります。」
「うむ。今回の敗戦で、我々はかなり痛手を被った。」
「はっ。」
やべえ。
「その責任を取ってもらおう。」
やべえやべえやべえ!
「君の将軍職を剥奪し・・・・。」
えええ!?
「将軍の職はツインが元気になるまで廃止し、代わりに今回新設した階級・征魔王大都督の称号を授ける。」
え?
征魔王大都督?
「そして、征魔王大都督として、今まで通り軍を総括することを命じる。」
「は、はっ。」
それって階級がちょっと変わっただけで、なにも変わってないじゃないか。
「さあ、スイタ大都督。戻って軍を指揮してくれ。」
「はっ。」
「ヒトシ、どうだった?」
「いや、それがね、将軍から征魔王大都督に階級が変わっただけなんだよ。」
「そうか。」
「どういうことだろう。」
「さあ?提督に聞いてみれば?」
「アミラル提督!」
「ヒトシ君、なんだね?」
「いや、実はこうこうこういうことがありまして・・・・。」
俺はアミラル提督に事の次第を説明した。
そして提督は俺の話を聞き終わると、口を開いた。
「それはおそらく、陛下のお心遣いだ。」
「お心遣い?」
「ああ、敗戦の責任を取らせないと軍法が意味をなさなくなるし、でもヒトシ君には今まで通りやってもらいたい。だから形だけ責任を取らせたんだよ。」
「なるほど・・・・。」
「お前は陛下にも期待されてるんだ!頑張れ!」
「はい!」
こうして、スイタヒトシ征魔王大都督は、気持ちを新たに、対魔王軍の作戦を考え始めた。
第三章 思わぬ援軍
1
我々は変わらずフォルセ山に陣を張っており、ルートの軍はちょっと離れたところに陣を張っていた。
「今一番怖いのは、挟み撃ちにあうことだ。」
「挟み撃ち?」
「ああ。まだヴィシュ城方面にはルートの軍がいる。そして反対側には魔王城がある。つまり、ルートの軍と魔王城からの軍で挟み撃ちにあう可能性がある。それだけは避けなければならない。」
「では、どうする?」
「ルートの軍を今のうちに叩く。作戦はこうだ。」
そして、軍は動き出した。
敗戦後とあって、みんな気が引き締まっている。
「全軍、作戦通りに動け!こないだの敗戦の敵をとるぞ!」
「スイタ大都督。全軍位置に着きました。」
「よし、作戦開始ィ!」
「ルート様!敵が動き始めました!」
「慌てるな!敵はわずかだ。総攻撃だ!」
「スイタ大都督!敵が出てきました!その数約三十五万!全軍です!」
「よし!」
「総攻撃開始ィ!今こそ奴らを完膚なきまでに叩きのめせ!」
「ルート様、敵の数が少なすぎる気がするのですが・・・・。」
「こないだの戦いで討たれたのだろう。さあ、進め!」
「ふふ・・・・馬鹿みたいに突っ込んできやがる。さあ、構えろ!」
「ヒトシ、今だ!」
「放て!」
俺が合図した瞬間、堀に身を隠していた兵士が姿を現し、攻撃を開始した。
メジャーとの戦いのように、猛スピードで進んできていた魔王軍は、急に止まれず、我々の餌食になっていた。
そして、さらに左右から伏兵が現れ、三方から魔王軍を攻撃した。
「ルート様、味方の被害は甚大です!」
「まずい、引け!退却だ!」
「追え!逃がすな!」
「あっ、ヒトシ、あれを見ろ!」
「どうした!?」
「新手です!それもドラゴンです!しかもドラゴンのなかでも最強と言われるダンシングドラゴンです!」
「なんだと!?敵はダンシングドラゴンを手なずけたのか!?」
「ダンシングドラゴンが我々に加勢してくれている!」
「ヒトシ、あれは!?」
「俺がさくらんぼで手なずけたんだ。まさかこんなところまできて加勢してくれるとは・・・・。」
この計は大成功であった。
ダンシングドラゴンの加勢もあり、敵将ルートはあっけなく討ち死に。残りの兵は魔王城へと逃げて行ったが、それもわずかな人数であった。
「勝ったぞ!」
「次は魔王城だ!」
ついにここまで来てしまった。
そう、次は魔王城である。
第四章 最終決戦~そして俺たちは永遠になる~
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後ろの憂いを取り除いた我々は、敵の最後にして最強の砦・魔王城に攻撃を仕掛けていた。
しかし、魔王城に張られている結界がどうしても解けない。
ただいたずらに月日が過ぎていくだけであった。
「どうしたものかな・・・・。」
俺は魔王城を見ながら言った。
「やはり地道に攻撃を続けるしかないんじゃないか?」
その時だった。
重大な報告が舞い込んできた。
「スイタ大都督!大変です!魔王軍七幹部の一人、コード率いる一隊が、空き家同然となっている王都へ向かったということです!」
「なんだと!?」
「すぐに諸将を集めてくれ!」
「分かった。」
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「一大事が起こった。魔王軍七幹部の一人、コード率いる一隊が王都へ向かったらしい。」
「なんだって!?」
「今王都へ攻め込まれれば、防ぎようがないぞ!」
「そうだ。そこで我々は急いで勝負をつけなければならない。国王陛下自ら指揮を執っていただき、コードの隊を王都へ着く前に滅ぼす必要がある。」
「国王陛下自らだと!?」
「ああ、兵を急がせるにはこれが最善策だ。」
「そしたら魔王城攻略はどうするんだ?」
「このままではいつまでたっても勝てない。そこで作戦を変える。俺率いる小隊で魔王城に潜入し、シールドを切り、城門を開けて、外に待機していた兵を導き入れる。」
「小隊で魔王城に潜入するだと!?そんな無茶な!」
「これは賭けだ。しかしこれ以外の方法はない。」
「・・・・分かった。ちなみにその小隊のメンバーは?」
「俺とフレイウス、あとマレーズとアーブル。この四人だ。そしてアミラル提督とコールには外で待機する軍を指揮してほしい。」
「分かった。」
「ここに残す兵は?」
「ここには五万残してくれ。あとの三十万はコード退治へ向かってくれ。コードはおそらくここに陣を張るから、こう攻めてくれ。そうすれば勝てるはずだ。」
「分かった。」
「陛下、よろしいでしょうか?」
「うむ、分かった。スイタ大都督、健闘を祈るぞ。」
「はっ。」
「それでは三十万は、私と共にコード退治だ!」
「あとの五万は、魔王城攻略だ!」
そして次の日。
陛下率いる三十万はもうコードを追って出陣し、我々五万は最後の戦いへと向かうところであった。
「いいな。待機軍は魔王城へ攻撃し、敵の気を引くんだ。その間に我々は、シールドに小さな穴をあけて潜入する。」
「分かった。」
「よし、じゃあ作戦開始か。」
緊張する。
わずか四人で魔王城へ潜入するのだ、普通なら殺される。
それを承知でいくのだ。
「じゃあ、行ってくる。」
俺はコールに言った。
「ヒトシ、君は伝説だ。」
コールが言った。
「その通りだ。」
俺はそう答えると、みんなのほうを見て言った。
「〝俺たち〟がね。」
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作戦は動き出した。
「マレーズ!シールドに穴開けてくれ。」
「分かった。」
マレーズはシールドにやっと人一人通れるくらいの小さめの穴をあけた。
「さあ、通るんだ。」
俺らが全員通ると、穴は閉じてしまった。
「さあ、行くか。」
俺たちは、城壁へ張り付き、登れるところを探していた。
「こんなめんどくさいことしなくても、城壁ぶっ壊せばいいのに。」
「そんなことしたら大騒ぎになるだろ!バレずにやるのが今回の計画のミソだ。」
「なるほどね?じゃああのこっちに向かってくる門番はなに?」
「うん、これはまずい。誰か仕留めてくれ!」
「任せて!」
「いや、ちょい待て!アーブル、お前だと・・・・。」
アーブルは世界一気味の悪い音を出す楽器・ウォーターフォンを取り出すと、敵に向けて弾いた。
その音の威力はすさまじく、門番どころか城壁も崩し、中の兵たちも悶絶していた。
「あ、ごめんね。」
「それどころじゃねえだろ!」
とりあえず城壁を越えると、城から大軍が出てきた。
「まずい!突破しろ!『アウェイキング』!」
俺はみんなに覚醒スキルをかけた。
「そしてくらえ!『カース・オブ・チューバ』!」
「な、なんだ!?手が重い!」
俺はチューバの呪いを敵軍にかけた。
「さあ、今だ!」
俺たちは敵にドンドン攻撃していると、なんかすごそうなのが出てきた。
あれ?あいつ見たことあるぞ?
「我こそは魔王軍七幹部の一人、マイナーである!スイタヒトシ、お前の首は貰った!死の呪いをかけてやる!『マレディクシオン』!」
「死の・・・・呪いだと!?」
「俺の勝ちだ!」
マイナーは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、言った。
しかし。
「マイナー、悪いが俺、精神力高すぎて呪い系効かないんだわ。」
「な、何ィ!?」
「今度はこっちの番だ!くらえ!『カース・オブ・チューバ』!」
「ぐっ、手が重い!」
「マイナー覚悟!」
俺はマッピのライトセーバーを起動すると、マイナーに振り下ろした。
「敵将マイナーは、このスイタヒトシが討ち取った!」
俺はそう叫ぶと、オークどもに一発放ち、殲滅させた。
「さあ、シールドを破れ!ここは俺が食い止める!」
俺はみんなを向かわせると、俺は残りの敵に向かってさらに一発放った。
しかし、またなんか強そうなのが出てきた。
「我こそは魔王軍七幹部の一人、サヴィドルである。お前は相手にとって不足はない!かかってこい!」
「オウ!」
相手が腰から引き抜いたのは、弦楽器の弓。
俺は、ライトセーバーを構えた。
一騎打ちである。
俺は一人ではザコなので、勝てる見込みはない。
しかし、俺には策がある。
俺は崩れてない城壁に背を向け、背後から襲われないようにした。
そして、一騎打ちが始まった。
俺はけん命に叩か合ったが、剣道はおろか、なんの武道の経験もなく、運動神経も鈍い俺は、だんだん押されてきた。
そして、ついに決着がつくときが来た。
そして、俺は気づくとどこかの部屋にいた。
そこには、サヴィドルとそれより偉そうなやつ、そして薄れかかってる人がいた。
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「ここは・・・・どこだ・・・・。」
「あっ魔王様、目が覚めたようです。」
「魔王だと!?」
「いかにも、私が魔王だ。よく来てくれたな。君を歓迎するよ。」
「魔王・・・・お前が魔王か・・・・。この手で殺してやる!」
「無駄なことはするな。それよりここで皇帝陛下の復活をよく見ておくのだ。」
「皇帝陛下?」
すると、薄れかかってるやつが答えた。
「私が魔王軍皇帝にして騒音の神・ノイズだ。」
「ノイズだと!?」
ノイズと言えば、神話でバッハ一世に退治されたと言われる邪神だ。
「私はかつて負けた。しかし、死んではいなかった。じっと復活のときを待ち続けていたのだ。」
「なんだって!?」
「時は来た。このストーンを私は吸収し、かつての力を取り戻すのだ。ふたつ足りないが、まあいい。」
そして、ノイズはストーンを握りしめると、それを吸収していった。
薄れていたのがだんだん直ってくる。
「フフフ・・・・力がみなぎってくるわい・・・・。」
「やめろー!」
そしてノイズは吸収し終わってしまった。
「終わりだ。」
ノイズは手から雷を出し、待機している軍を攻撃し始めた。
「もうすぐ俺の仲間がシールドを開ける。そうすれば五万の軍が攻めてくる。」
「今の私からすれば五万などアリの群れに等しい。さあ、そろそろ死んでもらおうか!」
ノイズは俺に向かって雷を出してきたが。俺はそれを素早くよけて、楽器の元へと行った。
「愚かな。まだ戦おうというのか。」
「俺は最後まであきらめない。」
俺は向かってきたサヴィドルを吹っ飛ばすと、皇帝に向かって一発放つが、無力化されてしまう。
「くそっ・・・・。」
「もう無駄な抵抗はよせ。」
皇帝は俺に向けて雷を放った。
俺はそれを何とかよけた。
「いやだ!俺はあきらめない!俺は、なんとしても苦しむ国民を救う!」
「この状態でもそんなことが言えるとは・・・・。なんと愚かな。」
俺は雷をよけながら、最後の抵抗を続ける。
その時だった。
「ノイズ、やめろ!」
不意に、魔王が言った。
「なんのつもりだ。」
「私は思い出した。王の次男として国民を守ろうという気持ちを。」
「お前、ま、まさか・・・・。」
「私は国民を守らなければいけなかったのに、逆に苦しめていたのだ。でも、まだ遅くない。私は国民を救う!」
そう言うと、魔王は何かの弦楽器を取り出した。
「お前、そ、それは!」
「そう、お前のただ一つの弱点、リュートだ。」
「やめろおおおおお!」
魔王はリュートを演奏すると、ノイズはどんどん消滅していった。
「この裏切者め!殺してやる!」
そしてノイズは最後の力を振り絞り、魔王へ雷を浴びせた。
魔王は雷をモロに浴び、苦しみながらもリュートを演奏し続けた。
そして、ノイズは苦しみながら、やがて消滅した。
「やった・・・・。」
そして俺は魔王のほうを見た。
魔王はとても苦しがっていた。
「大丈夫ですか!?」
「スイタ君、私ももう終わりのようだ。最後に国民を救うことができてよかった。我がおい、バッハ八世を支えて、より良い国を作ってくれ。」
「・・・・はい!」
俺は、新たなる決意とともに、そう答えた。
エピローグ
そして、魔王はその数分後に息を引き取り、シールドも破られ、魔王軍の残党は残らず滅ぼされた。
どうやらコードの隊は王都へたどり着く前に陛下率いる軍に滅ぼされたらしい。
そして、我々は王都へ戻った。
国民は魔王軍の消滅に歓喜し、みんなで『Hey Jude』を歌った。
そして・・・・。
「やあスイタ少年。この度は魔王討伐ご苦労であった。」
俺はサウンドと会っていた。
「さあ、なんでも願いを一つ叶えてやろう。ちなみに叶えれる願いを百個にしろってのはできないからな。」
「・・・・なあ、一つ聞きたいんだけど、ツイン将軍はどうなんの?」
「ああ、モリクチ少年か。彼も反乱同盟軍を創るなど魔王討伐に貢献したから願いを叶えてやろうと思ってるが?」
「そうか、そりゃよかった。じゃあ、俺の願いは彼の病気を治してほしい。」
「・・・・本当に、それでいいのか?」
「ああ、俺はこの国をよろしくって魔王に言われたんだよ。だから日本へ帰れないんだ。」
「そうか・・・・。それもよかろう。では、モリクチ少年の病気は直しておくぞ。」
「ああ、そして伝えてくれ。この国は俺が守るから、安心して日本へ帰ってくれって。」
「・・・・分かった。では、さらばだ。」
そして、俺は宮殿へ向かった。
「よおヒトシ!丞相へ昇進おめでとう!」
「ありがとうフレイウス。」
そう、俺は国王に次ぐ位、丞相になったのだ。
そして。
「おおスイタ丞相。よく来てくれた。」
「お召しにより参上いたしました。」
「うむ、ところでこれからは内政に精を出していこうと思う。何か案はあるか?」
「はっ、貧しいものには食べ物を与え、税を公平にし・・・・。」
俺の役目は、まだ終わっていない。
どうも、黒豆雄です!
この度は、この『ミュージック・クエスト』シリーズを読んでいただき誠にありがとうございます!
この作品は、ラノベを読まない黒豆雄がラノベを書いたというホントによく分からない作品なのです。
もともと「今ラノベとかで異世界転生ものが流行ってるな~。なんか書くか~。」から始まり、どうせだから聞いたことないようなもの書いてやろうと、主人公は吹奏楽部員、そして転生先は『音楽の世界』というとっぴな話にしました。僕はラノベもゲームもあまり経験がないのに、なんでこんなものを書き始めちゃったんだろうと思います。案の定、途中からよくわからない展開になってしまいまして、ラストはほぼ『スター・ウォーズ』です。
僕の大好きな『三国志』の世界観を投影したり、執筆中に見た映画に影響を受けてところどころ挟んできたりと、けっこうメチャクチャになりましたが、とにかく完成してよかったです。
僕はこの後、本業の漫画執筆に戻りますので、ぜひ漫画の方も読んでいただきたいです!
また、私の友人、さぶ氏による外伝の方も進行中ですので、そちらもぜひ読んでください!
それではまた次回作でお会いしましょう!
2020年5月 黒豆雄