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ソフトタッチで尾部のノックを押すと剥き出しになったペン先から湿潤なインクが球体に沿って滲み出してくる。決して品のない量ではなくしっとりと滑らす程度の粘り気のある黒濁液
「フラ公ってのはこんな感じじゃねえのかよ? あ?」
意味のわからない叫び声をあげるヨシュア。
「キシャア!」
威嚇の叫びは猫科のそれを思わせるニコちゃん。
「いれっれこ!」
そこへ突如として乱入する人影。双方に鉄槌を下そうと、しかしニコちゃんの筋力はそれを許さなかった。
反作用で衝撃はすべてヨシュアに掛かり、高級な食器は全部粉砕された。
怒り狂ったニコちゃんは乱入者の背後を取りチョークスリーパーからの裏投げで完封する。
ヨシュアは棚を通じて食器に逃がした力の分だけギリギリで耐え、最後の反攻にピースを作って目を狙う。
もはや戦う理由すら定かではない。ただ敵を倒すという盲目的な衝動だけが体を突き動かしていた。