かえるにかたつむりに子犬のしっぽ
初恋は保育園の先生。
厳しくてすぐ怒るから苦手だったけれど、お昼のお昼寝の時間、おねしょをしてしまった私を優しく慰めて替えのパンツを履かせてくれた。
それ以来、先生が好きになってしまった。
恋愛感情じゃなかったのかもしれないけれど、先生が結婚して辞めてしまうと聞いた時は、1日中泣いたのを覚えてる。
次に好きになったのは、クラスメイトの女の子。
私は口下手で表情が変わりにくいせいか、あまり友達がいなかった。
クラス替えで運悪く仲の良い子達と離れてしまった。
新しいクラスに馴染めなかった私は、男子のからかいの対象になった。
悲しかったが、周りには伝わらなかったようで、何をしてもへこたれない私に徐々に行為はエスカレートした。
別のクラスの友達は私を庇ってくれたが、クラスが違うとなかなか動きないようだった。
先生に相談しようかと言っている頃、からかいっても反応のない私に苛立ったのか、男子達は私の持っていたノートを取り上げてきた。
絵やお話をかくのが好きだった私は、そのノートで辛い日々を乗り越えていた。
男子は私の絵を見せて回ったりお話をみんなの前で読みあげてきた。
私はその場から足が棒になったように動けなかった。
すると、私と男子達を囲っていた人の輪を割って、1人の少女が飛び出してきた。
彼女は、男子達から私のノートを奪いとると私の手を取り教室から飛び出してしまった。
ずんずんと進む彼女に、私はもつれそうになりながら必死について行った。
「まっ待って、転んじゃう!」
慌てて立ち止まった彼女は、そのままこちらに向き合い、私の息が整うのを待った。
彼女は私にノートを返すと、悲しそうな顔をして言った。
「今まで、気づかなくてごめんね」
なんのことかわからず首を傾げると
「だって、今にも泣いちゃいそうな顔してる」
そう言うと彼女は私をぎゅっと抱きしめた。
彼女の体温が伝ってくると、今まで耐えていたものがガラガラと音を立てて崩れていくのを感じた。
頬に熱いものが伝っていく。
私は知らぬ間に泣いていた。止めようと思っても次から次へと涙が溢れてきて、私は彼女の胸の中で声をあげて泣きじゃくってしまった。
泣き止んだ私の頭を撫でながら、彼女は言った。
「もう大丈夫。私が絶対守ってあげるから」
私は、私の王子さまに出会った。