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ミュージック・クエスト  作者: 黒豆雄
5/6

第五巻

 プロローグ

今回の戦いのために新調したピカピカの鎧に身を包み、愛用のチューバを背負い。

俺はかつてないほど本気モードに入っていた。

今から俺たちは、魔王討伐に行くのだ。

「ヒトシ、勝算はあるの?」

「もちろん。」

俺は不敵な笑みを浮かべて言った。

「この俺を舐めてもらっちゃ困る。本隊が到着する前にマウケコ要塞は落城していることだろう。」

「死亡フラグ立てないでよ。」

「まあ、任しとけって。」

かくして、第二次魔王大戦は開戦した。













第一章 再会


   1


「反乱同盟軍、王家の近衛兵、あと全国のギルドにも命令を出せ!」

国王の大号令により、魔王討伐が本格的に動き出した。

「スイタ中尉!君は王都のギルドへ陛下の勅命をお届けしてくれ!」

「分かりました!」

反乱同盟軍もかなり忙しくなってきた。

王都のギルドか・・・・。

そういえば行ったことなかったな。

みんな元気かな・・・・。

俺はかつてを懐かしみながらギルドへ向かった。


「ねーアーブル、今日は何を退治する?」

「そうねえ・・・・、ニセモーツァルトは?」

「ニセモーツァルトね・・・・。」

「いや、そこはダンシングドラゴンだろ。」

「あのねぇーヒトシ・・・・バカなの?ダンシングドラゴンはキレッキレの動きで有名なドラゴンで、太刀打ちできるのはその動きについていける高レベル演奏者だけよ?あんたみたいなザコじゃ瞬殺がオチよ・・・・ってヒトシ!?」

「久しぶりだな。」

「どうしたの?もしかして反乱同盟軍をクビになったの?」

「違うわっ!国王陛下の勅命をギルドに伝えに来たんだ。」

「そうなんだ。ご苦労様。受け付けはあっちよ。」

「さんきゅ。」

「お!ヒトシ!」

「やあコール!」

「どうしたの?」

「ギルドに国王陛下の勅命を伝えに来たんだ。」

「そうか、お前も偉くなったんだなあ。」

「フフ、まあな。」

「人間、偉くなったらあとは落ちるだけだからな。」

「・・・・この話の流れでそれ言う?」


   2


「・・・・と、こういうことです。」

「分かりました。すぐに遠征の準備をいたします。」

「お願いします。」


「ふぅー、仕事終わった。帰るか。」

俺はギルドの責任者と話し終え、帰ろうとドアを開けると、マレーズに呼び止められた。

「ねえ、このあとなんか仕事あるの?」

「いや、特には。俺はまだ下っ端だからな。」


「じゃあ久しぶりにクエストどう?」

「やるか!」

かつて、共にクエストをやった仲間が集まったのだ。

忙しいとはいえ、このくらい許してもらえるだろう。

「あ、ヒトシ!あの人たち見て!」

「え?」

「王都のギルドともなれば、伝説の演奏者(ミュージシャン)たちがいっぱいいるのよ。ほら、あそこの四人組がクイーン。で、あっちの四人組がビートルズ。」

「マジかよ。」

さすが音楽の世界。

バッハが国王なだけあって、こんな伝説のミュージシャンもいるのか。

確かに、映画で見たのとそっくりだ。

こんな人たちが演奏者なんだ・・・・。

「さあ、クエスト行くわよ!」

「えっ、お前らは伝説のミュージシャンを見て感動しないのか?」

「え?だって毎日見てるし。」

羨ましいなオイ!


   3


「ねえヒトシ、バカなの?やっぱバカなの?なんでダンシングドラゴンなの?」

「大丈夫だって!この俺がいるんだから!」

「じゃあこの状況は何?」

俺たちは今、ダンシングドラゴンと絶賛戦闘中であった。

いや、戦闘中という表現は正しくない。

正確には、力の差を見せつけられたと言うべきだろう。

「ねえヒトシ、こんなのにどう攻撃すりゃあいいの?」

「うーん、そうだな・・・・。」

「ねえ、迷ってる隙に殺されるわよ?」

「逃げるか!」

「逃げられるわけないでしょ!」

「そっかー、じゃあ奥の手だ。」

俺は無謀なことはしない男である。

こんなこともあろうかと、秘策を用意していた。

これさえ出せば、俺たちの勝利は間違いない!

さあ、いでよ!

「ジャジャーン!さくらんぼ!」

「さ・・・・さくらんぼ!?」

「そうだ。」

「ちっちゃ!」

「これでも標準サイズだ。」

「で?なんでさくらんぼなの?」

「スピッツの『チェリー』、YUIの『CHER.R.Y』、大塚愛の『さくらんぼ(にゃんこスターが使ってた歌)』、スリー・キャッツの『黄色いさくらんぼ』EGO-WRAPPIN'の『くちばしにチェリー』、加藤登紀子の『さくらんぼの実る頃(紅の豚エンディングテーマ)』、山崎ハコの『さくらんぼ』、田村ゆかりの『Black cherry』と『Cherry Kiss』・・・・などなど、さくらんぼに関する歌というのは数多く存在する。」

「それが?」

「そして、この果物は、ダンシングドラゴンの大好物なのだ!」

「それだけ言えばいい話じゃないの!?あの長文はなんだったの!?」

「知恵袋で調べた。」

「で?さくらんぼをどうすんの?」

「ダンシングドラゴンの口に投げる!」

俺が投げたさくらんぼは、勢いよくダンシングドラゴンの口に入った。

「入った!」

「これでダンシングドラゴンは俺になつくはずだ!」

「いや、あんなちっこいさくらんぼでなつくわけ・・・・。」

次の瞬間、ダンシングドラゴンは、俺にじゃれてきた。

「な!見たか!」

「し、信じられない・・・・。ヒトシはあそこでパクっていかれて終わるのがオチなのに・・・・。」

「なんでだよ!」

「それにしても、さくらんぼでなつくもんなのね。」

「さあ、ダンシングドラゴンよ、森へお帰り。」

俺がそういうと、ダンシングドラゴンは、でっかい羽を広げて飛び去って行った。

「この世界に来て初めて見るファンタジーな光景だわ・・・・。」

そう、確かに俺はこの世界に来て半年くらい経つが、今だファンタジーな光景を見たことがなかった。

ニセベートーベンやら、オークやら。

アミラル提督も一応エルフらしいが、なんかそんな感じではない。

そうだよな・・・・、やっぱりファンタジーにはドラゴンとか出てこないとな・・・・。

作者もやっと分かってくれたか・・・・。

俺がそんなことを考えていると、不意にマレーズが言った。

「そういえば・・・・これって討伐依頼だから、これじゃ報酬貰えないんじゃ・・・・」

「「え。」」






第二章 出陣


   1


反乱同盟軍、王家の近衛兵、さらには全国のギルドにも命令が出され、魔王討伐軍がどんどん集まってきた。

その数、約三十万。

これでも魔王軍には及ばない数字だが、太刀打ちできないわけじゃない。

我々魔王討伐軍は、王城の広場に集められた。

これが日本で言う『密』だろう。

そのうちに、国王が現れた。

「魔王討伐軍の諸君!これを見よ!」

そういうと、国王は腰に差していた剣を抜いた。

すると、みんなざわつき始めた。

「提督、あれなんですか?」

「お前あの剣を知らんのか!?」

「教えてください。」

「遡ること約七百年前、偉大なるヨハン・セバスティアン・バッハ一世がこの地に住んでいた邪神・ノイズを退治し、この地に国を興し、国民は歓喜に満ち溢れ、みんなで『Hey Jude』を歌ったと言われている。」

待ってそれなんか知ってるぞ、独立時に『Hey Jude』を歌う話。

「そして、そのときの邪神退治に使われた剣こそ、あの聖剣アシュビトゥスなのだ。」

「どんな剣なんですか?」

「王家の秘宝だから詳しいことは知らんが、どうやら全ての楽器のすべての音をだせたりしちゃうとか。それも一度に複数出せるから、あの剣一本で合奏もできちゃうらしいぞ。」

「へぇー。」

つまり高性能なハモディか。

「そして、そんな王家の神器が出されたんだから、凄いって話。」

「なぁーるほど。理解しました。」

俺と提督がそんな話をしていると、国王がまた口を開いた。

「諸君!この戦いは建国時の戦いと同じくらい大事な戦いだ!」

「おお!」

士気が上がってきた。

「それでは、編隊の説明をする!先鋒隊は、全国から集まった演奏者に任せる!そして中軍は私自ら近衛兵を率い、後軍は反乱同盟軍に任せる!」

おお・・・・。

ついに始まるのか・・・・。

魔王討伐が・・・・!


   2


俺はツイン将軍に呼ばれた。

「将軍、失礼します。スイタ中尉です。」

「おお、スイタ君入りたまえ。」

「何か御用でしょうか。」

「うむ、実は君に先鋒隊長をお願いしたくてね。」

「先鋒隊長!?」

「うん。これは国王陛下の任命でもある。」

「陛下の!?」

「うん。君は元演奏者だから、演奏者の扱いは上手いんじゃないかと思ってね。」

「はあ。」

「そういうわけだ。引き受けてくれ。」

マジか。

俺があの伝説のミュージシャンたちにも指令を出さなきゃならんのか。

「先鋒隊は何をするんですか?」

「本隊より先にエイウヒ要塞へ行き、先に攻撃を開始していてくれ。本隊はあとから着く。」

「なるほど・・・・。分かりました。しかし一つ条件があります。」

「なんだね?」

「俺が副隊長を選びます。」

「分かった。副隊長のことは任せよう。」

「ありがとうございます。では、反乱同盟軍よりフレイウスを連れて行きます。」

「分かった。」

「あと、あの二人も。」

「あの二人?」

「マレーズとアーブルです。俺のかつてのパーティメンバーです。」

「分かった。」

「ありがとうございます。では、さっそく出発いたします。」


   3


「全演奏者の皆さん!先鋒隊長のスイタヒトシ中尉です!」

俺は、演奏者を集め、自己紹介をした。

見ると、ギルドで見た顔ぶれのほかにも、確かにどこかで見たような人がいた。

あれは多分エド・シーランで、あれは多分ヒゲダンで、おお、米津玄師もいるじゃないか!

マジか・・・・。

何処にでもいる横山三国志全巻読破したチューバ吹きが異世界転生してこんな人たちに命令を出すことになるとは・・・・。

「皆さん!これから我々は、本隊より一足先にエイウヒ要塞へ行き、マウケコ要塞への攻撃を開始します!出陣の用意はいいですか?」

「おぉー!」

「では、出発します!」

そして、先鋒隊総勢十五万が出陣した。

エイウヒ要塞までは一日半かかる。

「ヒトシ、勝算はあるの?」

副隊長に任命したマレーズが聞いてくる。

「もちろん。」

俺は不敵な笑みを浮かべて言った。

「この俺を舐めてもらっちゃ困る。本隊が到着する前にマウケコ要塞は落城していることだろう。」

「死亡フラグ立てないでよ。」

「まあ、任しとけって。」

我々先鋒隊はエイウヒ要塞までの道のりを悠々と進軍していった。


   4


「ヒトシ、そろそろ日も暮れてきたし、この辺で陣を張ったほうがいいんじゃない?」

「俺もそう思う。夜の進軍は危険だ。ここは陣を張るのにいい地形だし、夜になるとモンスターが出るかもしれんぞ。」

マレーズとフレイウスが言ってくる。

「そうだな。全軍、ここで陣を張れ!」

エイウヒ要塞へ行くにはどこかで一泊しなければならない。

この大人数では旅館に泊まるわけにもいかないので、どこかで陣を張ってそこで休むのだ。

「ヒトシ、見張りはどうする?」

「交代でやろう。前半は俺がやるから、後半はフレイウスが頼む。」

「一人だけ?私たちは?」

「寝てていいよ。」

「ヒトシだけじゃ頼りない気が・・・・。」

「俺を誰だと思ってんだ!反乱同盟軍中尉だぞ!」

しかし、これが大いなる間違いの始まりだった。


草木も眠る丑三つ時。

「おいマレーズ!アーブル!起きてくれ!モンスターだ!」

俺はすっかり忘れていた。

俺は日本にいたとき横山三国志を全巻読破したため兵法はちょっと詳しいが、一人ではザコなのだ。

「なんで!?なんでニセベートーベンは超ザコなのにニセモーツァルト超強いの!?信じられない!」

「むにゃ・・・・。ヒトシ、なに?」

「おいアーブル!助けてくれ!ニセモーツァルトの襲撃だ!」

「え?やっぱり?」

「やっぱりだよ!」

「しょうがないわねえ・・・・。『シュピールツォイック』!」

アーブルのウッドサックスが威力を発揮し、ニセモーツァルトは凍ったように固まった。

さすがに要塞から兵を動かしていた俺と、演奏者として戦っていたアーブルたちとじゃ強さが違う。

「ほら、やっぱりダメじゃん。」

アーブルが勝ち誇ったような笑みを浮かべて言った。

「いいんだよ。俺は頭脳派なんだ。」

「よく言うわ。」
































第三章 先鋒


   1


一騒動あったものの、何とか無事にエイウヒ要塞までたどり着いた。

「開門!開門!魔王討伐軍の先鋒隊が到着した!」

俺が要塞の中に声をかけると、中にいた兵たちが門を開けた。

「これはこれは。あなたが先鋒隊長のスイタ中尉か?」

「いかにも私がスイタ中尉です。」

「私はこの要塞の守りを任じられているデーニメル少佐だ。」

「お役目ご苦労様です。」

「要塞には一ヶ月の食糧を用意してある。」

「そうですか。少佐、演奏者たちを休ませてください。」

「分かった。」

「よし、アーブルとマレーズ、あとフレイウス、作戦会議だ。」

「私は?」

「デーニメル少佐は演奏者たちを城の中に入れ終わったらもうお休みください。」

「そうか。ではお言葉に甘えるとしよう。」

そういうと、デーニメル少佐は自室に戻っていった。

「よし三人とも、作戦会議だ。明日から攻撃を開始する。こうこうこういう作戦だ。」

「分かった。」

「よし、ではみんな明日に備えて休んでくれ。」

「分かった。お休み。」

「お休み。」


   2


深夜二時。

そんなに遅い時間だと、音楽の世界も静寂に包まれている。

・・・・と思っていたが。

誰かがドアを破って入ってきた。

俺は、とっさに枕元に置いてあったマッピを手に取った。

「何者だ!」

「死ねぇ!」

向けてきたナイフをライトセーバーで跳ね飛ばすと、セーバーの明かりで襲ってきた男の顔を見た。

「少佐・・・・!?なぜ私を殺そうとした!」

「お前は本当に魔王軍に勝てると思っているのか?戦う前から勝敗は決まっている。それなら手柄をお前の(おみやげ)を持って魔王軍に降伏したほうがいい。」

「本気で言っているのか?」

「本気だとも。」

「何万という苦しむ国民のために魔王は倒さねばならないだろう!目を覚ませ!」

「あんたこそ目を覚ませ、魔王軍と戦って勝てるわけなかろう!」

「なんだと!この裏切者め!」

俺は少佐を一刀のもとに切り捨てた。

「ヒトシ?大丈夫?どうしたの?」

騒ぎを聞きつけ、マレーズとアーブルが駆けつけてきた。

「ハア・・・・ハア・・・・。少佐が俺を殺そうとしてきた。魔王軍には勝てないと言ってな。」

「そんな・・・・。」

「これは聖戦だ。何万という国民を救うためだ。負けるわけにはいかない。」

「ヒトシ、大丈夫?明日にためにも寝たほうがいいわよ。」

「またいつ狙われるか分からんだろう。」

「じゃあ誰かについていてもらえば?」

「誰に?」

「そうねえ・・・・私たちだとちょっと問題だから・・・・。」

「なにが問題なんだよ。」

「夜中に年頃の男女が同じ部屋にいることは問題でしょ!」

くそっチキンな作者め。

そのくらいしないとラノベじゃないだろう。

ただでさえサービスシーンが少ないのに、こういうチャンスにこそそういうイベントを作るべきだと思うんだがな・・・・。

「まあ、そういうわけだから、フレイウスでも呼んで守ってもらいな。」

「・・・・分かった。」


   3


次の日。

「やあ、おはよう。」

「どう?眠れた?」

「まあね。」

ほんとは嘘である。

人を殺して寝れるわけがなかろう。

俺は、軍の指揮を取り始めた。

「よし、作戦は説明していた通りだ!すぐに準備にかかってくれ!」

「はっ。」

「いいな。作戦通りに動くんだ。上手くいけば今日でマウケコ要塞を落とせるかもしれんぞ。」

「オーケー、任しといて!」

そして、我々先鋒隊は動き出した。







第四章 開戦


   1


「セイケルン様!敵の襲来です!」

「何!?」


「セイケルン!我こそは魔王討伐軍先鋒隊長にして反乱同盟軍中尉、スイタヒトシである!俺が恐ろしくなければ出てこい!だが、俺は今まで何度も魔王軍を破っていることを忘れるな!」

「おう、お前など恐ろしくもなんともない!今言ってやるから待ってろ!」

「セイケルン様、敵は策士で有名なスイタヒトシです。軽々しく出て行ってはなりません!」

「大丈夫だ、見たか奴の兵力を。あんな小勢蹴散らすのはわけない。さあ、全軍打って出るぞ!」

「ヒトシ!敵が出てきたわよ!」

「よし、迎え撃て!」

ここに、第二次魔王大戦が開戦した。

我が軍は懸命に戦った。

しかし多勢に無勢、だんだん押されてきているようだった。

「ヒトシ、こっちがだんだん押されてきてるわ。」

「そうか・・・・。よし、退却だ!」

我が軍は向きを変え、退却を始めた。

「あっ、待て!口ほどにもなく逃げるか!追え!」

魔王軍が追ってくる。

「逃げろ!急いで逃げろ!」

「逃がすか!」

「セイケルン様!深追いは危険です!」

「スイタヒトシを討つのは今がチャンスだ!今追わないと後悔する!」

「でも、この地形は、兵を伏せるには絶好の地形・・・・。」

その部下が言い終わる前に、フレイウスとマレーズが率いる二隊がそれぞれ襲い掛かった。

「ほら!伏兵です!」

「ちっ、蹴散らせ!」

「無理です!今まで退却していたスイタの軍勢も向きを変えて攻めてきました!今我が軍は三方から攻められているんですよ!」

「そうか・・・・よし、退却せよ!」

魔王軍は格好の餌食となった。

さすが歴戦の演奏者たちだ。

無事に要塞までたどり着いた魔王軍は、わずか百人たらずだった。

だが、ここで終わりではなかった。

「開門!開門!門を開けよ!」

マウケコ要塞までたどりついたセイケルンは開門を促した。

しかし、要塞の中にいる兵は攻撃を開始した。

「何をする!私はセイケルンであるぞ!」

「ふっふっふ・・・・愚かなセイケルンよ、お前が戦っている間に空っぽになっていたこの城はいただいた!」

「な・・・・なんだと!?」


   2


「もう終わりだセイケルン!」

「くそっ、こうなったら一人でも多く道連れにしてやる!」

「まずいな、犠牲者を出さないためにも、ここは遠巻きに攻撃しろ。」

演奏者たちは、それぞれ自分の楽器を構え、セイケルンに離れて攻撃を始めた。

しかし、セイケルンはなかなかしぶとく、いつまでたっても倒せない。

「ヒトシ?あれで仕留められない?チューバの呪いで。」

「ああ、あれな。やってみるか。『カース・オブ・チューバ』!」

俺の放った呪いはセイケルンにかかったようだった。

「手・・・・手が重い・・・・。」

「今だ!捕らえろ!」

捕らえて、魔王軍に関することを尋問すれば、これからの戦いが有利になる!

「捕まってたまるか!捕まればどうせ尋問されるんだろう!」

「何をするのもこちらの自由さ。」

「魔王軍七幹部、口を割るよりは死を選ぶ!」

そう言うとセイケルンは懐から短剣を出し、自分の首を斬った。

「くそっ、死んだか・・・・。」

「どうする?」

「死体は埋葬しておけ。そしてマウケコ要塞はフレイウスが守ってくれ。」

「分かった。」

「俺はエイウヒ要塞で本隊の到着を待つ。」


   3


「ヒトシ!本隊が着いたぞ!」

「本当か!失礼のないようお迎えしろ。」

ついに本隊が到着した。

俺はツイン将軍にことの次第を報告していた。

「おおスイタ中尉、聞くところによると、もうマウケコ要塞を落としたとか。」

「ええ、敵将セイケルンも討ちました。」

「スイタ中尉、よくやったぞ。国王陛下より重い恩賞が出るであろう。」

「ははっ、光栄であります。」

「ところで、次はヴィシュ城を攻めるんだが、なにか作戦はあるかね?」

「ふむ・・・・この地形ならこんなことができるかもしれません。」

「ほう。面白いこと考えるな。それでいこう。スイタ君、君が指揮を執り、この作戦を実行せよ。」

「はっ。」

エピローグ①

「諸君!スイタ中尉の活躍により、マウケコ要塞は落ちた!次に向かうのは魔王領の喉元にあたる場所、ヴィシュ城を攻める!各自、出陣の用意をせよ!」

国王陛下がそう号令し、我々は次の標的に向けて準備を始めた。

そして。

「スイタ中尉。この度の戦いは見事であった。」

「光栄であります。陛下。」

俺は国王陛下にお褒めの言葉を頂いていた。

「ところで、中尉は兵法をどこで学ばれたのだ?」

「・・・・故郷の日本という場所で書物を読みました。」

「ほう。日本という地名は聞いたことがないが、お主はそこの生まれか。」

「ええ。」

「故郷に帰りたいとは思わんのか?」

「・・・・日本もいいところでしたが、ここも楽しいです。」













エピローグ②

「魔王様!マウケコ要塞が落ち、セイケルン様が討ち死にしたとの情報が入りました!」

「なんだと!?セイケルンが死んだ!?セイケルンほどの者が死んだとは・・・・。」

「魔王様、マウケコ要塞が落ちたとあらば、次狙われるのはヴィシュ城だと思われます。」

「よし、ルートよ。お前に三十五万の大軍を授ける。そしてメジャーを連れていけ。奴は魔王軍一の猛将だ。きっと我が期待に応えてくれるであろう。」

「はっ。かならずや吉報をお届けいたします。」

「うむ!」

「魔王様、皇帝陛下がお呼びでございます。」

「皇帝陛下が?分かった、すぐに参る。」

















ヒトシたちの大いなる冒険は続く・・・・

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