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1ー1 玄関は玄関、異世界は異世界。

小説初心者です。

拙い文章ですが、頑張って考えながら書きますので、よろしくお願いいたします!

ー見たことのない生物ー聞いたことのない言葉

ー知らない文字ー


自分のおかれた状況がまだ理解できていない「僕」の耳元で、忙しなく飛び回りながら、煩く語りかけてくる声に、顔も向けずに聞き返す。



「ここが、異世界!?」




普通ではなくなってしまった「僕」の日常。


そんな第一声がその世界に響き渡った。






~その世界に召喚される少し前、たぶん一時間前くらい~


単調に鳴くセミの声が煩く耳を不快にさせてくる、季節は8月。


何をさせても普通ー平均ー標準ー中の中な17歳の高校生

「僕」こと 大神 カズヤ は後悔しながらも、引っ越し作業のアルバイトに勤しんでいた。



元ヤンキーであろう筋肉質な中年おやじが冷蔵庫を担ぎながら、こっちを向いて唸る。



「こらぁっーアルバイトぉ!さっさと運べやーっ」



「は、はーい、すいませーん……」

一度は地面につけた荷詰めされた段ボールを、もう一度担ぎなおして、僕は力なく答える。



【短時間の労働で、いっぱい稼げる♪】



雑誌に載っていた広告を思いだす。



「ぜー、ぜー。。」息をするのも辛い。

見上げた2階立ての木造アパート。そして荷物は全て2階にあげなければならないらしい。



「…時給がいいのは、確かに間違いないけど…!」


「キツ過ぎる……」

ふらふらの足でアパートの階段をあがる。



しかし、古いアパートだ、築何十年だろうか。

一段昇る度にギシギシと階段が唸りをあげる、アパート全体が軋んでいるようだ。



(床、抜けないよね……)

そんな事を考えながら、丁寧に階段をあがっていると

先に上がっていた冷蔵庫おやじが階段の上から冷たい目を向けてこちらを見ている。


冷蔵庫は持っていない。

運び終わったらしく、降りるところのようだ。




上がりきったタイミングを見計らってか、横並びになった時に、おやじの無愛想な声が聞こえた。

「これだから最近の若けーヤツわ、まだ箱4つしか運んでねーじゃねーか!」




(今運んでるやつで3つ目です、ごめんなさい!)

こっちを睨みながら階段をドタドタと降りていくおやじを背に、そんなことを心の中で呟きながら、荷物のゴール地点=部屋へ向かう。




僕は別に力がないわけでも、あるわけでもない、全体的に

「普通」だ。

体力も何もかも平均だ、あのおやじがおかしいのだ。




「間違えたな、このバイト。はぁ…」

手に持った荷物をみながら小さく呟く。



先ほど、この荷物の持ち主、つまり部屋の住人をみたが、なかなか個性的…と言うか変な人だった。


無精髭で、ちょんまげで、アロハシャツを着てて、サンダルを履いたお兄さん……ではないか。

その住人は多分30歳後半くらいだろうか。



『ふーん、少年、いい感じだねぇー』

引っ越し準備で積み荷をおろしていると突然、その住人(アロハサンダル)に声をかけられたのだ。


「あ、はは」

(ビックリした…何だいきなり)

カズヤは純100%の愛想笑いをうかべて、積み荷をおろす作業を再開する。


そんなカズヤを横目に住人(アロハサンダル)はジロジロとこちらを見ながら、

『ふーん』

とか

『ほー』

とか

無精髭に手を当ててニヤニヤしながらこっちを見ている。


『いやぁ、いいねぇー君!とても、そう、、美しい。』


(!?)

その言葉に驚き、作業を中断して、その住人の方に振り向いた。


未知の恐怖にかられているカズヤを気にせず、住人(アロハサンダル)は、一人で会話を続ける。


『今までで、君みたいな人間は初めてだねぇー、いやホントに。』

『まさに神格級だよ、どこでその(スキル)を手に入れたのか、、正体が気になるところではあるけどねぇー』

薄く笑みをうかべながら住人(アロハサンダル)は瞳をのぞきこむ様に言った。

ーしかし、それは僕じゃなく、瞳の奥にいる別の『何か』に語りかけるような、そんな深い声だ。


『ま、あとは向こう側に任せるかねぇー』

ポカンとしている僕の肩を軽く叩いて、アロハサンダルは

出かけて行った。


その姿をふと何気なしに思い出したのだ。



(なんか、変な人だったな……雰囲気がというか何というか…)


(でも不思議と…)


(…でもどこか懐かしい…感じ…だった…?)

その感情は、どこからわいたのだろうか、自分が抱いた出所のわからない感覚に不思議な気持ちになる。



大神カズヤには少し周りの同世代とは違うことがある。

それは幼い頃に不慮の事故にあい、両親を亡くし、親戚に引きとられた後、現在は一人暮らしているということだ。


天涯孤独というわけではないが、他より人より親へ愛情を注がれた時間は短かった。


確かにアロハサンダルの歳は、事故で亡くなる前の親に、どこか近い気がしなくもない。

そのことが、この感情と関係しているのだろうか。

そんな自己分析を頭の中で、おこないながら、荷物を運ぶ。



(やっと3回目だ。)

持ち主の部屋の前に一旦荷物を置き、腰を伸ばした。

荷物の重さで前屈みになった身体を戻す為だ。

「ーよし」

これで扉を開けるのは3回目、だから知っている、手順はさっきと一緒だ。

間取りは1DKの小さな部屋だ、扉を開けたらすぐに段差、玄関がある。

だから、まずは靴を脱いで、次に荷物を引き入れて、奥に並べて最後に扉を閉めて。


そんな事を考えながら扉を開け、まずは始めの手順である靴を脱ごうと靴に手をかけながらふと前をみる。




「???」


ー頭が真っ白になった、いや思考が停止したー


扉を開けた瞬間、目に映ったもの。それは玄関でも畳でも、先に運びこまれたはずの冷蔵庫でも、自分が運んだ2つの段ボールでもなかった。


映ったのは真っ白な部屋ーいや違う。

真っ白な空間だった。

奥にあった押入れも、畳も、何もない。


止まった頭をフル回転させる。

(あー、あれだ、熱中症、日射病もしくは脱水症状ーそれにともなう幻覚、間違いない)


「……と、とりあえず、こういう時はアレだ、休憩だ。」

そんな事を呟きつつ、汗を拭いながら部屋の外に出ようと後ろを向いた。


ー扉がないー

というか何もない。

目の前にもさっき見たのと同じような、真っ白な空間が広がっている。

そのまま目線を落として、自分の手をみる。

確かに数秒前まで扉のあった場所で、そこに確かにあったドアノブを掴もうと手だけ動かしている。


そういえばセミの鳴き声も聞こえない、それに暑くもない。

それはまるで違う世界に来てしまったようだ……。


「あ、あ、あわわわわわわわわわわーーーっ!」

言葉にならない声と一緒に汗が噴き出した。

さっきまでの暑さによるものじゃない、これは冷や汗だ。


(そうだ、これは夢だ!夢、白昼夢、明晰夢その類いだ!)


頬っぺたをおもいっきりつねってみた。


「いたーーっ!い、痛い!!?」

痛い、すごく痛い。


「あわわわわわわわーーーー!」

もう一度、前を見る。やはり何もない。空と地上の境い目も何もない奥ゆきのない、どこまでも広がる真っ白な部屋だ。


ありえない。


(ヤバイ、ナンダ、なんなんだ、ナニガどうなってるんだ!?)

頭がおかしくなりそうだ、また言葉にならない声がでる。

「うわぁわわわーー







『ウルサイのじゃ。』


ーーっ!?」


どこからともなく声が聞こえた、確かに聞こえた。



この広い部屋に。いや、この広い、わけのわからない「空間」全体に響きわたるようなそんな声だ。



恐る恐る周りを、目だけ動かしながら確認する。

「だ、誰かいるんですか……?」





『……』




『……』


『なんじゃ、オヌシは?人の子か?』



「!?」


次の瞬間、目の前の空間がバリバリと雷鳴のような音をたてて歪んでいく。

歪みと音はどんどん大きくなり、歪みの生まれた空間の一部がパズルのピースのようにボロボロと剥がれるように砕けてゆく。


剥がれ落ちて出来た空間から極彩色の光が漏れ、人型のシルエット浮かび上がった。




『こんなところになぜ人族がおるんじゃ?』


光の中から現れた少女は、こちらを見ながら少し驚いた顔で喋りかけてきた。

ーそう少女だ。



それも絶世の美少女だ、目を奪われるということは、こういうことをいうのだろうか。

歳は12から14くらい。

褐色の肌に、両腕に白みがかった刺青、緑色の瞳。

肢体はしなやかで、漆黒の暗闇のような服に身をつつんでいる。

着物、、和服のようだが西洋の雰囲気を持った見たことのない服装だ。

薄く光をおびた美しい銀髪は地面に着くほど長く、割れた空間の破片がキラキラとその少女の周り輝きながら散っている。



しなやかな細い足を前で組んで、こちらを見ている少女に対して、僕は語りかけた






「な、」


「なんで浮いてるの………?」


僕は、また思考が停止した。



















更新は1ヶ月に一回頑張ります!

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